Impressive Sounds

素敵な歌声や音楽を求めて。

昔は情報量の多い声、今はどこか目指すところが明確な声:Salyu

ここのところライブに行く回数が減っているのだけど、それでも平均かそれ以上にライブには行っていると思う。
好きな歌手やバンドはいくつかいる中で、しばらく離れていても戻ってきて聴きたくなって、聴いたら聞いたで「やっぱりすごい」と思う声の持ち主。
そのうちの一人はSalyuだ。


Salyu「name」

特に高校~大学の頃よく聴いた彼女の歌。
たぶんTVでnameを聴いてとてもツボにはまったんだったと思う。
そのうちBank BandのTo Uもすごく流行って、バンド版もSalyu版もよく聴いた。
彼女があまりキラキラ全開の太陽のような見た目やキャラでなく、ちょっと影のある謎めいた印象だったこともイメージ通りだった。

nameは、AメロBメロのぼんやりした少女みたいな声とサビの切実で爆発するような叫び声と、振れ幅が大きい。
彼女の声でおもしろいなと思うのは、爆発するような叫び声になるとき、うるさくなるんじゃなくて、輪郭が強くなって線が太くなる感じがするところ。
サビで爆発する感じの曲はいくつもあって、name同様「たまらんなぁ」と思うのは、Dramatic Ironyとか、LIBERTYとか、わりと最近だとRAINもそう。

nameは2006年の曲、RAINは2015年の曲。
どちらもサビの強さは似たところがあるけど、nameのサビ手前では、声にいろんな情報が含まれて少し濁ったような声が特徴的だと思う。
nameの入ってるアルバムの1つ前のlandmarkのうち、特にlandmarkとアイアムは声が混沌としてこわくて当時はいつも避けていた。
曲調がダークで圧倒的というのもあるし、Salyuのぼんやりした声が墨みたいに脳みそや気持ちを黒く覆う感じがした。
今ではそれもコミで聴けるようになったけど、当時は本当にいつもその2曲が流れるiPodを飛ばしていた。


Salyu - THE RAIN (from ALBUM「Android & Human Being」)

それでも彼女の歌を聴いていたのはやっぱり声が素晴らしいからで、こわいこわいという思いをチャラにするように癒しの曲もあった。
体温、Tower、アイニユケル、最近だと青空なんかもそういう類。
あとはソロじゃないけどfeat. WISEでやっていたMirrorとか。

基本的につんざくような声を聴いたことがないし、すごく音が外れて困惑したこともない。
しばらく前に行った東京フィルとのコンサートは、音響の問題か中音域が聴こえてこなくて少し不完全燃焼だったけど、基本的に安定感がある。
よくライブに行っていた頃は特に、行った甲斐があったと心底思わせてくれるような神秘的な声を聴かせてくれた。

最近はあまり行っていないからわからないけど、彼女の声の源は変わっていないかなという感じがする。
サビでよくみられる強くてやわらかい声はよりその様子が強くなったと思うし、前よりも目指すイメージが強くなってハッキリした声になったように聴こえる(私には)。
変わったとしたら、落ち着いた声で歌うといろんなものが含まれて濁って聴こえた声が影をひそめたところ。
変わったわけじゃなくて、声を覆っていた外側の何かがそぎ落とされたような感じ。

濁った声がこわかったのは確かなんだけど、それがなくなったのもなんだかちょっとさみしい気もしていて。
その難しい声もSalyuの味のひとつだったと思うのだ。
あれからいくつも曲を出したしSalyu×Salyuとかもやったし、今はその濁りを超えて別の次元にいる感じ。

全体的に、以前より軽く外交的な声と感じていて。
外側に、普遍に近づきすぎると、せっかくの神秘的な声の伸びがただの高音になってしまうんじゃないかという余計な心配がよぎっている。
こんな心配は要らないだろうと思うけど、これからも彼女の強くてやわらかな声は残っていてほしいなぁ。
また久しぶりにライブに行こうかしら。