Impressive Sounds

素敵な歌声や音楽を求めて。

脇役がうまいとその人のほうがすごい気がしてくる:La Traviata(椿姫)7/11@Palau de la Música Catalana

この夏、スペインのバルセロナに旅行した。
前々から「日本でもたまにしかオペラ観ないけど、いつか海外でオペラが観たい!」と思ってて、それが今回やっと実現した。
鑑賞したのは、椿姫。
感想はというと、一言でいえば「思ったほどでは…」という感じ。

La Traviata

もちろん今回の旅の目的は建築を観ることで、オペラはちょうどやってたからついでに観れた、というところ。
会場のカタルーニャ音楽堂は、ガウディの師でありライバルであったモンタネールによる建築で、天井のステンドグラスは必見。
見ることができてよかったし、たくさん写真を撮った。

ただ、音楽を聴く場所としてはどうなのだろうという感じで、微塵もステージが見えない席が結構あったり、装飾のペガサスなどが視界を防ぐ席もあり。
会場が会場だからオペラ用のセットは組めず、ステージ形式での上演だったということもあったし、客席のマナーもそんなに良くない。
もともとかなり空席があって開演しても座られていない席が大半だったので、みんなこぞって前のほうに移動したり、飽きてしまった子もいたよう。
その子が客席内をしばらく散策していたりもして、なかなか集中できなかった。

椿姫はこのとき初見、歌われるのはイタリア語でもちろん字幕なし。
ネットであらすじを予習していったので「今この場面かな」くらいの理解で観ていたけど、それでだいたい終わりまでいけたので話としてはわかりやすい作品なのかなと思う。
前に見た「さまよえるオランダ人」なんか抽象的な話だったりするから字幕あってもついていくのが大変だったことを考えると、あまりオペラを観ない人でもこの作品はおすすめできるかな。
あらすじについてはググってください。

客席の埋まらなさ具合からもわかるように人気の実力派歌手が出ているわけでもなさそうだったし、先述したステージ形式での上演であることもあって、私としては感動に乏しい。
一応印象に残ったキャストのことを備忘程度に残したいと思います。

【Violetta Valery】Sarah Zhai Strauss/Marga Cloquell
主人公の高級娼婦、ヴィオレッタ。
動画と同じ女性に見えたのでおそらくSarahの出演回だったのではないかと思う。
お顔立ちが西洋系ではないなとは思っていたけど、中国系の方なのね。
タイトルロール、破たんの無いパフォーマンスで安定感があった。
ソプラノだから高音域も楽々なんだけど、ハイAからBに上がるときの声がとても気に入った。
たぶん音のグラデーションが細かくなめらかなのと、そのグラデーションの音を丁寧になぞっているからかな。
所作がちょっと現代的で、わかりやすいといえばわかりやすいし、もう少しオペラっぽい優雅さが欲しい気もした。


【Alfredo Germont】Sergi Giménez/Carlos Cremades/José Concepción
貴族の青年、アルフレード
そんなにお顔に特徴がなかったのでだれの出演回かは不明。
今回の出演者のうちダントツのがっかりパーソン。不満。
音域は高いところも多少低いところも問題ないんだけど、声量がないのかとにかく声が負けがち。
彼はヴィオレッタに激怒して出て行ったりしなければならないのに、そういうところが全然伝わってこなかった。
出だしのただのやさしい青年のところだけなら違和感は少なかったかもしれない、そうもいかないけど。

【Goirgio Germont】Alberto Cazes/Jorge Tello
アルフレードの父、ジョルジョ。
この役の方がとても素敵なバリトンで、ヴィオレッタの次に印象的だった。
やさしい父としてのバリトン、厳格な父としてヴィオレッタを追い出そうとするバリトンアルフレードの物言いに苦言を呈す低音。
どれも存在感がありつつ、ただ音量が大きいだけでなく、声の硬さや響きで声音が違って聞こえたように思う。
いい声で歌も良かったのでもっと歌う場面がほしかったくらい。

【Flora Bervoix】Numil Guerra/Mar Esteve
ヴィオレッタの友人、フローラ。
大衆的で大雑把な女性に見えたけど、そういう設定なんだろうか?
歌はそつなくこなしている感じ。

【 Annina (cameriera)】Cecília Ferraioli/Ayelén Seras
ヴィオレッタの召使い、アンニーナ。
この役の方も、ジョルジョ役同様に主役でないながらなかなかの美声を聴かせてくれた。
ジョルジョは存在感あるバリトンだったけど、アンニーナは縫い目のないなめらかなシルクみたいなソプラノ。
自分の声をぐいぐい主張してくる感は皆無で、でもさりげなく発せられる声が耳触り良い。
たぶんこの方も私の好きな周波数だか音程加減で歌っているのだと思う。

あとはもう覚えていないので、キャストのテキストのみ。
ステージ形式でなく通常形式でみたら、また思うことも違うのかもしれない。

【Gastone】Carlos Cremades/Felix Merino
【Marchese d'Obigny】Antonio Fajardo/German Casetti
【Barone Douphol】Jorge Tello/Guillem Batllori
【Dottore Grenvil】Néstor Pindado/ German Casetti
【Giuseppe (servo di Violetta】Emili Gispert
【Domestico di Flora & Commissario】Guillem Batllori