Impressive Sounds

素敵な歌声や音楽を求めて。

日本語でミュージカルを観ていると昼ドラに見えてくる話

ミュージカルはここ数年で興味を持つようになって、まだ全然作品数は観てない。
今まで観たことがあるのはこんな感じ。
見た作品・時系列順のつもりだけどざっくり、かつ抜けてるのもあるかも。

☆big ~夢はかなう~:1999年頃東京1回
★Wicked(ウィキッド):2013年ロンドン2回、2013~2014年東京4回、2014年シドニー1回、2016年ロンドン1回
★les miserables(レ・ミゼラブル):2013年ロンドン1回、2017年東京1回
★マンマミーア:2014年東京1回
★リトルマーメイド:2015年東京1回、2017年東京1回
☆PIPPIN:2015年東京来日公演1回
The Phantom of the Opera(オペラ座の怪人):2016年ロンドン1回
ノートルダムの鐘:2017年東京4回
☆パレード:2017年東京1回
West Side Story:2017年東京来日公演1回

bigの頃は完全に子どもだったので「なんか舞台装置こわい」みたいなことを思った記憶しかないけど。
これらのうち、☆は一言語しか知らないもの、★は日本語と英語どちらも知ってるもの。
日英知ってるのは同作品を国内外で観たのもあれば、ディズニーなんかはアニメで英語版知ってたり。
その★のものたちについて、当たり前だけど日本語だと全然重さや軽さが違うなと思うわけです。

Wickedはよく考えたら男女三角関係とか浮気でできた子とか、なかなか清々しくない要素もある。
※原作はもっとアレらしい。
でもロンドンで観たときは、ただただ音楽が好きで観ていてそんなの気にならなかった。

それが日本で観てみたら、なんだか三角関係はより昼ドラ的に、そして出生の悲惨さが増し増しに、「おしん」とか大河みたいに感じた。
母国語だからそう思えるというのもあるし、やっぱり日本語になると音数が減って英語のスムースさとは違うっていうのもあるかと。
いやー、とにかく日本で初めてWicked観たときはほんとに別物に見えて驚いた。
英語で観るより重たく感じるので日本語の方が観ると疲れるような気がする。

あとレミゼとかオペラ座はWickedより歴史が長い作品なせいか、単純に歌詞やセリフが古風だなというのも感じる。
カタイ感じでなんともいえないもやもや、ちょっと歌舞伎や演歌を聴いてるような感覚になる。
まあオペラ座は曲調がべたっとした感じがするのも一因かも。
ALW作品はコンサートとかで聴くときれいだなと思うけど、作品の中で聴くと個人的にはすごい「演歌感」があって、オペラ座もそうだしチラ聴きしたことあるジーザスもそう感じる不思議。

あとこれはALWではないけど、マンマミーアのThe Winner Takes It All(「勝者が全てを」)はある意味衝撃的だった。
細かく覚えてないけど「あなたは勝ち」っていうとにかく直訳的な表現だなぁというところばかりが気になって。
かといって1回しか観てないからこう訳してほしい!ってのもないんだけど。
しかもそのときのドナ女優さんがまた直線的に投げつけるように歌うので、直訳×直球で飛んできた。
乱暴な豪速球に思えて全力で避けてしまった…。

一方で、それらより新しいせいかディズニー系はそういう違和感はさほど多くない。
まあ全体的に、韻の良さは原語に勝るものはないけど。
それは置いておいたとして、日本語のほうが好きだなって箇所もそれなりにある。

(引き出し少なくて申し訳ないけど)ノートルダムのフィナーレのフィーバスのソロ直前「人々に戦うよう、呼びかけた!」とか。
最後三連符が民衆の鼓舞に拍車をかける感じがする。
ここ英語はなんて言ってるかな…。
逆に近いところで英語のほうが好きな部分は、フィーバスの「Someday comes right now!」とか。
日本語だと「正義のために!」の「に」でぶつ切りになるところが、「Now」なら二音だからぶつ切り感が緩和される。

あとは、英語だといいのは移民の訛りが表現できるところ。
こないだ観たWest Side Storyプエルトリコ勢が巻き舌強い英語を話していて、「よくわからないけど標準語じゃないしなんとなくラテン出身なんだろうな」と汲み取れた。
日本でこれを方言とかで代用すると都会と田舎の対比になっちゃいそうだけどどうしてるのだろう。
地域差ではなく国籍の差異を示唆するのも、日本語版は難しいんじゃないかな。

いろいろ書いてるけど、日本語ミュージカル否定したいというわけでは全然ない。
ただ、私の耳にはかなり違うものに聴こえるのですというだけの話でした。

忘れ去るにはもったいない:Three Phantoms 3/18@The Parisian Theatre(Macau)

タイトルどおり。
しばらく前の感想をふいに思い出して、でもそのときのことをほとんどメモに残していなくて、「素敵な声だな」とか「この曲印象的だったな」とかいろいろ感じたことをなくしてしまうのはもったいないなと思って今書く。


MamiTv帶您欣賞-【3幻影】音樂劇

ブログ書き始めるよりも前の、今年3月の連休、マカオに行っていた。
出だしはヨーロッパっぽいところに行きたいという欲を満たしてくれる近場を探してて、マカオポルトガル領だったからポルトガル建築が見れてヨーロッパ気分に浸れるかなと思って選んだのだった。
ポルトガル領とはいえ一応中国だし、残念ながらほんのり知る限りの中国の音楽や舞踊には興味がなかったので、今回の旅では音楽を楽しむ機会はないだろうと思っていた。

しかしそこは音楽好きのめぐりあわせなのか、ちょうど私の滞在中にThree Phantomsというコンサートをやっていた。
ブロードウェイやウエストエンドのオペラ座の怪人で歴代ファントムを演じてきた俳優たちが出演するコンサートで、3人をメインにこれまたBWやWEで活躍する俳優たちとともにミュージカルの名曲を披露していくもの。
いつまで残ってるかわかんないけど、セトリとか出演者がまだ載ってるみたい。
https://jp.parisianmacao.com/macau-entertainment/three-phantoms.html

残したいとこをかいつまんで。
今もそんなにいろんな作品知らないけど、当時はさらに知ってる曲が少なかったなぁ。
ちょっとコメディに振りすぎだなとか、この曲はこの人じゃないほうがよかったなとか、多少あるけど、みんな6~7割くらいの力加減でパフォーマンスしてるようにも見えたのでそれはそれですごいと思う。

■Tragedy(from Saturday Night Fever)
メインはKieran Brown、サビなんかは特にリズムの歯切れが良くてキャッチ―に聴こえた。
オケのアレンジが懐かしい雰囲気だったけど、サタデーナイト~だからもともとこうなんだろうな。
キエランは3人のファントム(以下3ファントム)の中で一番好きな声だった。
私の少ない引出しでいうと、Matthew James Thomas系の高くてやわらかい声。
もちろんやわらかいだけじゃなくてコントロールがなめらかな感じ。
個人的にはファントムよりもう少し優男系のキャラクターもハマるんじゃないかなと。


■Bui Doi (from Miss Saigon)
David Shannonは細かいことは覚えてなくて、とにかく3人の中だと一番「…」となる歌だったと思う。
なんだか一人だけ声が針金みたいに硬い感じで、他2人のハーモニーはけっこう豊かに響く気がするのに、彼はなぜかそうはならなかった。
音程がおかしいとか声が出てないとかではなかったんだけど、とにかく最初から最後までピンと張った声だったので聴いている私が勝手に疲れてしまった。

■Anthem (from Chess)
3ファントムの発起人?リーダー的存在と思われるEarl Carpenter。
艶としなりのある大人の男って感じの声で、好みの声とは少し違うけど、聴きごたえがあってうっとりするような美声。
3人の中では一番ファントムっぽい声、見た目もジェントルマンだったし総合バランスは一番良さそう。
今年10月にシアターオーブでやる「ソングアンドダンスオブブロードウェイ」にも来日するらしい。←ウィレマイン出演発表時にチケット購入済なので再会できるなぁ

■Defying Gravity (from Wicked)
Marisa McIntyrがエルファバ、Lisa-Anne Woodがグリンダ。
マリサは出だしがすごく良くて、これは大迫力のエルファバが聴けるのでは…!?
と期待を膨らませたものの、肝心のso if you care to find me!からはなんだか声がカスっとして拍子抜け。
手前まではなかなかの緩急のつけ方だったので、得意な音域を通り過ぎてしまったのだろうか。
リサは可愛くて上品な声なので、グリンダのファニーで親しみある声ではなかったかな。
やっぱりオペラ座のクリスとか、レミゼのコゼットとか、世間知らずで上流階級なキャラクターが似合う。

■Memory (from Cats)
Olivia Breretonのソプラノが美しいこと美しいこと。
キャッツは観たことないしこの曲もメロディーくらいしか知らないんだけど、きれいな曲だなと。
ただ音をなぞるだけでもグッとこないし、行き過ぎて悲壮な歌にしてしまうのも違う気がする。
だれにも相手にされなくなったものさみしさからのつぶやきみたいな、地続きでナチュラルな音の吐露に聴こえた。
ファントムがメインなのに、この日一番印象的だったのはオリヴィアのこの曲だった。

■This Is The Moment (from Jekyll & Hyde)
3ファントムにAlistair Barronを加えて。
今はそこまでではないんだけど、このコンサートに行った頃はこの曲を聴くと「演歌みたい」って思ってたなぁ。
いい曲なのに笑いを挟み込みながら歌うので、視界的には楽しかったけど音に集中できなかった部分があった。
デビッドが硬い声でいまいちと思っていた私にとっては、アリスターのほうが変な力を感じず聴きやすい声に思えた。
アリスターについて返ってきてから調べたら、Gina BeckやSamantha Barksと一緒にウエストエンド俳優たちのコンサートに出てる動画を以前Youtubeでチェック済だった。
すぐ忘れてしまうものだな。。

■The Music of the Night (from The Phantom of the Opera)
■For Good (from Wicked)
やっぱりちょっとデビッドの声が気になりはすれど、3人のハーモニーが合わさったしっとりした仕上がりだった。
やっぱり音程のせいではないらしい。不思議だ。
For Goodもちょっとおちょくりながら歌ってたので、Wickedの大ファンとしては「ふつうに歌って~」と思ってしまったところ。

The Phantom of the Opera (from The Phantom of the Opera)
セトリに書いてないけど絶対やってた。
たぶん2ファントムか3ファントムと、オリビアとリサとで。
ここまで散々いろいろ書いておきながら、実はオペラ座のファントムのことは理解できない派なので、曲に美しさは感じても好き好んで聴くわけではない。
それでこのときもファントムよりもクリスにあたるオリビアとリサの声をよく聴いていた。

リサは昨年のイギリス旅行のときにウエストエンドのオペラ座でクリスをやっているのを観ていて、
「アンダーだけどすごく声きれいだし高音も楽々だな。高音楽々すぎて若干ピッチ高いかも。」と思っていた。
それをマカオで検証できたわけだけど、やっぱりちょっとピッチ高めで、なんならロンドンのときより高めだった。
声がいいだけに、デフォルトで音程が外れ気味というのは少しショック。
どうにか音程のチューニングうまくいってほしいなぁ。
リビアは安心の音程で問題なく高音出してたと思う。


書いてみるとなんのことはないんだけど、残しておくともしまた来日とかで見かけたときに見つけやすいかもしれないし。
自分の頭の整理のためにも書いておけてよかったかな。
3ファントムのリンクがいつまで有効なのかわからないので、セトリはともかく出演者はテキストでも残しておきます。

【Performer】
Alistair Barron, Olivia Brereton, Kieran Brown, Earl Carpenter, Rachel Chapman, Marisa McIntyre, Paige Starbuck, David Shannon, Lisa Anne Wood

脇役がうまいとその人のほうがすごい気がしてくる:La Traviata(椿姫)7/11@Palau de la Música Catalana

この夏、スペインのバルセロナに旅行した。
前々から「日本でもたまにしかオペラ観ないけど、いつか海外でオペラが観たい!」と思ってて、それが今回やっと実現した。
鑑賞したのは、椿姫。
感想はというと、一言でいえば「思ったほどでは…」という感じ。

La Traviata

もちろん今回の旅の目的は建築を観ることで、オペラはちょうどやってたからついでに観れた、というところ。
会場のカタルーニャ音楽堂は、ガウディの師でありライバルであったモンタネールによる建築で、天井のステンドグラスは必見。
見ることができてよかったし、たくさん写真を撮った。

ただ、音楽を聴く場所としてはどうなのだろうという感じで、微塵もステージが見えない席が結構あったり、装飾のペガサスなどが視界を防ぐ席もあり。
会場が会場だからオペラ用のセットは組めず、ステージ形式での上演だったということもあったし、客席のマナーもそんなに良くない。
もともとかなり空席があって開演しても座られていない席が大半だったので、みんなこぞって前のほうに移動したり、飽きてしまった子もいたよう客席内をしばらく散策していたりもしてなかなか集中できなかった。

椿姫はこのとき初見、歌われるのはイタリア語でもちろん字幕なし。
ネットであらすじを予習していったので「今この場面かな」くらいの理解で観ていたけど、それでだいたい終わりまでいけたので話としてはわかりやすい作品なのかなと思う。
前に見た「さまよえるオランダ人」なんか抽象的な話だったりするから字幕あってもついていくのが大変だったことを考えると、あまりオペラを観ない人でもこの作品はおすすめできるかな。
あらすじについてはググってください。

客席の埋まらなさ具合からもわかるように人気の実力派歌手が出ているわけでもなさそうだったし、先述したステージ形式での上演であることもあって、私にしては感動に乏しい。
一応印象に残ったキャストのことを備忘程度に残したいと思います。

【Violetta Valery】Sarah Zhai Strauss/Marga Cloquell
主人公の高級娼婦、ヴィオレッタ。
動画と同じ女性に見えたのでおそらくSarahの出演回だったのではないかと思う。
お顔立ちが西洋系ではないなとは思っていたけど、中国系の方なのね。
タイトルロール、破たんの無いパフォーマンスで安定感があった。
ソプラノだから高音域も楽々なんだけど、ハイAからBに上がるときの声がとても気に入った。
たぶん音のグラデーションが細かくなめらかなのと、そのグラデーションの音を丁寧になぞっているからかな。
所作がちょっと現代的で、わかりやすいといえばわかりやすいし、もう少しオペラっぽい優雅さが欲しい気もした。


【Alfredo Germont】Sergi Giménez/Carlos Cremades/José Concepción
貴族の青年、アルフレード
そんなにお顔に特徴がなかったのでだれの出演回かは不明。
今回の出演者のうちダントツのがっかりパーソン。不満。
音域は高いところも多少低いところも問題ないんだけど、声量がないのかとにかく声が負けがち。
彼はヴィオレッタに激怒して出て行ったりしなければならないのに、そういうところが全然伝わってこなかった。
出だしのただのやさしい青年のところだけなら違和感は少なかったかもしれない、そうもいかないけど。

【Goirgio Germont】Alberto Cazes/Jorge Tello
アルフレードの父、ジョルジョ。
この役の方がとても素敵なバリトンで、ヴィオレッタの次に印象的だった。
やさしい父としてのバリトン、厳格な父としてヴィオレッタを追い出そうとするバリトンアルフレードの物言いに苦言を呈す低音。
どれも存在感がありつつ、ただ音量が大きいだけでなく、声の硬さや響きで声音が違って聞こえたように思う。
いい声で歌も良かったのでもっと歌う場面がほしかったくらい。

【Flora Bervoix】Numil Guerra/Mar Esteve
ヴィオレッタの友人、フローラ。
大衆的で大雑把な女性に見えたけど、そういう設定なんだろうか?
歌はそつなくこなしている感じ。

【 Aninna (cameriera)】Cecília Ferraioli/Ayelén Seras
ヴィオレッタの召使い、アンニーナ。
この役の方も、ジョルジョ役同様に主役でないながらなかなかの美声を聴かせてくれた。
ジョルジョは存在感あるバリトンだったけど、アンニーナは縫い目のないなめらかなシルクみたいなソプラノ。
自分の声をぐいぐい主張してくる感は皆無で、でもさりげなく発せられる声が耳障り良い。
たぶんこの方も私の好きな周波数だか音程加減で歌っているのだと思う。

あとはもう覚えていないので、キャストのテキストのみ。
ステージ形式でなく通常形式でみたら、また思うことも違うのかもしれない。

【Gastone】Carlos Cremades/Felix Merino
【Marchese d'Obigny】Antonio Fajardo/German Casetti
【Barone Douphol】Jorge Tello/Guillem Batllori
【Dottore Grenvil】Néstor Pindado/ German Casetti
【Giuseppe (servo di Violetta】Emili Gispert
【Domestico di Flora & Commissario】Guillem Batllori

幾層にも重なるような音とダンスでできている:West Side Story 7/23ソワレ

観るつもりなかったけど、一応チェックしてみたらいい曲ばっかりだということに気づき慌てて観に行った@当日券。

Highlights of "West Side Story" on Broadway

観劇で払うのって高くても10000円くらいだからS席13000円は高いなと思った。
が、パフォーマンスがちゃんと良かったしそこそこ見易い席だったので総じて満足。
今回は真ん中よりちょい前のサイドブロック下手側に座ったのだけど、傾斜もあったし(シアターオーブは8列目からじゃないと傾斜がないことを今回ふらふらして学習した)、音の聴こえもまあまあと思った。
いつも2階席にしてたけどいつも音がこもるので、今度からは1階か3階かな~。

ざっくりとした感想は、
「曲に触れ幅とおもしろみとセンスがあって素晴らしい!」
「ダンスもバレエのようなクラシックな動きをベースに多彩に展開していて見ごたえすごい!」
「トニーとロザリア(+Somewhereソロ)の声に魅了された!」
の3本。笑

あと後味というか終演後の気持ちは、ノートルダムと近いかな、悲しくて悔しくてやるせない感じ。
私が彼らだったらどうしていたら…この悲劇は回避できなかったのか…
人間というのはどうしてこう賢くないんだろう…それでも生きていかなきゃならない人間って…。
(このあたりでやるせなさMAXで言葉が出てこなくなる)
もう観たくないかというとそうではない。
そういう衝撃的な気持ちを持てることはある意味自分の気持ちに変化を与える機会として貴重だし、音楽やダンスを楽しみたくてまた観たくなったりする。

さて曲については私が言うまでもないけど、クラシカルなものからジャズ、マンボやチャチャといったダンス音楽まで幅広い。
トニーの声が良かったからSomething's comingもMariaも良かったし、ロザリアの女優さんが舞台に姿を見せずに歌っていたSomewhereも素晴らしかった。
I feel prettyなんかは、WickedのPopularとかSound
of MusicのMy Favorite Things に雰囲気似てるかなと思ってかわいいなと。

ただこれだけ幅広いと、演奏するのも歌うのも踊るのも大変そうだなぁと楽器演奏や歌をかじる人間としては思う。
歌なんか、音符の行き来が激しい。
あと、あの音の重なりというか奥行きというか、なぜそういうふうに聴こえるんだろう。
込み入って難解とか緻密で固められてる感じはしなくて、幾層にも重なるような奥行きを感じた。
オケピを覗きに行ったら思ったほど楽器が多くなくて、なおのこと不思議だった(もちろんいい意味で)。

ダンスは微塵もかじったことがないのでわからないけど、少し様式美というか古典的な振り付けなのかな?
優雅に飛び上がるバレエのようなダンスがすごく好きで、何度も言うけどSomewhereは女声ソロとあいまって幻想的なシーンだった。

ジェットとシャークスのダンスは一人一人の動きや跳躍にやや個性があって(見方によってはばらつきがあって)、そういう意味ではダンスパーティの一連のダンスのほうがまとまりはあったかな。
んーやっぱりダンスについては疎いしこの作品を舞台でちゃんと観たのは初めてなので絶対評価しかできない。
ダンス素人としては、総じて「すげぇなぁ」「素敵だ」と思うことが大半で満足でした。

さて、素敵な歌声を表現するために書いているような本ブログのメイン、トニーとロザリアの印象的な歌について。
まずトニー、演じていたのはKevin Hack。
うまいうまいというクチコミは見かけてた。
そして期待を裏切らず素敵な歌声だった。

どう素敵かというと、Matthew James Thomasばりに高音に無理がなく、スムースに出るし高さも問題ない。
高音域を安心して聴けるだけでかなりポイント高いのだけど、しかもその音域でメゾピアノ~フォルテくらいのクレッシェンドもやってのけていた(Something's comingかな)。

ずっと裏声、とかずっと地声張り上げ、とかはやれる人いると思うけど、音程はそのままに息の量をだんだん多くして音量を上げてくのって難しいんじゃないかなと素人ながら思っている。
相当な息の量がないとあのクレッシェンドはできないと思うし、やり過ぎても声が揺れてしまいそうだし、器用にチューニングして歌ってるなぁと。
もちろんなんてことなしにやってたし、たぶんこの方MAXのところでも7割~8割くらいのパワーで歌ってたんじゃないかな。
まだ余裕がありそうだった。

あと、Mariaだったかな、甘くしっとり歌っていてこれも聞き応えがあり、たぶんAmerica並みに拍手が多く長かった曲のように感じた。
この曲の高音部分はさらに耳が幸せな感じで、オケの弦楽器と溶け込むようなきれいな声を響かせていた。
ほんと、バイオリンとかチェロみたいな、やさしいんだけど実はハリがある、という感じの声。
声というか楽器みたいだったから、音、という感じ。
(高音好きなもので、その話ばかりしてすいません。)

少しだけ気になったのは、声に角がないせいか、感情を爆発させてるように見える場面が思い出せないこと。
まあトニーはケンカもしないし、ベルナルドを刺すときも歌やセリフがあるわけでもないし、尖った声を聞くシーンがほんとになかったのかも。

というか彼に限らずカンパニー全体的に、幻想的なシーンとか抽象的なシーンの表現(主にダンスになるかな)のほうがしっくりくるものがあって、怒りとか熱っぽいシーンは少し形式化して見えたかな。
トニーについては、マリアが死んだという嘘を聞いて自暴自棄になっているところなんかは、悲しみ先行だから角がなくても悲壮さがあってそれはそれで良かった。

マリアといえば、Jenna Burnsは声が出てないわけではないんだけどビブラートが細かくて個人的にはあまり耳心地の良い声には聴こえなかった。
それよりも!ロザリアを演じていたNatalie Ballengerの声のきれいなこときれいなこと。

ちゃんと彼女の声だと識別して聴いていたのはAmericaくらいだったけど、あんまりきれいで美しい声だからもっと歌ってほしいなと思ってしまった。
ロザリアという役という観点でみればもう少しとぼけたファニーボイスが良さそうだけど、私は彼女の声がとても素敵だということを知れただけで幸せって思う。

そして彼女と知らずに聴いていたSomewhere(調べて知ったけど、この曲を歌う人は舞台に居ないというのがもともとスタンダードとして決まってるらしい)。
幻想的な演出とあいまってほんとに感動てしまった。

陳腐な言い方をすれば、尊くて浄化されそうな歌声。
聖歌みたいにストレートでも響いてこないし、あまり個人の個性が出るのもたどり着けないユートピア感に欠ける。
嬉しいのでも悲しいのでもなく祈りの歌として聴こえてきて、涙が出ないわけはなかった。
彼女はオペラもやっているみたいなので、それゆえこのさじ加減ができるのかなと感嘆した。

印象的なのは以上ふたり。
他キャストも少し触れると、アニタを演じたKeely Beirneは歌とダンスのバランスがだれよりも良かったと思う。
激しいダンスも見ごたえがあったし、歌も音域が合っていて、特にA Boy Like Thatは女として/姉としての彼女の心情が存分に表現されていたと思う。

エニボディかわいかったし、オレンジやカーキ、イエローのドレスもよく似合って素敵だったので全体的に目が幸せだったのはジェット側。
ただ男性陣はリフがダンサー寄りだけど歌もいけるかな、と思ったくらいで他に特筆した感想は思い出せない。
シャークス側はプエルトリコなまり(すごくRを巻く、あとLをはっきり発音する)がよくわかる話し方・歌い方で、英語で見るからこそ活かされる部分だなと思う。

キャストボードがなくて細かい配役がわからないし英語サイトも見当たらない、と思っていたら、あったわ英語サイト。
ドメインがドイツのだからスルーしてしまっていた。
http://en.westsidestory.de/

ここに載ってるキャストがどれくらいの頻度で更新されてくかわからないので、私が観たであろうキャストを一応テキストに残します。

Tony:Kevin Hack
Maria:Jenna Burns
Anita:Keely Beirne
Riff:Lance Hayes
Bernard:Waldemar Quinones-Villanueva
Doc:Dennis Holland
Lt.Shrank:Michael Scott
Officer Krupke:Kenn Christopher

【Jets】
Glad Hand | Resident Director:Eric Rolland
Action:Joe Bigelow
A-Rab:RYAN P. CYR
Baby John:Daniel Russell
Snow Boy:Logan Scott Mitchell
Big Deal:Andy Frank
Diesel:Kyle Weiler
Graziella:Lauren Guerra
Velma:Jill Gittleman
Minnie:Carley Ingold
Clarice:Veronica Fiaoni
Anybody:Natalia Sanchez

【Sharks】
Chino:Julio Catano-Yee
Pepe:Cameron Mitchell Jackson
Luis:Georgios Maniadis Metaxas
Anxious: Nahum McLean
Nibbles:Jonathan Quigley
Moose : A. J. Lockhart
Rosalia:Natalie Ballenger
Consuelo:Kelsey Elisabeth Holley
Francisca:Kayla Moniz
Teresita: Lauren Soto
Margarita:Nikki Croker
Swing:Nick Raynor
Swing: Kelly Methven

自身に近くて等身大な歌声:Gina Beck

またまたWicked女優だけど、今回はWEと北米ツアーでグリンダを演じていたGina Beck

Ruler of My Own- Stars of the West End Sing the Songs of Steven Luke Walker (The Young Victoria)

彼女のことは2013年夏にロンドンへ行った時にHayleyエルフィーと一緒に観た。
2階席中程から観たのではっきりみえていたわけじゃないけど、ネットに転がってる写真とか見ると絶妙に可愛い。
超絶美人とかじゃなくて愛嬌のある感じがにじみ出る可愛さ。

当時圧倒的エルフィー派だったこともあって、実は彼女の声については特筆するものが思い出せない。
(グリンダはオーストラリアのSuzie Mathersとか、日本なら劇団四季の苫田さんとかが好みかつ印象的。)
下手だなと思った覚えもないから、そのときの感想としては可もなく不可もなくだったかもしれない。
でも、帰国してから彼女の歌をYouTubeで探してみたら、ブックマークしておいて何度も聞きたくなるような歌がいくつもあるのだ。

なんでかなぁ、曲がいいのかなぁと、最近まで考えを巡らせてた。
それで、私のアンテナに止まる理由を言葉にしてみたら、「等身大な女性の歌」に聴こえるからじゃないかなぁというところに着地した。
ただきれいなだけじゃない、そこには一人の女性がいて、その彼女自身の語りのような歌に聴こえる。
壮大なテーマよりもそういう自分と地続きな曲のブックマークが多いので、少なくとも私にとってはそういうところが魅力なんだと思う。

いくつか見つけた彼女の歌うYouTube動画の中で、一番好きなのは冒頭に挙げたRuler of My Own。
Steven Luke Walkerの作曲で、この人の曲はけっこう好き。
Ruler of My Ownはヴィクトリア女王の映画「The Young Victoria」にインスパイアされてできた楽曲らしい。
曲がとても気に入ったのでてっきり映画に使われてるのだと思ってレンタルしてみたけど、それらしい曲は入ってなかったときは拍子抜けした。

映画の内容はお察しのとおりで、王家生まれゆえに何事も人に決められてきたヴィクトリアの話。
そして曲は、歌詞が見当たらないので一言一句聞き取れてるわけじゃないけど、ヴィクトリアが青年アルバートに出会って、誰のものでもなく自分の人生を生きようと歌い上げている。
出だしの不安で悲しそうな声から、彼に出会って彼に愛されて、自分を意のままに動かそうとする人たちに屈せず自分を律していくのだと強く言葉にするところまで、とても等身大。
最初から威厳や自信があったわけではなくて、様々な経験や出会いを経て得ていく女王としての風格。

若すぎても女王になっていく様との隔たりが気になるだろうし、年を重ねて貫禄が出てしまっても、迷いや不安から脱却する様が描けない。
Ginaがヴィクトリアと重なる若さが声や見た目にリンクしているから伝わる「身の丈」感だと思う。
少し歌というより地声で話してるように聴こえるところがまた然り。


Forever Child - Gina Beck - Music and Lyrics by Anderson and Petty

もうひとつ好きなのはForever Child。
Ginaに子どもはいない(と思う)けど、我が子が腕の中にいるのが見える気がする、優しい歌。
ベースは子守唄的なやさしさで、中盤から後半にかけては「私がなんとしてもこの子の手を引き導く」という決意や使命感も感じる。

これも、歌うにふさわしい絶妙な若さが活かされてる曲だと思う。
母になりたての真っ直ぐさといくらかの必死さ。
声の処理というか、音の角を丸くした声ならシエラとかのがより長けていると思うけど、この曲は変に丸みのある声でなくていい。
少しチューニング外の強さがかいまみえるような声が母の強さと余裕のなさにリンクしてる。

どちらも時々、特に癒されたい気分の時に聴きたくなる。
ロックでもポップでもミュージカルでもなくて、こういう曲にも出会えると、心の豊かさの引き出しが少しだけ増えた気がする。