Impressive Sounds

素敵な歌声や音楽を求めて。

女性のしなやかさと涙を連想する声:Rachel Ann Go

海外の人でアジアの人の歌声に注目することって実はそんなにない。
なぜならアジア系の言語はどうも怒って聴こえたり、なめらかさに欠けて聴こえたりすることが多いから。
そんな中、レイチェルはフィリピン出身なので、流暢に英語で歌える。
彼女が歌っているのをYouTubeで見かけてすぐ、「いつか生で聴きたいリスト」に追加した(私の中で)。


"The Movie In My Mind" Music Video - Eva Noblezada and Rachelle Ann Go

私が特にたまらないなぁと思ってるのは、このThe Movie In My Mind。(先に歌ってるのがレイチェル。)
ミスサイゴン観たことないけど、これ聴いただけで壮絶な作品であることは容易に想像がつく。
すごく熱唱してるんだけど、ふと息を抜くと女性の弱々しさが顔を出して倒れこんでしまいそうな感じ。
顔に出して泣いてないけど、心は泣いている感じ。

彼女はウエストエンドでもブロードウェイでも活躍してるくらいワールドワイド。
同じくフィリピン出身でワールドワイドなエヴァノブルサダ(The Movie~で後から歌う子)もとても素敵な歌を歌うけど、私はレイチェル派かな。
ちなみにエヴァは可愛らしさと少し鋭角を感じるような声で、若干アタックに似たものを感じるあたりちょっとイディナ要素あるかなと思ってる。

レイチェルの持ち役で私の中で印象強いのがミスサイゴンのジジ、レミゼのファンティーヌなせいか、タイトルのような印象を持ってる。
強く生きようとしてるけど、悲しさと儚さをなかったことにはできないような、そういう女性の歌を歌うのがとてもうまいと思う。

ファンティーヌの動画もみたことあって、それもかなり熱唱系だった。
いなくなった彼、もしくは生きづらい人生への歯がゆさや憎しみが大きくて、抑えきれず盛大に吐露してる感じ。
でも熱唱の最後で、糸が切れたように声が勢いを失って、人生を諦めて他人事のように歌を置いて終わる。
束の間の1曲分、自分がファンティーヌになったような気持ちで歌に聴き入っていたから、このナンバーが終わったらドッと疲れて、虚しいような気持ちになったのだった。

リトルマーメイドのアリエルがデビューみたいで、もちろんとっても上手だけど、アリエルよりも大人びちゃってる感じがした。
アリエルって思ったより若く、世間知らずに歌われて欲しいんだなと、レイチェルの歌を聴いて思った。
コンサートでDefying Gravity歌ったこともあるらしく、こちらはかなりいい感じ。

エルファバでアジアツアーとかで来てくれないかな。
などと思っていたけど、レミゼ、ミスサイゴン、そして次はハミルトン。
しばらく日本には来そうもないかな。
でも彼女がますます世界的に活躍することは素晴らしいなって思う!

まとまりのある四季演目を観たなという感じ:アラジン 12/3

初演はいつだったっけ?
ぼんやり観たいなぁとは思っていたもののそんな未来の日程のチケットとるのも気が乗らないなぁと思って数年。
今年のお正月に海宝さんの素晴らしい歌声に耳を奪われて「もしかしたら出るかも」と思って半年前くらいにとってみたチケットでした。
結局海宝さんではなかったけど、ずっと話題でチケットも取れないこの作品をやっと観ることができると、先月から楽しみにしてた。

劇団四季:『アラジン』最新プロモーションVTR

端的な感想はタイトルどおり。
「だれか突出してすごーい!」という発見はなかったけど、「とりたてて音痴もいなかったしダンスも素人目には十分きれいだったし舞台装置も衣装も凝ってたしおもしろかったー!」という感じ。
アラビアンナイトやプリンスアリーのダンサーさんたちのしなやかな動きと衣装のなびきは素敵だったし、月並みながら空飛ぶ絨毯はじめ装置もいろいろとすごい。
まあただどうしても歌声や音楽重視なので、音痴な人がいたりダンスがいまいちでも「今日は●●さんていう素敵な歌声の人見つけた!ハッピー!」と思えるときのほうが満足感高かったりする。

あとはファミリーミュージカルっぽい感じもあったのも「すごく良かった!」って感想にはならなかった理由かな。
それはストーリーに起因しているのもあるし、四季特有の開口法にも起因しているかもしれない(今回はそんなに開口気になる人いなかったけど)。
私も大人になってしまったせいか、ディズニーアニメのアラジンは知ってるし、それを生身の人間で再生しようとするとどうしても童話感があった。
それから私は特に思わなかったけど、一緒に観た友達はアラジンがマザコンに見えたらしい。わからなくはない。

そんなこんなだし感想はそこらじゅうにおっこっているので、この日観た人たちに対する簡単な感想を自分のために残しとく回。
全然知ってる人いなくて、強いてわかったのは「ノートルダムエスメラルダやってた宮田さん、やっぱめっちゃ踊れる人だわダンス素敵だわ~」くらいだった。笑


■ジーニー:阿久津陽一郎さん
看板俳優さんかな、この日一緒に行った人とは別の友達がとてもファンだと言ってた。
しっかり笑いのとれるジーニーで、歌も演技も安定感あって身長もあって見た目もよい、ありがたいジーニー。
個人的な好みで言えばふつうに歌がうまい人かなと思うので、もう少し太めの声のジーニーがいたら観てみたいかな?
逆に、もっと自を出したふつうの阿久津さんの歌にも興味ある。

■アラジン:厂原時也さん
筋肉バッキバキなアラジンだった!
お顔ははっきりしてそうだなと思ったけど、ちょっと身長が足りない感じがあって、特にアリー王子の衣装のときの着られてる感は最後まで違和感。
声の大きさと長さは少し物足りなかったけど音程は安定して聴きやすかった。
あまりチャラそうな感じのしない、本当にホワイトな仕事で生きていきたいまじめな青年という感じ。
逃げ足なら負けない、あんなに動いたりトランポリンしながら歌って演技できるのすごかったなぁ。

ジャスミン:三平果歩さん
席が近くなかったので見た目がジャスミンぽいかはわからなかったけど、声がとてもディズニープリンセスっぽい!
可愛らしい声で少し気の強い感じがあって、王女様の賢さというよりは現代のこじらせ女子的な意識高い系?という感じの役作りに見えた。
地声と裏声の切り替えがけっこう顕著で、もう少しなめらかに聴きたいなという欲と、高音での声量もあるともっと素敵。
でも歌もダンスもバランスよくできるほうなんじゃないかな?見てて違和感を感じることは少なかった。

■ジャファー:本城裕二さん
「悪人笑いをしたくなってきたわい」とか、必要以上に「あーっはっはっはっは(ヴィランズ顔)!」というシーン多かった?
この方もとても安定感があって、おさえるとこおさえて出るとこ出てる感じ。

■イアーゴ:町田兼一さん
すいません。
賑やかし要因だなという印象で止まってます。

■カシーム:萩原隆匡さん
遠目から観てもイケメンっぽいなー!と思わせるお顔とルックス。
担当音域も低いラインだったし、厂原さんが小さめアラジンだったのでかっこよさ際立つ。
演技も、口が悪いけど情に厚いキャラクター像がよく出てて、説得力ある相棒だった。

■オマール:嶋野達也さん
中音域なのでお声はちょっとつかみづらかった。
このポジションはなかなか演技プランが難しそう。

■バブカック:白瀬英典さん
なにかにつけて食べ物の名前に聴こえてしまうデブあるあるをとっても自然にやってらして、ちゃんと面白かった。
音域は高め担当、ハイアドベンチャーでは最後まで落とさずに高いハモリをしてたのが印象的!

■王(サルタン):石波義人さん
すいません。
記憶にあるのは「厳格な王」とか言ってたのにジャスミンがくると「ジャスミンちゅわーん♪」みたいにデレデレになるところくらいでした。笑


あ、ちなみにB席(9列30番台)に座ったけど、上下左右特に見切れはなく観やすかった。
ホールニューワールドで絨毯がどんどん上がるのでそのうち二人が見えなくなるのでは?と思ったけど、見える範囲でおさまってた。
若干地面とか下方向がよく見えるので、よく見てたら誰かが登場しそうな穴があったり、絨毯の下の仕掛けが見えそうな見えなさそうな…という場面はあった。
でもウィキッドは出てきた橋の上に立ってるキャストが見えないとか、「congratulotions!(日本語だと「結婚おめでとう!」なのかな…いつもB席だったから見えたことがない)」の垂れ幕が地味に見えないってことがあったから、そういうのがなくて良かった。

あまりにも美しく慈愛溢れる歌声:マザー・テレサ 愛のうた 11/18ソワレ

伊東えりさん。
美女と野獣のベルの声と歌、ムーランの歌、メリーポピンズの歌など、ディズニーでおなじみの声の方。
あとサントラなどにも参加されてるらしい。
YouTubeでその声を聴いて、こんなきれいな声を生で聴けたら!と思って聴ける機会を探していたら、この公演があったので即決。


A song of storm and fire - Yuki Kajiura LIVE 2008 [HQ]

ちなみに最初に伊東さんの歌声に出会ったのはこの曲だった。

話としては当たり前だけどマザーテレサの生きざまについて。
正直彼女について詳しくないので少し難しく感じた。

幼少期の母の教え、読書家で本をたくさん読むなかで知った「小さき花のテレーズ」、ダージリンへ向かう電車で啓示を受けたこと。
最も貧しいカルカッタのスラム街での活動、「神の愛の宣教者会」設立、「死を待つ人々の家」開設、ノーベル平和賞
入ってたエッセンス的にはこんな感じかなぁ。
けっこう細かく説明してた感じ。

ミュージカルにも色々あるけど、この作品はレミゼみたいに全部が歌で進んでいく方式。
けっこう歌いこなすのが難しそうな曲も多かった。
マザーテレサは音符・音階的に、ジャーナリストは説明的な部分に、それぞれ難しそうな感じを受けた。
特にマザーテレサは伊東さんじゃないと歌えないんじゃないのというくらいで、もしや当て書きかな。

今回ミュージカル座の作品を初めて見たのだけど、キャストや観客が不思議な感じだった。
伊東さんはじめ誰が見てもプロだなって方から、プロアマの合の子みたいな方まで。
子役がいたからか、題材ゆえか、客席には子どもも多かった。
舞台上は美術はしっかりある感じで、でも衣装は少しお手製感があったり。

さて、子細なことはさておき、伊東さんの美声について。
裏声との切り替えはそれなりにあるんだけど、裏声になったらなったでまた美しい響きで、音量が減るどころか伸びが増すように聴こえた。
歌いこなしが素晴らしいし、こんなに感情の乗った歌声ってあるのね…。

声そのものももちろんいいけど、声にのせる含みや温度が殊更に素晴らしいのだと思う。
演じてるとかいうのとは少しだけ違って、マザーテレサをよく理解し丁寧になぞりつつ、自分の身近な慈愛の感情も添えて表に出しているような。
当事者の熱と、それに理解を示し共感してあげるやさしさも感じる歌の抑揚だった。
(「声」の「音」として書き表せないのがとても悔しい!)

登場時はそれこそディズニープリンセスのような可愛らしい声で、正直想像以上に「そういう声」だったので驚いた。
でもこれ、ちゃんと年齢ごとに声音を分けてるんだなと早々に気づいて、あぁやはり声をお仕事にする方は芸が細かいなと。
可愛らしい声からしっかりした声に、次第に威厳を帯びて、晩年はやさしく丁寧な声にシフトしていた。

すでに書いたように曲がかなり難しくて、伊東さんでないと歌いこなせそうにない感じ。
それゆえ伊東さんの歌を聴くためのような作品に仕上がってる感が強い。
私は伊東さんの歌が聴きたくて行ったから大満足だったけど、作品としての良さは正直ちゃんと受け取れたかわからない。

その他の素敵ボイスメモ。
テレサの子役ちゃん、歌うまいという設定もあり、とっても安定感あるパフォーマンス披露してた。
「いいことをするときは海に小石を投げるように(奢らず誇らずしなさい)」という母の教えに「わかってる」と返すときの言い方。
「わかってる」の手前に小さい「ふ」が入るような言い方、巧みだなぁと思った。

小さき花のテレーズとベルギーから来た看護師・ジャクリーヌの人もいい声だなと思ったら、同じ方が演じてた。
こういうことがあると自分の耳に自信が持てる。笑
浦壁さんという方が演じていて、ちょっとディズニーの「デイジー」っぽさのある、声の抜けが少し独特な方だった。
ちなみに浦壁さんかなりお若く見えたし声もお若く感じたけど、しっかりキャリアのある方だった。

他にもメモしたことはあるんだけどまとまらないから、気が向いたら追記するってことで。

最後にバラの花びらが降る演出が、とてもとてもきれいで幸せな気持ちになった。

【キャスト】
マザー・テレサ:伊東えり
ジャーナリスト:岸田敏志
聖フランシスコ/マイケル・ゴメス:麻田キョウヤ
ヴィック神父/医者/航空会社幹部:菊地まさはる
小さき花のテレーズ/ジャクリーヌ:浦壁多恵
ドラナ/アデル/ジータ:稲田みづ紀

それぞれのプロフェッショナル集結:Secret Splendour 11/5ソワレ

赤坂ACTシアター、とても久しぶりに行った。
前に行ったのは藤原竜也さんや美波さんが出てたチェーホフの「かもめ」かな。

宝塚を卒業?引退?された早霧せいなさんのコンサート??ショー??に出演する、海宝さんを目的に。
6月のレミゼ以来の海宝さんの生歌だからすごく堪能した。
1階の真ん中よりちょい前の上手ブロックだったんだけど、それなりに近くて見やすかった!
音響も問題なかったしなんなら生演奏もしっかりしてて、ハープやヴァイオリンの弦をつま弾く音が聴こえるって贅沢だなと。


『シークレット・スプレンダー』公開ゲネプロ ☆早霧せいな☆大野幸人/小野妃香里/海宝直人 安寿ミラ

※宝塚全然知らないしセトリもほとんど転がってなかったので、作品名や曲名がわからないの多いです。
「~のやつ」「~みたいなの」多発、あと順番も自信なし。


幕開き、「Hold on I'm coming♪」みたいなコーラスで早霧さん踊りつつ歌唱。
色白で華奢だな~とひたすらに思ってた。
歌がお得意だな~とは思わなかったけど、全編通して音程を外さないので不快感なくてそれはよかった。
息が続かないのかビブラートなのか男役はそういう歌い方なのかわからないけど、伸ばすより短めに、けっこう細かく揺らして音の処理を終える感じ。

そうこうしてるうちに海宝さん!
「She is a lady♪ 彼女と腕組み歩けたら最高♪」的な歌を歌ってて、フラれたら目を白黒させてて芸が細かい。
なんなく歌えてしまう曲らしく、余裕たっぷりの歌唱。
そのうち曲がアップテンポになり軽く踊ったと思ったら、コンテンポラリーダンスみたいな振り付けで早霧さんに寄り添うポーズがあり、なぜか、なぜだか、ちょっと笑いそうになってしまった。
シンガーだと思ってたら急にダンサーっぽくなったからかしら。

みんなはけて、「ジュテーム ジュテーム♪」っていう早霧さんのソロ曲がひとつあって、とっても宝塚っぽい感じ。
それから小野さん、J Kimさん、原田さん、安寿さんがパペットを両手に「双子だもの♪」みたいな可愛らしい曲があって。
小野さん、背が高くて足が長くてスリット入った衣装でとってもスタイル良かった!

J Kimさんがバラードっぽい曲を歌うのをバックに早霧さんと大野さんが踊るナンバーもあり。
J kimさん、この曲だとなんだか声が硬くて少し聴きづらかったけど、調子悪かったのかしら。
その後海宝さんとJ Kimさんが歌、早霧さんと大野さんが切なく踊るナンバーがあり。
「私は風車 あなたが回す♪」と海宝さんとKimさんが互い違いに歌うところがとってもきれいで、Kimさんの抑えたしっとり声にやられた。
歌詞は聴こえるように歌うんだけど、声は鼻に逃して抜けるような音にしてて、これがすごく好きだった。

(海宝さんはこんな連続で出っぱなしじゃなかったから何か抜けてるけど)、次はマイフェアレディのファニーフェイス。
背景に映る早霧さんを見ながら語りかけるように歌ってて、好きなんだなっていう役作りの微笑み加減がまた素敵だった。
衣装はチェックっぽいグレースーツにベレー帽で、ヨーロピアンに見えるような、昭和のサラリーマンにも見えるような…。

I could have danced all nightからダンサーのターンになり、みなさんそれぞれの得意を活かしたダンス披露タイム。
大野さんのダンスが特に素敵なこと!
人間こんなに軽やかに飛べるのね…あんなにしなやかに足が上がるのね…
女性のふわりと軽いダンスでもなく、男性の力強い重みを感じるダンスでもなく、美しくてでも女性ではなくてっていう、中性的なダンスに見えた。

海宝さんはバレエのくるくる回転ターンみたいなのをやろうとしてできなくて「ちきしょー!」って感じで帽子投げて帰ってった。笑
どうして彼をそんなに踊れない枠にしておくのかしら、踊りが得意ではなくても踊れないわけではないのにと思ったけど。
きっと忙しすぎて歌は覚えられてもダンスまで覚えるの時間がないのかもねと。

その後、スペインっぽいダンスを原田さんと大野さん、大野さんと早霧さん、が踊り。
原田さん、手足の先まで使って踊っている感じで、稼働域なんかは大野さんとかのが大きいんだけど、その細やかさに惹かれたなぁ。
早霧さん、安寿さん、小野さん、J Kimさんで「エル アモー♪」みたいな、これもやっぱりスペインぽくて渋めの曲を歌い。
四重奏はきれいだった。

日本っぽいセクション、みんな着物なのに海宝さんだけスーツのまま…着物見たかったな。
竜宮城的な不思議な世界に誘われて、よくわからずちんどん屋みたいな楽器背負わされて上手から下手へはけるという謎の演出も。
丹澤さんがとても背が高くて着物も似合ってて素敵だった。
早霧さんメインで殺陣するシーンで、「早霧さんかっこいいー!」って舞台上で言いまくるお吉ちゃんとお花ちゃんに笑った。

そんなこんなで1幕終わりかな?
どこだったかで早霧さんが「君と過ごした時間が~奇跡が~♪」みたいな曲歌ってていい曲だなと思ったんだけど、どこだったかしら。

2幕、皆さん赤と黒の衣装で現れルパンのセクション。
早霧さんがおどけるルパンをしていて、この方コメディっぽいのもいけるのね~と面白かった。
よく見たら海宝さんもノースリーブの赤衣装だったけど、あっという間にはけていなくなってしまった。残念。
早霧さんと桜木さんが踊るセクションを経て、海宝さんの見せ場の歌に。

キスミーケイトのToo Darn Hot(字幕「Damn」になってたような…見間違い?)、なんといっても曲最後のFからhighFへの歌声のスライドが器用だった!
highFのほうはほんとに声帯を高音用に動かしたなって見えるかのような素晴らしいチューニングだった。
あんなにきれいにあの音までいけるのは海宝さんくらいでは?と思ったけど、中川さんもなんなくやりそう。
あとは「まじでやばい」「無理だ やってられるか」とか、あまり聞かない粗っぽい言葉遣いの歌だったのも斬新。

丹澤さんがサックスで入ってて、イケメンで楽器も歌もダンスもできる人が多いんだな~と。
しかも覚えてるだけでも、彼はアルトサックスもテナーサックスも吹いてた。
サックスなどリード使う系楽器が吹けない私はその多才さがもう意味わからない。笑

それと早霧さんと海宝さんのデュエットでMaybe me baby loves me、「シュドゥバラルベィ シュドゥバラルベィ♪」とスキャットのようなシュワシュワ言ってるように聴こえた。英語かしら。
海宝さん、ハモりの調節も素晴らしいんだよなぁ。
邪魔しない、相手の音量や歌声にあわせてなめらかにそばを伴走する感じ。

そして原田さん、小野さん、J Kimさんのセクシーさ満点のビックスペンダー。
原田さんは踊りもすごいのに少しハスキーな声で歌も味があって、あれこれできてすごいなぁ。
そこに安寿さんを加え、女性4人と海宝さんのDangerous Game。
なかなか聴けない低音ビリビリの海宝さんもとても良かった。
高い音域のほうがお得意かなと思うけど、低い声もしっかりあたっててすごくかっこよかった。
女性陣を意図的に翻弄するというよりは、気づかぬうちに女性陣を引き込んでしまう…って感じの怪しさがあった。
見た目には、声ほどの怪しさはそんなに見えなかったかな?

Dangerous GameでのJ Kimさんの「まるでミステリー」の声がツボ過ぎて、耳に貼り付けておきたい。
そんなJ Kimさん、Into the Woods のNo One Is Aloneもやさしくさとすような、そのまま空気に溶けていきそうな、絶妙な声で歌ってた。
ママはあなたをガイドできないけどそばにいるわ…(意訳)みたいな曲で、あぁうるうる。
Kimさんは抑えてしっとり歌うと高橋真梨子さんみたいな、もしくは竹内まりあさんみたいな声。
張り上げ声よりも個人的には断然こちらのほうが好き。

Brotherhood of Manでは、仲良く歌い踊る男性キャストが可愛らしかった。
ちょっと振り付けがダサいな?と思ったけど、さっきYouTube見に行ったらもともとそういう振り付けにしてあるようだった。失礼しました。
それで、「私も仲間に入れて!」と言う小野さんに続いて、「私も!」と早霧さんもきて「シスターでーす!」とやるくだりが面白かった。

早霧さんが緑のドレスに着替えてOne Night Only歌ったり、Don't Rain On My Paradeも歌ったりしてたけど、どこでやってたかもうわからない。

終盤にさしかかり、安寿さんが「飛び立つつばめよ~♪」みたいな曲を落ち着いた威厳ある表現で歌ってた。
早霧さんが宝塚を巣立ったつばめということかな。
そう思って聴くと、特別ファンじゃないんだけどなんだか感慨深いような気がしてくる。

KimさんがスローテンポでI Will Follow Himをしっとり歌い出し、それを引き継ぐように海宝さんがきれいな高音ファルセットで。
海宝さんの高音で似たようなタイプの曲を歌ってるのを聴いたことがあって、それはMMS2017でのBring Him Home。
その時は音を響かせるような声の出し方、今回は音を少しずつ遠くに置くような声の出し方。
前者は奥行き、後者は飛距離を感じるアプローチに感じて、ほんとに彼の歌には飽きないなぁと。

最後、I Will Follow Himがアップテンポになってみんなで楽しく歌って踊ってはけて。
早霧さんがケセラセラ、これからもそういう構えで進んでいこうじゃない、と歌い。
またみんなを呼び戻してご挨拶をしておしまい、って感じだったかな。


宝塚とか全然見なくて、だから早霧さんも知らなかったし、宝塚では当たり前のネタとか作品とかも知らなくて。
そういう部分で宝塚ファンの人たちが笑ったり喜んだりしてるのに正直ついてけなかった。
そして正直1幕は構成が謎で閉口した(海宝さんの出番も少ないし)。
けど、2幕はまとまりもあるしメジャーなミュージカル曲も多かったし、結果的にけっこう楽しめちゃった。

やっぱり海宝さんの自由自在に声を操る素敵な歌がとても素晴らしいって思ったし、J Kimさんのしっとりボイスの虜になった。
ダンスに疎い私でも思わず見とれるようなダンサーさんばかりで、特に大野さんは目を引いてしょうがなかった。
あと早霧さんがまじめでお茶目で面白い方で、あぁ確かに愛されそうだなぁってほっこりした。

海宝さんが出てなかったら見ることもなかったであろう作品だったけど、珍しい曲や衣装もあって、いやーけっこう楽しかった。
頭から終わりまでまじめな作品を好んで見がちだけど、たまにはこういうのもいいねぇ。

【出演】
早霧せいな

大野幸人/小野妃香里/海宝直人/JKim/丹澤誠二/原田薫/安寿ミラ(特別出演)

笹岡征矢/鮫島拓馬/花岡麻里名/吉田繭

桜木涼介

局所的な「好き」ポイント:Wickedエルファバ女優たち

2016年夏以来、1年以上Wickedを観てない。
曲が大好きで中毒なのもあるし、時々観ては「自分の行く末は自分で決めるんだぞ私」と戒めていることもあって、そろそろまた観たい。
そんなこんな思いながら、一人ずつまとめるほどの分量ではないけどでも書いておきたい、そんなエルフィー女優たちについて。

つらつらと書けないのは、生で観ていなくてYouTubeの情報しかないから、というのもある。
全体的にDefying Gravityの歌唱に的を絞って書いてる感じ。

■Donna Vivino
北米ツアーのエルフィー、ブロードウェイのスタンバイエルフィー。
彼女がどうしてブロードウェイでメインだったことがないのか本当に不思議。
Wikipediaによると彼女がスタンバイだったときのメインはCarmen Cusack、Teal Wicks、Lindsay Mendezのようだけど、この中だったらドナが好き。

特に素晴らしいのは、ハスキーで空気を震わすような響きで発声しているとき。
その声の振動が不安に震えながらも自分を奮い立たせて一人飛び立つエルフィーらしい。
あと、最後のAhhh~!が独特の音階をなぞっていてそれもピシッとハマる。

Donna Vivino - "Chandelier/Defying Gravity" January 16th 2015 at 54 Below
↑↑1:30手前からDefying Gravity。↑↑


■Kerry Ellis
ロンドンウエストエンドで、イディナの次にエルファバを演じたイギリス出身女優。
後にブロードウェイでも演じ、またウエストエンドに戻って演じてた。
エラ張りさんなのか少しベースっぽいお顔だけど、基本の声はどちらかというと可愛らしめ。

この方はとにかくDefying GravityラストのAhhh~!のシャウトがたまらない。
ある意味そう思う理由はドナと似てて、空気を震わせるような波長の声を出していると思うから。
ケリーについては若干ピッチ高めの音程の動画を見かけることが多いんだけど、それはそれで絶妙に良い。
エストエンドに舞い戻ってからのエルフィーはちょっとエネルギーに欠けて雑な感じがして、ブロードウェイ時代がより好きかな。

Defying Gravity - Kerry Ellis, Dianne Pilkington - WICKED The Musical London 2007
↑↑ブロードウェイ時代になるとさすがに少し昔だからいい感じの動画が少ない。↑↑


■Rachel Tucker
TVのオーディション番組から輩出されたアイルランド出身女優。
(その番組でライバルだったのが映画レミゼでエポニーヌを演じていたサマンサバークスだから、二人ともすごい躍進!)

イギリス系の方だけどパワフルで、アメリカンのソウルフルな歌唱を思わせるところがある。
あえて鼻に引っかけたような声を出しながら歌ったり芸達者なイメージ。
Defying Gravityの大サビでの個人的な解放感No.1。
「もう誰の声も聞かない!自分の声に従う!」と言っているように聴こえる。

Defying Gravity (Rachel Tucker performing on "Dancing on Ice')
↑↑アイスショーでの歌唱披露だけど、私が書きたいこと、彼女のエルフィービジュアルがわかりやすいはず。


■岡村美南
今回の人たちの中で唯一生歌を聴いたことがある。
劇団四季でメインを多く演じる女優さんで、背が高くスレンダー、お顔は美人~可愛らしいの間くらい。
人一倍やさしくてそれゆえクレバーで孤独感も強そうなエルファバ。

日本では岡村さん、雅原さん、江畑さんのエルフィーを観たけど、断然岡村さんが好き。
とにかく声の処理がきれいで、特に高音のファルセット?ビブラート?が美しく、Defying Gravityの前半でうっとりしたほど。
面積と奥行きが広いタイプの声で、迫力があるのとは少し違う、威厳を放つ歌だったように思う。

劇団四季:ウィキッド:「あなたを忘れない」:ミュージックビデオ
↑↑生歌はもっとストレートでほんとに美しかったんだけど、これは演歌っぽく聴こえるのはなぜ?↑↑


主に海外のWickedをちらほらチェックしてるけど、だんだん素敵な声の人が卒業していってる感じがする。
最近の人でピンとくる人が思い浮かばなかったので、またビビっとくる声の出現を楽しみにしてるところです。