Impressive Sounds

素敵な歌声や音楽を求めて。

1度で受け取りきるのは難しい:ポストマン12/24ソワレ

なんだかマイナスに見えるタイトルだけど、マイナスなことを言いたいわけじゃなくて。
脚本なのか、音楽なのか、3人それぞれの歌と演技なのか、それとも私の個人的な問題か。
どこに起因するのかわからないけど、この日1度観ただけの私には作品の魅力の半分以下しか受け取りきれなかった気がして惜しい気持ちってこと。
もっと前向きなタイトルつけたかったけど、直後の最初の率直な感想がこれだった。

ミュージカル ポストマン、初演と再演があり、今回は再再演とのこと。
キャスト4人、オケ4人ととても少ない人数(裏方さん除く)で懸命につくられた、「つくりこまれた」というよりは「ハンドメイド感」を感じる作品だったかな。
いつもは「あらすじはよそでどうぞ」と丸投げなのだけど、あまりオフィシャルな「よそ」がなさそうなので簡単に。
※思いっきりネタバレあり、1回観た記憶だけで書いてるので正しくないところもあるはず※

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【キャスト】
眞人、マルコ:海宝直人
英二、パオロ:上山竜治
美月、ソフィア:小南満佑子
少女:井出柚花

時間軸は2つ、現世@日本と、前世@100年前(たぶん)のギリシャのとある島。
現世で若手(たぶん)絵描きの眞人は夢だった仕事をしているのに、自分の描きたいものが見つからない・描けないことに苦悩している。
そんなとき(日本のどこかの)島の教会に絵を描いてほしいと島の村長の知人である英二から頼まれ、赴いたその島で美月という女性に会い、彼女を描きたい衝動に自分でも驚く。

眞人の持っていたオルゴールのメロディが英二や美月の島特有のものだったり、美月の行ってきたギリシャの島の教会の絵の話だったりから現世と前世をリンクさせて、二幕では前世の話に。

マルコはお金のない漁師で、漁に出ては病弱な友人であり郵便配達人であるパオロの薬代を稼いでいる。
ソフィアとは相思相愛でプロポーズすることを決めるが、パオロは過去に自分も身分違いの恋をし恋人を失ったトラウマから反対。
マルコはプロポーズの指輪の代わりに教会にソフィアの絵を描いていたが、完成間近でソフィアは島を出ることに。
ソフィアはマルコに「迎えに来て」と手紙を出すも、配達人であるパオロは自身の判断で別れの手紙と告げてしまう(マルコは字が読めない設定)。

ソフィアとの別れで悲しみにくれるマルコ、しかしパオロの体調が思わしくないためさらに稼がなくてはと漁に出る。
入れ違いでソフィアが一人島に戻ってきてマルコを待っていたが、悪天候によりマルコは帰らぬ人に。
ソフィアはそれでもマルコを思い暮らしたであろうことが示唆される。
過ちを悔やむ余命短いパオロは、島の少女から亡き父への手紙を預かるとともに、マルコにも手紙の真実を伝えようと語り二幕が終わる。

美月の絵を描いていて眠ってしまっていた眞人は、手紙…?と呟いて目覚める。
美月の絵を書き上げてしまったら自分の夢がまたなくなるのではと不安になった眞人は島を出ようとするが、「大事なものならばなくならず続いていくはず」と英二に諭される(ギリシャに残る教会の絵の写真も見せながら)。
眞人は美月のもとへ戻り最後まで絵を描かせてほしいと伝え、この先へのそれぞれの希望を感じるような音楽と照明とともに三幕の幕が下りる。
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眞人・マルコの海宝さん、今回もほんとに素晴らしい歌を聴かせていただいてありがとうございます!と思った。
音圧がすごいと思うときでも点ではなく面で押してくる感じで、音の鋭さだけで済まそうとしたらきっとうるさくなってしまいそうな声もこの人にかかれば立派な迫力として出力される。
なんだろう…まろやか?しなやか?な声。
揺らし加減が絶妙で、弦楽器のような品の良さ、でも金管みたいな華やかさもあるような。

眞人とマルコでは、眞人のほうが個人的にはしっくり。
まっすぐで情熱的なマルコにもとても説得力があったけど、眞人のほうがリアリティがあったからかな。
あとはマルコのナンバーは熱量がすごいので、小さいハコ(今回は時事通信ホール)に合ってないような気がしたせいもあるかも。
というかありがたいことにとても前の方の席で観たので、近すぎて圧倒され過ぎたのかも。
だからこそ、ソフィアを思う涙も、眞人衣装でなぜかひとつだけボタンがスキップされてる(笑)のも見えたけど。

それから、マルコの「この世の人でない感」出すのうまかった、どうやって出してるんだあのオーラ。
そういうトリッキーなまでに感じる演技力の一方で、細かいところもおろそかにしない丁寧な動作もあった。
たとえば、描いた絵をスキャンしてるときにはみ出した紙をもう一度挟み直すところとか。
あそこはスキャンしてることが伝わればいいのだと思ったけど、「スキャンとして正しくない(絵が斜めになる)」と考えてさりげなくやり直したのかなと思った。
あと冒頭もすごく寝起き感が出てて、冬の朝感すごかった。

英二・パオロの上山さん、やさしいお声だったな~。
いい声だなって思うときは何か別のものにたとえてその良さを伝えたくなる性分なのだけど、彼の声は例えようもなく人の声。
ナチュラルに話す声や話し方が素敵で、逆に歌うとその声の魅力が少し隠れてしまうような気さえした。
どうしても力が入ってそのナチュラルさが損なわれるというか。

英二・パオロのキャラクターに話を戻すと、人に慕われるだろうなっていう説得力があった。
上山さんもパウロより英二のほうがリアリティーあってしっくりきたかな。
ちょっと風変わりな男性という役だけど、適度なユーモラスを散りばめながら演じられてた印象。
あと英二が穏やかで愛のことをぼんやりとでも意識している伏線があったから、ある意味ポストマン=タイトルロールとして締めるとこ締めてくれたようにも思う。

歌は…海宝さんがうますぎるからなあ。
いい声なのだけど、音量・音程ともに少し応援したくなる感じだった。
三重唱になると海宝さん>小南さん≧上山さんってバランスで、度々聴きづらいところも。
でもほんと、この方はしかるべき演技をしてくださったので、初見でもちゃんとエッセンスが飲み込めてありがたかった。
二幕最後、背を向けていたところから振り返ると泣いてたようで、ほんとに鼻声みたいになっていて、それも良かった。

美月・ソフィアの小南さんかなり元気な印象、とてもお若そうで、お肌ぷりぷりのつやつや。
良くも悪くも、他のお二人ほど声に対する印象はあまり強く浮かんでこなくて、聴きやすい声だったかな。
彼女は、美月よりもソフィアにしっくりきた。
親の意向を気にしてばかりの少女から、マルコに出会ったことで凛とした筋の通った女性になる様が素敵だった。

演技というか表情が今風なものが多くて、そのあたりは個人的にはあまり好きになれなかったけど、演出の指示かしらオリジナルかしら。
たとえば、マルコに会えて夢じゃないかと頬をつねる、嬉しいときに口角だけでなく唇全体を持ち上げる、など。

歌は、音がかなりいったりきたりするから、難しそうだなって思った。
他の人もそうなんだけど、女性は音域高いところへ急に上がったりするところも多かったし。
上がりきらないまま数小節歌ってるところは頑張って!と思ったけど、マルコの絵を見て背を向けて歌ってるときに泣いてたみたいで最後声が出なくなってて、そこは逆に良かった。
絵といえば、カーテン越しにソフィアが微笑んでて、それがマルコが教会にソフィアの絵を描いてる様を表しているところ、素敵だったし可愛かった。

あとハプニングで、舞台装置?にスカートがくっついちゃったようなシーンがあって。
海宝さんと「くっついちゃったね」「ちょっと待っててね今すぐ行くからね」とそのままのテンションでアドリブしていたの可愛かった。
美月は出番が少なめだし人柄があまりよく見えなくて、他の人だとどうなるんだろう?っていう疑問というか興味はわいた。

少女の井出柚花ちゃん。
いっちばん最初にオルゴールのメロディ歌うとき、「この世のものでない」感を出すためかほとんど歌詞が聴こえなかったので心配したけど、杞憂だった。
この子だけは現世も前世も同一人物として出てくるんだよね。
違和感少なく、でも溶け込むでもなく、少し不思議な立ち位置として効果的に存在してくれた気がする。

ストーリーについては正直あまり好きなタイプのものではないし、突っ込もうと思えば突っ込めるところもあると思う。
(実際、一緒に行った子とは「あそこが変」「ここはおかしい」とそこそこ盛り上がってしまった。)
でも、これは1回しか観てないからかもしれなくて、他の作品だって突っ込みどころあっても何回か観るうちに気にならなくなったりするから、なんとも。


今年のお正月に初めて海宝さん@ノートルダムを観て。
「(海外ミュージカルはたまに観てたけど)日本にもこんなに素晴らしい人がいるんだ!」と衝撃を受けてそろそろ1年。
同じように素晴らしい人が他にもいるのではと、今年は毎月何かしらのミュージカルを観に行ってた。
もちろん素敵な歌声に何回も出会えて嬉しかったけど、海宝さんご本人のノートルダム以外の公演も含め、「お正月のノートルダム」が2017年最も忘れたくない公演かな。

今年はノートルダムで観劇初め、ポストマンで観劇納め。
2017年のスタートもエンディングも海宝さんの関わる作品だったので、今年は間違いなく海宝さんイヤーでした。
いろんな作品や素敵な歌を歌う人たちを知るきっかけをいただいたこと、感謝だなぁと思います。

月並みだけど、とにかく豪華だった:4Stars 12/24マチネ

パティーナミラーが出演キャンセルということで完全に見送ってたんだけど、プロモ動画のI Could Have Danced All Nightを見たら、なんかやっぱり行かなきゃと思って行ってしまった。
今回の出演は、シンシア・エリヴォ、ラミン・カリムルー、シエラ・ボーゲス、城田優
このときあまり体調良くなかったのでとてもかいつまんで書く。


『4Stars 2017』 舞台映像


・Corner of the Sky
ピピンでは2番目に好きなナンバー(1番はMorning Glow)!
てっきり城田ラミンで歌うのかと思ってたら、4人それぞれ歌うという贅沢仕様。
歌い出し直前に「僕たちと愛を探す旅に出ましょう」という城田さんMCが入った以外、本編アンコールともにMC無し。

・Part of Your Word
リトルマーメイドの大好きなナンバーを大好きなシエラの声で。
ただしショート版だったので少し不満。

・Neverland
ラミンは散々YouTubeで聴いてたけど生は初めて。
思った以上に声の輪郭が強くて、この曲に関してはもう少しでマイルドに歌ってほしいところ。

・The Color Purple
シンシアをメインに、とてもハーモニー豊かに。
ビヨンセとかもそうだけど、ブラックミュージックの人たちって声というか歌い方というか少し似てるなと思った。
シンシアも延長線上にいる気がする。

・闇が広がる
これが、みんな大好きエリザベートの中の1曲なのね(観たことない)。
城田ラミンで、ものすごい迫力だった。
日本語だと音数が少ない分べったりどっしり感が強くなるのかも?

・Something there
ベルのような強くて凛としたプリンセス感はさほどだけど、恋するプリンセス感は素晴らしいシエラ。

・Empty Chairs at Empty Tables
これも個人的にはラミンの声は強すぎたかな…。

・私だけに
シエラのこれはすごく楽しみだったし、実際やっぱり素敵だった。
ショート版だったけど、日本版のYouTubeたくさん観た中のどれよりも音楽的に魅力的な「私だけに」だった。

・J'ai Peur
とにかく「ぼくはこわい」という歌詞を何度も歌う歌というのは覚えてる。
城田さん、こういう苦悩してる曲を歌うのがハマる感じがする。
演技寄りの「歌」じゃなくて、歌寄りの「演技」みたいな歌い方。

・Aimer
城田シエラで、これも日本版YouTubeではなかなかお目にかかれないクオリティ。
このレベルで聴けるならロミジュリ観てみてもいいかな…?

・I Could Have Danced All Night
なんだかんだいこうかなーというきっけになった曲。
男声と女声の分かれ方がマッチしていてゴージャス。

・Everyday Princess
シンシアの声がとってもキュートだった2幕オープニング。

・Unusual Way
いいと思ったメモに残してたのに思い出せない①、歌ってたのはシエラ。

・Easy as Life
いいと思ったメモに残してたのに思い出せない②、歌ってたのはシンシア。

・Kiss of the Spider Woman
あやしい雰囲気と、押しの強いラミンの声が合ってた。

・Wishing You Were Somehow Here Again
・Music of the Night
・Bring Him Home
シエラ、ラミンのオハコはやはり素晴らしい。
特にシエラのソフトで可憐な声が好き。
ラミンもしっかり押し出す曲のときに特にその魅力が出ると思う。

・I'm Here
これを聴くために来たような気がしてくる。
大丈夫そうかなと思ってたのにラスト3音「And」「I'm」「Here」で突如涙腺崩壊して自分でもびっくりした。
あの3音にこめられてるパッションすごい。
そして個人的に「But most of all」のとこの切なさ感じる声も好き。

・Anthem
あまり詳しく知らないけど、すごい壮大なナンバー。
聴いたことある気がするのはいろんなところで実は流れてるからかな。

アンコールはシエラメインでWhere Did the Rock Go、シンシアメインでTake Me to Heaven。
女性陣ハイヒールからスニーカーに履き替えて弾けて楽しそうだった。


みんな音程ははずさないし選曲も良いんだけど、ちょっと詰まりすぎ?余韻がない?というのが少し個人的に盛り上がらなかったところ。
感動したいときに浸らせてくれないというか。
まああとは3階席で遠かったこと、自分が少し体調悪くて集中しきれなかったのもあるかも。
でも、やっぱり見逃せない企画だったと思うので、観ておいて良かった。

女性のしなやかさと涙を連想する声:Rachel Ann Go

海外の人でアジアの人の歌声に注目することって実はそんなにない。
なぜならアジア系の言語はどうも怒って聴こえたり、なめらかさに欠けて聴こえたりすることが多いから。
そんな中、レイチェルはフィリピン出身なので、流暢に英語で歌える。
彼女が歌っているのをYouTubeで見かけてすぐ、「いつか生で聴きたいリスト」に追加した(私の中で)。


"The Movie In My Mind" Music Video - Eva Noblezada and Rachelle Ann Go

私が特にたまらないなぁと思ってるのは、このThe Movie In My Mind。(先に歌ってるのがレイチェル。)
ミスサイゴン観たことないけど、これ聴いただけで壮絶な作品であることは容易に想像がつく。
すごく熱唱してるんだけど、ふと息を抜くと女性の弱々しさが顔を出して倒れこんでしまいそうな感じ。
顔に出して泣いてないけど、心は泣いている感じ。

彼女はウエストエンドでもブロードウェイでも活躍してるくらいワールドワイド。
同じくフィリピン出身でワールドワイドなエヴァノブルサダ(The Movie~で後から歌う子)もとても素敵な歌を歌うけど、私はレイチェル派かな。
ちなみにエヴァは可愛らしさと少し鋭角を感じるような声で、若干アタックに似たものを感じるあたりちょっとイディナ要素あるかなと思ってる。

レイチェルの持ち役で私の中で印象強いのがミスサイゴンのジジ、レミゼのファンティーヌなせいか、タイトルのような印象を持ってる。
強く生きようとしてるけど、悲しさと儚さをなかったことにはできないような、そういう女性の歌を歌うのがとてもうまいと思う。

ファンティーヌの動画もみたことあって、それもかなり熱唱系だった。
いなくなった彼、もしくは生きづらい人生への歯がゆさや憎しみが大きくて、抑えきれず盛大に吐露してる感じ。
でも熱唱の最後で、糸が切れたように声が勢いを失って、人生を諦めて他人事のように歌を置いて終わる。
束の間の1曲分、自分がファンティーヌになったような気持ちで歌に聴き入っていたから、このナンバーが終わったらドッと疲れて、虚しいような気持ちになったのだった。

リトルマーメイドのアリエルがデビューみたいで、もちろんとっても上手だけど、アリエルよりも大人びちゃってる感じがした。
アリエルって思ったより若く、世間知らずに歌われて欲しいんだなと、レイチェルの歌を聴いて思った。
コンサートでDefying Gravity歌ったこともあるらしく、こちらはかなりいい感じ。

エルファバでアジアツアーとかで来てくれないかな。
などと思っていたけど、レミゼ、ミスサイゴン、そして次はハミルトン。
しばらく日本には来そうもないかな。
でも彼女がますます世界的に活躍することは素晴らしいなって思う!

まとまりのある四季演目を観たなという感じ:アラジン 12/3

初演はいつだったっけ?
ぼんやり観たいなぁとは思っていたもののそんな未来の日程のチケットとるのも気が乗らないなぁと思って数年。
今年のお正月に海宝さんの素晴らしい歌声に耳を奪われて「もしかしたら出るかも」と思って半年前くらいにとってみたチケットでした。
結局海宝さんではなかったけど、ずっと話題でチケットも取れないこの作品をやっと観ることができると、先月から楽しみにしてた。

劇団四季:『アラジン』最新プロモーションVTR

端的な感想はタイトルどおり。
「だれか突出してすごーい!」という発見はなかったけど、「とりたてて音痴もいなかったしダンスも素人目には十分きれいだったし舞台装置も衣装も凝ってたしおもしろかったー!」という感じ。
アラビアンナイトやプリンスアリーのダンサーさんたちのしなやかな動きと衣装のなびきは素敵だったし、月並みながら空飛ぶ絨毯はじめ装置もいろいろとすごい。
まあただどうしても歌声や音楽重視なので、音痴な人がいたりダンスがいまいちでも「今日は●●さんていう素敵な歌声の人見つけた!ハッピー!」と思えるときのほうが満足感高かったりする。

あとはファミリーミュージカルっぽい感じもあったのも「すごく良かった!」って感想にはならなかった理由かな。
それはストーリーに起因しているのもあるし、四季特有の開口法にも起因しているかもしれない(今回はそんなに開口気になる人いなかったけど)。
私も大人になってしまったせいか、ディズニーアニメのアラジンは知ってるし、それを生身の人間で再生しようとするとどうしても童話感があった。
それから私は特に思わなかったけど、一緒に観た友達はアラジンがマザコンに見えたらしい。わからなくはない。

そんなこんなだし感想はそこらじゅうにおっこっているので、この日観た人たちに対する簡単な感想を自分のために残しとく回。
全然知ってる人いなくて、強いてわかったのは「ノートルダムエスメラルダやってた宮田さん、やっぱめっちゃ踊れる人だわダンス素敵だわ~」くらいだった。笑


■ジーニー:阿久津陽一郎さん
看板俳優さんかな、この日一緒に行った人とは別の友達がとてもファンだと言ってた。
しっかり笑いのとれるジーニーで、歌も演技も安定感あって身長もあって見た目もよい、ありがたいジーニー。
個人的な好みで言えばふつうに歌がうまい人かなと思うので、もう少し太めの声のジーニーがいたら観てみたいかな?
逆に、もっと自を出したふつうの阿久津さんの歌にも興味ある。

■アラジン:厂原時也さん
筋肉バッキバキなアラジンだった!
お顔ははっきりしてそうだなと思ったけど、ちょっと身長が足りない感じがあって、特にアリー王子の衣装のときの着られてる感は最後まで違和感。
声の大きさと長さは少し物足りなかったけど音程は安定して聴きやすかった。
あまりチャラそうな感じのしない、本当にホワイトな仕事で生きていきたいまじめな青年という感じ。
逃げ足なら負けない、あんなに動いたりトランポリンしながら歌って演技できるのすごかったなぁ。

ジャスミン:三平果歩さん
席が近くなかったので見た目がジャスミンぽいかはわからなかったけど、声がとてもディズニープリンセスっぽい!
可愛らしい声で少し気の強い感じがあって、王女様の賢さというよりは現代のこじらせ女子的な意識高い系?という感じの役作りに見えた。
地声と裏声の切り替えがけっこう顕著で、もう少しなめらかに聴きたいなという欲と、高音での声量もあるともっと素敵。
でも歌もダンスもバランスよくできるほうなんじゃないかな?見てて違和感を感じることは少なかった。

■ジャファー:本城裕二さん
「悪人笑いをしたくなってきたわい」とか、必要以上に「あーっはっはっはっは(ヴィランズ顔)!」というシーン多かった?
この方もとても安定感があって、おさえるとこおさえて出るとこ出てる感じ。

■イアーゴ:町田兼一さん
すいません。
賑やかし要因だなという印象で止まってます。

■カシーム:萩原隆匡さん
遠目から観てもイケメンっぽいなー!と思わせるお顔とルックス。
担当音域も低いラインだったし、厂原さんが小さめアラジンだったのでかっこよさ際立つ。
演技も、口が悪いけど情に厚いキャラクター像がよく出てて、説得力ある相棒だった。

■オマール:嶋野達也さん
中音域なのでお声はちょっとつかみづらかった。
このポジションはなかなか演技プランが難しそう。

■バブカック:白瀬英典さん
なにかにつけて食べ物の名前に聴こえてしまうデブあるあるをとっても自然にやってらして、ちゃんと面白かった。
音域は高め担当、ハイアドベンチャーでは最後まで落とさずに高いハモリをしてたのが印象的!

■王(サルタン):石波義人さん
すいません。
記憶にあるのは「厳格な王」とか言ってたのにジャスミンがくると「ジャスミンちゅわーん♪」みたいにデレデレになるところくらいでした。笑


あ、ちなみにB席(9列30番台)に座ったけど、上下左右特に見切れはなく観やすかった。
ホールニューワールドで絨毯がどんどん上がるのでそのうち二人が見えなくなるのでは?と思ったけど、見える範囲でおさまってた。
若干地面とか下方向がよく見えるので、よく見てたら誰かが登場しそうな穴があったり、絨毯の下の仕掛けが見えそうな見えなさそうな…という場面はあった。
でもウィキッドは出てきた橋の上に立ってるキャストが見えないとか、「congratulotions!(日本語だと「結婚おめでとう!」なのかな…いつもB席だったから見えたことがない)」の垂れ幕が地味に見えないってことがあったから、そういうのがなくて良かった。

あまりにも美しく慈愛溢れる歌声:マザー・テレサ 愛のうた 11/18ソワレ

伊東えりさん。
美女と野獣のベルの声と歌、ムーランの歌、メリーポピンズの歌など、ディズニーでおなじみの声の方。
あとサントラなどにも参加されてるらしい。
YouTubeでその声を聴いて、こんなきれいな声を生で聴けたら!と思って聴ける機会を探していたら、この公演があったので即決。


A song of storm and fire - Yuki Kajiura LIVE 2008 [HQ]

ちなみに最初に伊東さんの歌声に出会ったのはこの曲だった。

話としては当たり前だけどマザーテレサの生きざまについて。
正直彼女について詳しくないので少し難しく感じた。

幼少期の母の教え、読書家で本をたくさん読むなかで知った「小さき花のテレーズ」、ダージリンへ向かう電車で啓示を受けたこと。
最も貧しいカルカッタのスラム街での活動、「神の愛の宣教者会」設立、「死を待つ人々の家」開設、ノーベル平和賞
入ってたエッセンス的にはこんな感じかなぁ。
けっこう細かく説明してた感じ。

ミュージカルにも色々あるけど、この作品はレミゼみたいに全部が歌で進んでいく方式。
けっこう歌いこなすのが難しそうな曲も多かった。
マザーテレサは音符・音階的に、ジャーナリストは説明的な部分に、それぞれ難しそうな感じを受けた。
特にマザーテレサは伊東さんじゃないと歌えないんじゃないのというくらいで、もしや当て書きかな。

今回ミュージカル座の作品を初めて見たのだけど、キャストや観客が不思議な感じだった。
伊東さんはじめ誰が見てもプロだなって方から、プロアマの合の子みたいな方まで。
子役がいたからか、題材ゆえか、客席には子どもも多かった。
舞台上は美術はしっかりある感じで、でも衣装は少しお手製感があったり。

さて、子細なことはさておき、伊東さんの美声について。
裏声との切り替えはそれなりにあるんだけど、裏声になったらなったでまた美しい響きで、音量が減るどころか伸びが増すように聴こえた。
歌いこなしが素晴らしいし、こんなに感情の乗った歌声ってあるのね…。

声そのものももちろんいいけど、声にのせる含みや温度が殊更に素晴らしいのだと思う。
演じてるとかいうのとは少しだけ違って、マザーテレサをよく理解し丁寧になぞりつつ、自分の身近な慈愛の感情も添えて表に出しているような。
当事者の熱と、それに理解を示し共感してあげるやさしさも感じる歌の抑揚だった。
(「声」の「音」として書き表せないのがとても悔しい!)

登場時はそれこそディズニープリンセスのような可愛らしい声で、正直想像以上に「そういう声」だったので驚いた。
でもこれ、ちゃんと年齢ごとに声音を分けてるんだなと早々に気づいて、あぁやはり声をお仕事にする方は芸が細かいなと。
可愛らしい声からしっかりした声に、次第に威厳を帯びて、晩年はやさしく丁寧な声にシフトしていた。

すでに書いたように曲がかなり難しくて、伊東さんでないと歌いこなせそうにない感じ。
それゆえ伊東さんの歌を聴くためのような作品に仕上がってる感が強い。
私は伊東さんの歌が聴きたくて行ったから大満足だったけど、作品としての良さは正直ちゃんと受け取れたかわからない。

その他の素敵ボイスメモ。
テレサの子役ちゃん、歌うまいという設定もあり、とっても安定感あるパフォーマンス披露してた。
「いいことをするときは海に小石を投げるように(奢らず誇らずしなさい)」という母の教えに「わかってる」と返すときの言い方。
「わかってる」の手前に小さい「ふ」が入るような言い方、巧みだなぁと思った。

小さき花のテレーズとベルギーから来た看護師・ジャクリーヌの人もいい声だなと思ったら、同じ方が演じてた。
こういうことがあると自分の耳に自信が持てる。笑
浦壁さんという方が演じていて、ちょっとディズニーの「デイジー」っぽさのある、声の抜けが少し独特な方だった。
ちなみに浦壁さんかなりお若く見えたし声もお若く感じたけど、しっかりキャリアのある方だった。

他にもメモしたことはあるんだけどまとまらないから、気が向いたら追記するってことで。

最後にバラの花びらが降る演出が、とてもとてもきれいで幸せな気持ちになった。

【キャスト】
マザー・テレサ:伊東えり
ジャーナリスト:岸田敏志
聖フランシスコ/マイケル・ゴメス:麻田キョウヤ
ヴィック神父/医者/航空会社幹部:菊地まさはる
小さき花のテレーズ/ジャクリーヌ:浦壁多恵
ドラナ/アデル/ジータ:稲田みづ紀