Impressive Sounds

素敵な歌声や音楽を求めて。

歳を重ねる毎にグリンダに感情移入が強くなる:Wicked 8/24@Apollo Victoria Theatre

2018年夏のロンドン3泊5日弾丸旅行。1晩に1本見る感じで3つ観賞。2つめはウィキッド。通算9回目の観劇でした、意外と10回いってなかった。笑

私の中では曲、ストーリー、セット衣装の総合バランス的に不動のNo.1作品。今までもこれからもきっと好き。


Wicked UK | Official Trailer

これも事前にネットでチケットとっていて、1階ストールズの前から2列目最上手から1席内側、40ポンド強。表情までよく見えるし前の席の人の頭もほとんど気にならないしDefying Gravityなどでの見切れもないから私は良い席と思ったけど、初見にはおすすめできないかも。

私は何度も観てるから多少見えなくても問題なかったけど、

・No One Mourns The Wickedではアンサンブルがステージ手前までくるのでグリンダやエルファバ両親のシーンが見えない
・マダムモリブルやボックが上手セットの上でアクトするときは近すぎて顎を見る感じ
・ドロシーへの道案内するグリンダのシーンは全く見えず声だけ聴く
・話を追うのに支障はないけど、ドラゴンもかなり真上なのでいつ動くか知ってないと意外と見逃すかも

などなど。繰り返しますけど悪くない席、こういうのが些細と思うのであれば。そうそう、スピーカーが目の前なので楽器隊の音がとてもいい!ネッサの嵐のときなんか地響きレベルの音が出ていて、大音量の映画館みたいだった。歌声はそこからは出てなかったので、ステージ上の真ん中に吊ってるスピーカーから出してるのかも。

※キンキーでも書いたけど、Seat Planというサイト、ロンドンの主要な劇場の座席からの写真をユーザーが投稿するサイトで、超お役立ち。

今回とっても近かったから、アンサンブルさんたちのダンスも「群舞」ではなくて個々の「ダンス」と捉えてみることができてよかった。男性陣ってどうしても特徴が掴みづらいのだけど、女性陣でいうと赤毛の女性とひっつめヘアーの女性が、芯がありながらしなやかなダンスをしていて目が幸せだった。この作品はアシンメトリーなデザインの衣装とそれが揺れるダンスも楽しめるなとつくづく。

人力で動かすドラゴン、Dancing Through The NightやOne Short Dayでパッと華やかになる電飾、もちろんエルフィーが舞い上がるセット。ど頭の音楽、What Is This Feeling?のファニー感、No Good Deedのどうしようもないダーク感。好きがいっぱい詰まった作品。

そして海外では圧倒的な声量と歌唱力も堪能できるし、やっぱりゴージャス感も違うし、大きな拍手や笑い声や歓声・指笛もすごく盛り上がる。ただ、エルフィー誕生シーンでの爆笑は、日本人の私にはどうしても心からは笑えないけど(「ハハッ」くらいの笑いにはなってきた)。笑

さて、今回特に良かったキャストはソフィ・エヴァンス演じるグリンダとメラニー・ラ・バリー演じるマダムモリブル!アリス・ファーンのエルファバも悪くなかったのだけれど、こちらはもっと私好みのキャストが歴代たくさんいるので。

まず、ソフィのグリンダ。劇団四季のグリンダでガッツある人は見たことがないけど、海外グリンダってけっこうお胸があるせいか腕ががっちりしている(そして割と足もがっちりしている)人が多くて。しかしソフィはクリスティン・チェノウェス系のお胸ありつつも手足の細い可愛いグリンダで、まずビジュアルがとても良かった。

歌声は、高音はそこまでストロングではないのでときどき若干ハモり負けしそうな気配があったもの、十分良かった。地声と裏声をあからさまに行き来するといったことはなかったし、高音の多いグリンダでも「うるさい」と感じさせないストレスレスな発声だった。

そして特によかったのがキャラクターづくりや演技。NOMTWでも笑顔の合間にすごく不安そうな顔や、エルフィーを悪く言われて悲しそうな顔をのぞかせて。学生時代は本当におバカなブロンドという感じで、Popularをはじめとしたファニーなキャラクター造形がとてもハマっていた。二幕でいろんな経験を経てのラスト「I'd like to try to be... Glinda the Good.」なんかもう…。どんだけ辛い決断をしたんだあなたは!と声をかけてあげたくなるくらい、複雑な顔をしてから決意の顔になる強さが際立っていた。

そしてもう一人とっても満足度の高かった、メラニーのマダムモリブル。彼女も衣装からしてまずとても似合っていた。時々マダムモリブルって、バカ殿みたいなメイクになっちゃってる人とかいるから…。あとスタイルが貧相すぎても衣装がマッチしない。そういうところもちょうどよかった。

シズ大学の先生としてニコニコ良い人そうに、面倒見のよさそうに見せておきつつ、去り際、最後の最後に目がこわいのがとっても良かった。マダムモリブルにあまり歌のうまい人がいてももったいないようにも思うんだけど、この人は二幕でも重要なカギを握るのでしっかり歌ってほしい人。そこも、しっかり旋律をなぞって歌ってくれていたし、凄みをきかせた声やエルファバの悪評を伝染させるときや悪役らしいシャウトなど、やっぱりダークさを出すのが上手だった。

アリスのエルファバは、けっこう怒ってるイメージが強かった。Youtubeでチェックしたときはあまり好みでないエルフィーだと思ったけど、怒りっぽさがあるとはいえ、見て見れば比較的王道のエルフィーだった。Defying Gravityでは「Take a message back from MEEEEE!」がやっぱりうるさかった感じで、ちょっとe音のビブラートが大きいのに細かくて耳にやさしくなかった。陽より陰がうまいエルファバなので、No Good Deedの影のある大人な女性の動揺と怒りは素晴らしかった。

他キャストはそんなに良い印象も悪い印象も強くないかな。ただ、女性陣は比較的安定感あるキャスティングなことが多い気がするのに、なんでウィザードって安定してイマイチなんだろう?ロンドン、シドニー、日本と3箇所で見てきたけど、良かったなぁと思ったウィザードは日本で1回みた人くらいだったよ(劇団四季の…どなただったかは忘れてしまった)。あとエルフィーパパも80%くらいの確率でイマイチな気がする。

フィエロは、及第点という感じ?特別歌が上手いわけでも下手なわけでもなく、ダンスも特筆するところはなく。まあ私がフィエロのダンスをジャッジできるのはカカシダンスの一瞬だけなのだけど…。フィエロといえば、オフブロードウェイのヘザースでオリジナルJ.D.だったRyan McCartanが、Wickedのフィエロ役でブロードウェイデビューだそうな。まだ25歳…ヘザースの頃は20歳そこそこだったんだぁすごいわぁ。

今回9回目の鑑賞だったWicked、10回目はどこかな?ブロードウェイでも観てみたい気持ちはあるのだけれど、ウエストエンドよりだいぶチケットがお高い感じがするんだよなぁ。。何か仕事があればそのついでに行けたらいいのに。

Cast List (in order of appearance)
Glinda:Sophie Evans
Witch's Father:Rhidian Marc
Witch's Mother:Jennie Abbotts
Midwife:Kerry Enright
Elphaba:Alice Fearn
Nessarose:Rosa O'reilly
Boq:Jack Lansbury
Madame Morrible:Melanie La Barrie
Doctor Dillamond:Chris Jarman
Fiyero:David Witts
The Wonderful Wizard of Oz:Andy Hockley
Chistery:Chris George