Impressive Sounds

素敵な歌声や音楽を求めて。

キュートなルルに釘付け:ミュージカル イヴ・サンローラン2/23ソワレ

いつもどおり、海宝さんの歌を聴きに行ったはずが。いろいろな要素の組み合わせにより、目と耳を奪われたのは、この日初めてみた女優さんだった。この下の動画の最初に出てくる赤いスカート?チュチュ?の女の子、ルル役の皆本麻帆さん。またあとで触れよう。


ミュージカル「イヴ・サンローラン」(東山義久・上原理生)公開ゲネプロ

【出演】
イヴ・サンローラン:海宝直人
エルザ・スキャパレリ:伊東弘美
ルル:皆本麻帆
ピエール・ベルジェ大山真志
クリスチャン・ディオール:川原一馬
ココ・シャネル:安寿ミラ
神田恭兵、奥田努、和田泰右 / 青木謙、RIHITO、中塚皓平、橋田康、小野沢蛍、中岡あゆみ

この作品、今回が初演で感想や解説がまだネット上に少ない。かつ、私はハイブランドのことや歴史には明るくないので、ほんとにさらっとイヴサンローランについてWikipediaで見ていった程度。

そしたら案の定、1度観たくらいではきっと気づいていない作品の魅力や意図があるだろうなぁと思った。正直、「良しも悪しもわからなかった」。ファッション界の歴史をテーマにしたPVでも見ていたのかなという感覚で、不満感はなかったけど置いてけぼり感。

ので、復習がてら、備忘がてら、そして皆本さんという女優さんを認識できた記念(?)に書くエントリです。


お話の軸は、あの有名デザイナー・イヴサンローランと、公私ともにパートナーであった実業家・ピエールベルジェ。当時から同性愛をオープンにしていたらしい。そして史実上では彼らとは時系列的に交わらない著名人たちが脇を固めて、イヴとピエールの物語を眺めていたり、補足していたり、ときには有り得ないながらも彼らとコミュニケーションしていたり。

まあ、その「脇を固めて」いた人物たちも、シャネルとディオールとウォーホルくらいしかわからなかったけど…エルザスキャパレリとか、ルルドラファレーズとか知らないので。で、その彼らがイヴの年表を追っていくスタイルだった。

ルルやディオールなどの著名人たちが、ところどころで「●●●●年、イヴは■■した!」とか言うシーン多数。若くしてディオールのデザイナーになったとか。徴兵に行ったけど精神的に参ってしまったとか。既製服(プレタポルテ)で成功をおさめたとか。服、香水、化粧品、なんにでもロゴをつけてライセンスビジネスとしたピエールと、ビジネス方針では相反していたとか。

あらましの復習終わったので、音楽とか衣装とか演出とか役者さんの感想とか。

まず音楽!フランス意識なのはわからないこともないけれど、だいぶ古風なメロディ?アレンジ?という感じ。それが曲そのものに起因するのか、たった2人でほとんどを演奏していたと思われるエレクトーン(シンセか?)に起因するのかまでは、1回観ただけでは判断できず。

でも少なくとも、あの2人が稽古ピアノのようにグランドピアノの連弾とかでも、それはそれでアリだったんじゃないかなと。歌うまい人多かったから、フルオケや電子音でごまかさなくてもいけるんじゃないかと。エレクトーンだと、どうしても学芸会感が出るように思ったので。

そして歌が、まあ難しそうなのが聴いてるだけでよくわかる。皆さんよくあんなの歌ってたなぁ…。たぶんこの歌も、私が置いてけぼり感を覚えた大きな理由の一つで、わざとだと思うけど「ミュージカルっぽくなかった」。現代のポップスとか邦楽の雰囲気というか。いくら役者さんたちが感情をのせて歌っていても、PV感がすごい。ドキュメンタリというより私的にはPV。

で、衣装。ファッション詳しくないので、再現性がどうとかはそもそも気にならなかった。ただ、どうしても役者さんたちの日本人のナショナリティは消えないから…。コレクションのシーンでも、「専門学校かな?」みたいな感じがする独特な衣装もあったり。皆さんスタイル良いのです、ただ、フランス感を出せるかというと、私にはどうしても難しく見えた。

あと演出?構成?これも不思議な感じ。基本、イヴはピエール以外とはほぼ同じ時系列でコミュニケーションしないし、ピエールもルルを除いてはやはりそう。でも、後半の一部のシーンではそのルールが機能していなかったように記憶している。どういう意図なのか気になった。

その、「2人と同時系列でコミュニケーションしない」という世界観を上手に成立させていたのが、冒頭触れたルル役の皆本麻帆さん。ルルはイヴの落書きから生まれた絵本のキャラクターとのことで、それが狂言回し的にたちまわるっていうつくりだった。このルルが可愛くて!

落ち着きなく足をパタパタさせたり、イヴやピエールがディオールやシャネルに接触しそうになるとハッと手で制したり。本家ルルがどんな女の子として描写されてるか知らないけど、ちょこまかとした細やかな動きが、落書きのルルのキャラクターらしいなと。

ルルの赤いチュチュの衣装もよく似合って可愛らしく、声も甘すぎないけど「少女」未満くらいの感じで素敵で。後半は、実在のルルドラファレーズを演じていたりもして、そこはけだるそうなフランス人美女感があり、そのギャップも好きだった。またこの方が出る作品観てみたいな。

そして海宝さん。歌がうまいのはあまりにも周知の事実だけど、ダンスもできすぎじゃありませんか。素人からしたらダンサーさんとのレベルの差なんて感じなかったくらい。まあダンサーさん特有のヌケ感みたいなのよりは、振付に忠実なんだろうなという気配は感じたけど。しかし歌もダンスもハイスペックすぎてこわくなった。なんでもできる人って、素敵だけど、「え?同じ人間?」って思ってしまったりもして少しこわい。※ほめてます。

あ、歌。うまいと書いたけど、なんか歌の語尾の部分がよくきこえないところがいくつかあった。語尾というか、私の耳が拾えない音域があった気がする。たぶん席位置の関係とか他の音との干渉でたまたまかと。でもあの歌声を堪能しきれなかったのかもしれないと思うとそれはそれで惜しい気持ち。

イヴのパートナーのピエールは大山さん。初めてみた方。第一声から「はぁ歌がうまい」と思ったのは覚えてる。あと随所に少しだけ節のような歌い回しを入れてて、それが控えめな主張でありつつ個性でもあって、バランスがよくて耳触り良かった。ただ、大柄な方なのかな?イヴの恋人というよりは、なんでも願いを叶えてあげるパパか何かのほうが印象としては近かった。

シャネル、イヴの母、モデルのベティを担われていたのが安寿さん。いやーまースタイルがよいよい!シャネルかっこよかったし、着ていた時間短かったけどベティのパンツスーツもかっこよかった。前みたときも思ったけど、この方は「演じる」というより「役を自分に近づける」というか、「安寿さんが演じてることに価値がある」っていう不思議な説得力がある。ある意味「どんな役でも安寿さんは安寿さん」ともいいますか。

全然まとまんないけどとりあえずこんなもんかな。

あ、そう、今回の会場はよみうり大手町ホールだった。初めて行ってびっくりしたのが、背もたれ高い…!視界を塞ぐほどではないのだけど、低身長なものだからなんだか圧迫感があった。後ろのほうの席だったから?前のほうなら気にならないとか??ここ、外タレのコンサートとかでもよく使ってるみたいだからもしかしたらまた来るかもだけど、好きかと言われるとあまりイエスと言いづらい会場な予感がするのでした。

歌ってる彼女は誰?:Michael Moricz THE LITTLE MERMAID ballet

リトルマーメイドといえばアランメンケンのディズニー版だと思うし、私もパートオブユアワールドとかかなり好きだけど、今回取りあげたいのは別のリトルマーメイド。

オペラとかバレエは、興味はあってもなかなかピンとこなかったりちょっと行きづらいなんて思ったりで、年1回行くか否かくらい。そんな私が昨年の夏だか秋だかに、NBAバレエ団の公演「リトルマーメイド」を観に行った。ちなみに、今年もやるみたい!
http://www.nbaballet.org/performance/2019/little_mermaid_and_midsummer_nights_dream/
※バレエなので歌は歌わず音源が使われます、念のため。

なぜ行ったかというと、YouTubeのPVに使われていた音楽がとても好みだったから。マイケルモーリッツ氏が、バレエのために作曲したのだそう。sound cloudでハイライトが聴けるから、よかったらこちらから。メインテーマ(だと私が思ってるところ)は15:25~。

https://m.soundcloud.com/michael-moricz/song-highlights-from-the

あと、NBAバレエ団の公演PVはこれ。私はこれを見て「あぁこれ行きたい!」と思った。

NBAバレエ団 『リトルマーメイド』


本当は昨年、NBAバレエ団のこのリトルマーメイドを観た感想をここに残そうと思ってた。けど、バレエに全然素養がないので、幼稚園生の絵日記レベルの言葉にしかならなくて。。メカジキの跳躍がすごかったとか、海の魔女のヴィランズっぷりが下品すぎず上品すぎず絶妙だったとか、リトルマーメイドの舞いが切なかったとか。。

それでもやっぱりこの曲(というか、マイケルモーリッツ作曲の「THE LITTLE MERMAID」)のことは少しでも誰かに何か伝えたくて。結局荒技的に「聴いてみて(どーん)」というポストにはなってしまうのだけど、やっと少し触れることができた。

さっき貼ったリンクはあくまでハイライトなのでフルサイズ聴けるわけではないものの、15:25~の「Only when we risk it all...」のメインテーマの美しさはわかるはず。あとはやはり全体を貫くピアノのシンプルだけど確かな情感の後押しも。

とにかく、リトルマーメイドとして歌ってる女性の声が特に素敵。ハッピーなところもいいんだけど、海に戻るからと王子に別れを告げるところなんか、私はNBAバレエ団の公演中涙が出てしまったほど。でも日本語で調べても英語で調べても、彼女の名前はおろか、この曲のフルサイズ音源も歌詞も出てこないんだよな…ディズニーSEO強すぎ。。

あとここからはさっきのリンクを全部聴かないと伝わらないとは思いつつ、ハイライトのざっくりした流れと、個人的にこの曲が魅力的と思ってる箇所を羅列しとく。曲名っぽく番号振ったりしてるけど便宜上のものね。


①オープニング 0:00~
さざ波を思わせる爽やかなピアノと、リトルマーメイドが海の美しさと、自由への憧れを吐露。ディズニーのリトルマーメイドほど切実ではないかも。

②リトルマーメイドの16歳の誕生日パーティー 1:35~
ディズニーっぽさのある、お誕生日お祝いソング。バレエの公演では、小魚ちゃんも出てきたり、海の生き物たちがお祝いのダンスをしたり、グリーティングのような世界観。

③リトルマーメイドの陸への切望シーン 3:15~
このあたりからしばらくこの作品でのストーリーの前後関係がうろ覚えだけど、リトルマーメイド自身も戸惑うくらい、海にいることがなんだかとても耐えられない気持ちになってくるシーンだったかな。ものすごく切なくてここもなかなか好き。

④海の魔女の登場シーン 4:20~
③で王子への恋する気持ちを歌っていたリトルマーメイドを実は見ていた海の魔女。声をくれたら脚をやるとの駆け引き。ディズニーでいうアースラなので、台座に座っていて少しバレエっぽさは薄かったけど、ファニーでダークな魔女の雰囲気が音源からも公演中のダンサーからも感じられた。ここのティンパニがとても楽しそう。笑

⑤誕生日パーティー続き&海の魔女乱入シーン 5:25~
②の続き?可愛らしくてちょっと間の抜けた音楽で海の生き物たちがダンス。からの海の魔女「なんで招いてくれないの~?私にも歌聴かせて~?」からの多少の乱闘、魔女一度退場。

⑥リトルマーメイドの旅立ちシーン 8:55~
この世界観では、リトルマーメイドは16歳になったら陸の上の世界を見に行っていいらしい。王様が送り出しをし、姉たちは「私たちは姉妹だから、手と手をとりあうわ」と彼女を励まし見送る。ここは姉たちとリトルマーメイドのダンスだったんだけど、まとまりがよくてきれいだったなぁ。

(ハイライトからはごっそり抜けているようだけど、公演ではこの後陸で王子と出会い、恋のライバルなど現れたりしていた記憶。)

⑦王子に別れを告げるシーン 11:48~
ここ!個人的にフィナーレよりも感極まったポイント。王子と一緒にいることができなくて海に帰るリトルマーメイドの悲しい嘆きがなんてドラマチックな響きだろう…。(Oh, I must leave you. You know how I love you...のところ)

⑧王子が海に迎えにくるシーン 14:00~
音源だけではわかりづらいけど、「君の愛が本物だ、君と僕を分かつことはできない」と人間である王子が海に来る、ということになってる。まあそこは、この作品の世界はそういう世界ということで。音源の王子、けっこう強そうだからすぐ王様になれそう。笑

⑨フィナーレ 15:25~
直訳すぎてアレなんだけど、「互いに危険をおかしても愛があればふたりを巡り合わせてくれる、失ったり落ち込んだりすることがあってもやっぱりふたりはお互いを思う」、「真実の愛は海で輝いているから、私たちはともにいるんだ」みたいな。17:00から海の生き物の皆さんも集結し、フィナーレらしいハッピーエンド。ハートフルな気分になるというものです。


半年くらい前の公演をこうしてときどき反芻しているので、私はけっこうこっちのリトルマーメイドも好きだと思う。また時間があったら、聴こえてくる範囲の歌詞書き起こしてみたりしようかな。

もちろんディズニーのリトルマーメイドも好きです。なんかリトルマーメイド縛りのコンサートとかかないかな。

その声を聴いただけで涙があふれた:The Voices of the West End 1/11

エストエンドのスターたちによる圧倒的な歌唱披露と、跳ねるようなコンダクタの指揮により流れるオーケストラが、なんとも贅沢なひとときだった。ちなみにコンダクタはしばしば曲終わりで本当に跳ねていた。笑

些細かもしれないけど、theは訳さなくてもいいとして、英題だと複数形なのに日本語だと「ザ・ヴォイス・オブ・ウエストエンド」と単数形になるのなんで?けっこうあるあるだと思うんだけど。

さて、こちらは1日1公演でこの日が3公演目、千秋楽(?)。出演者は以下5名。ベンは一昨年のミュージカル・ミーツ・シンフォニー2017で、ソフィーは去年のロンドン旅行でWickedのグリンダでみているので、他3名が初見。ケリーのエルファバは何度も何度もYouTubeでみてるけどね。

ジョン・オーウェン=ジョーンズ(JOJ)
ケリー・エリス(Kerry Ellis)
ハドリー・フレイザー(Hadley Fraser)
ベン・フォスター(Ben Forster)
ソフィー・エヴァンス(Sophie Evans)

オーチャードホール、3階席は初めて。サイドだったけど音の偏りとかはそんなに感じず、バランスに違和感なかったかな(1階座ったことないけど、以前座った2階センターとか意外と音が迫ってこなかった記憶なので)。ではセトリを追って感想を。

・The Greatest Showman Medley
 -The Greatest Show
 -Never Enough
 -A Million Dreams
 -This Is Me
個人的に最初のほうの曲ってどうしてもそうなっちゃうんだけど、会場の音響に耳がなれてないから&その公演の演奏の雰囲気がつかめてないから、The Greatest Showのアレンジは「高校野球の応援の吹奏楽部みたい」と思ってしまった。ややテンポがゆっくりで、金管木管もいて、大太鼓(ってオーケストラでもこんな呼び方するのかしら)がどっしり鳴らされたら、どうしてもそう聴こえてしまう。

まあそれにはほどなくしてなれたので置いておいて、歌いだしだけで全員歌がうまいのがよくわかった。低音で始まるけど、男性陣なんか余裕すら感じるくらい。女性陣はどうしても音域的に若干声が埋もれるけど、ソフィは声がけっこう輪郭はっきりしているほうなので、そんな中でも届いてくるように思った。とにかく「”オーオーオオオー!(出だしのコールアンドレスポンスのところ)”の響きがめっちゃゴージャス」と思った。

そして続くNever Enough、これはケリーのソロで。そう、タイトルにした、聴こえただけで涙が出てきてしまったのはケリーの声だった。なんだろう、もう全然言い表せない、なんて書いたらいいのかわからない。彼女の声は重唱だと他の声になじむというか埋もれるというか、もしかしたら少しペース配分的な意味もあったかもしれないけど、存在感をひそめてたのに。

Never Enoughでケリーが一人だけで歌い始めた途端、とにかく涙があふれて仕方なかった。彼女は私の好きなエルファバ女優の一人だし、Never Enoughも好きな曲だし、感動する要素はもちろんあった。けど、あんなに「わけもわからず」涙がどんどん出てきたことは、今までなかった。文字通り「心を震わす」、歌声の息の出し方・揺らし方が絶妙な、不思議なほどに魅力的な声。この公演は、他の出演者も尋常じゃなく歌がうまいにも関わらず、とにかくケリーの声に強烈な反応をしている私がいた。

ケリーの声については、以前エルフィー特集で書いてた。そのときもやっぱり、「空気を震わせるような波長の声」って書いてる。それをまさにあの瞬間あの場で聴いて、ほとんど反射的に感動していたんだと思う。

impressivesounds.hatenablog.com

Never Enoughが個人的に強烈だったので、A Million DreamsとThis Is Meの記憶がけっこう飛んでいる。A Million~では、ソフィーの輪郭のはっきりした声がよく鳴っていたのは覚えてる。彼女、Wickedのグリンダしか知らなかったからてっきり声楽系のソプラノさんかと思ったら、けっこうロックやポップスが強そうな歌声だった。でも地声のところの輪郭感は、クリスティンに少し系統が近いかも。

・This Is The Moment
ミュージカル界隈ではとっても人気で有名なJOJさん、今回初めて拝見。基本的に一番リラックスしてて、「ホーム感」を持ちながら歌っていた印象。この曲なんかもちろんうまかったんだけど、リラックス感が目に見えるようなきがしたからかオケが若干スピーディーな気がしたからか、流して聴こえてしまったくらい。高音が少しきついのか、少しだけお腹のほうに手をあてる動きがあったかな?

・Anthem
これはケリーだったのでまた号泣。このアンセムの後の拍手はかなり長かったから、会場全体がすごくすごく圧倒された、心動かされたんだと思う。私はもっともっと拍手し続けたかったくらい。ケリーの声はふわっと面積が広くて、やさしく重ねたストールとかシルクとかガーゼをイメージするような声。そんな歌いはじめでまず涙、ラストの驚異的な高音とロングトーンの声のビブラートでまた涙。

・Moving Too Fast
ごめんなさい、JOJさんなんかは名前はよく見かけていたのだけど、ハドリーさんについてはほんとに今回初めて知ったの。そして初めて拝見。歌が抜群にうまい、声が渋め、という印象は受けた。ただこれはこの曲ゆえだと思うんだけど、低音ピアノとベースがかっこよくて、歌よりそっちに耳が奪われてしまった。

・Somewhere Over The Rainbow
ソフィーによる歌唱。彼女は去年ロンドンでみていて、その公演のグリンダは本当に感動した…。そんな彼女が、まさか日本にきてくれるなんて。今回はどちらかというと、ソフィー>ケリー>その他お3方という惹かれ具合でチケットをとったのだった。実際はケリーがさらにその上をいったわけだけど。

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この曲は他の曲に比べると起伏が少なく、どちらかというと素朴なメロディラインだと思う。そしてやはり、彼女は歌い上げはせず少しラフなアレンジで楽々と歌っていた。それで、他メンバーの持ち歌が大ナンバー系ということもあり、「なぜ彼女だけ歌い上げない系のこの曲なの?」と思った。Wikipediaで調べたら理由がわかって、彼女はBBCの番組で脚光を浴びて、オズの魔法使いのドロシーでウエストエンドデビューしてるからだった。なるほど。

・Til I Hear You Sing
ベンは既出のとおり2度目まして。この日も音のブレなんて感じさせずロングトーンだってばっちりな、絶好調の歌を聴かせていただいた。ただ前も思ったのだけど、やっぱりベンのファントムはただの男らしい、なんだったらイケメンっぽい男性に聴こえる。まず歌声がどうしてもシャープすぎるし、ファントムって人とうまくコミュニケートできなかった人だから多少の陰湿さやねちっこさがあるはずと思っているんだけど、それもない。ましてやあやしさもない。セクシーさはところどころ出している感じするので、ある意味オトナっぽさより青年っぽい清々しさがある感じ。後々謳うゲッセマネのほうが断然ハマっていると思う。

・The Music Of The Night
アルバム6枚出してファントムもいっぱいやってるJOJ、JOJより10歳若いからアルバム2枚しか出してないけどファントム(JOJほどじゃないけど)やってるベン、JOJより20歳若くてベンより10歳若いからアルバム出してないしファントムもやってないけど何にでもサインするよとハドリー。っていうのを自分たちでMCで言っていた、男性3名によるファントム。リラックスしてるのはいいことなんだけど、やっぱりJOJさんの我が出てる感じがちょっと。でも先述のように声がシャープすぎるベン、まだ演じていないせいか歌うまいけどファントムっぽさの薄いハドリーと比べると、まあやっぱりファントムっぽいのは彼かな。

・I Know Him So Well
・Losing My Mind
・I'll Be There
I Know~は、YouTubeでイディナとケリーが歌ってるのを何回か見た。今回はソフィーとケリーで。どうしてもグリンダとエルフィーだと思うと、別の感動が出てきてしまうね。Losing~はケリーだったかな?何の曲だろう、知らないな…と思っていたせいか感想飛んでしまった。そしてI'll Be~はハドリーだったかな?こちらも細かくは覚えてられなかったんだけど、彼のストロングな声が活かされるような、聴きごたえのある曲だったような気がする。

・Maria
・Tonight(quintet)
マリアはJOJが。この曲も少し高音が弱かったかなぁ。あとどうしてもキャリアのある方なので、青年のフレッシュ感よりはどっしりベテラン感があったような。トゥナイトの5重唱の前、ウエストサイド~の曲が短くメドレーのようになってとっても楽しかった!やっぱウエストサイド~って曲がいい、結末がつらいのでホイホイ観られないけど。そして5重唱、この歌うまメンバーだもの、ゴージャス!ウエストサイド~の1幕ラストの、各々の登場人物が居るベランダや部屋などのセットが見えるような気がした満足感。


・Entracte-Musical Medley
ここから2部。このミュージカルメドレーで演奏されたラインナップや編曲、アレンジが素敵だった気がするのに、なんの曲やってたか全然思い出せないのはなぜ。。

・Let It Go
・Evermore
ディズニー2曲。レリゴーはソフィー。日本人もそうだけど、海外の方もこの曲歌うの大好きだよね?お気に入りの曲っぽいな~という感じがした。持っている声が可愛いから、エルサほどの凄みというよりかは、等身大のレリゴーという感じ。イディナが地声で出している最高音、意外とソフィーは出ないみたいで、その音だけは裏声?ファルセット?(正しい言い方がわからない)で歌っていた。でも、声を置き換えているからって音量が減らないよう、そこは息の量多めでカバーしてたみたい。EvermoreはJOJが。とにかくこの曲は曲そのものがいいと思うので、誰が歌っても基本的に素敵~と思っている。ほんと、いい曲だよなあ。

・Come What May
・I Don't Remember You / Sometimes A Day Goes By
Come What May聴いたことあるけどこれなんだろうなと思ったら、ムーランルージュの曲だったか。確かレンタルで見たんだけど、時間あなくて1.5倍速とかで見たからいまいち魅力がわからなかったのだった。でもこの曲は好き。I Don't~とSometimes~はごめんなさい、忘れてしまった。でも覚えていないということは、男性陣、おそらくハドリーかベンあたりが歌っていた曲だと思う。あとで思い出したら追記する。


・For Good
・Defying Gravity

持ち歌のターン再び。ケリーとソフィーのWickedコンビ。ソフィーがケリーのことを「My favorite Elphaba」と言っていて、そっかあそれくらいキャリア違うのかあと思った。そしてケリーと歌えること、ソフィーはすごく嬉しそうだった。そんな色々を見ながら、想像しながら聴いたFor Good。そしてケリーのDefying Gravityはやっぱり圧巻だった。原キーより下げていたのと、どうしても歌い込んでしまっているのでけっこうアレンジが入っていてそのあたりは王道のが聴きたかったといえばそうなんだけど。彼女のラストの「Ahhhhh~!」の、ハートがざわざわするほどの魅力的なシャウトが聴けたからそれだけでもうオールオッケー。

・The Prayer
The Prayerはソフィーが。あれ、JOJも一緒に歌っていたような気もするけど何か別の曲と間違えているのだっけ。この曲はたまたまCeltic Womanで聴いてたから知っているのだけど、ミュージカルナンバーなのかな?知らなかった。どうしても音が通常音域から高音域へいったりきたりするので、どちらかというとソフィーの得意そうなちょい高めくらいの音域でガツンと聴かせる曲があってもよかったんじゃないかな。というかこの曲も歌い上げ系じゃないし、ソフィーだけ出番少なくない!?確かに一番若いけど、声のへたりも全然なかったし、もっと見せ場をあげてほしかった!

・Gethemane
ベンの一番の持ち歌、かな?ジーザスみたことないし、海宝さんがあれだけ何度も歌っていてもいまだに音源をちゃんと聴いてないジーザスなわけだけど、この日思った。彼こそジーザス。苦悩と途方に暮れる歌いだしから、心情を露わにして死へ向かっていくそのドラマティックな心と音楽の動きがダイナミックに表現されていて、本当に圧倒された。なんでそんな高い音にしたの?っていつも思ってしまう高音でさえ、「ああ、これはジーザスの心の叫びゆえ自然にこの高さまで声が高くなってるんだ」とすごく腑に落ちた。個人的に彼のファントムにしっくりきてないからこそ、このジーザスのハマり具合が素晴らしくて素晴らしくて…感動した。

Les Mizerables Medley
 -Stars
 -I Dreamed A Dream
 -Bring Him Home
さっきベンで書いたことを今度はハドリーで書く。ハドリーこそジャベール。Stars歌いだした瞬間から、「あ、この渋さと厳格さを感じる声はジャベールだ」と感じた。私はレミゼを数回しか観てないし、なんなら映画しか知らなかったときなんかはラッセル・クロウのジャベールに違和感なかった(今は少し違和感ある、彼のジャベールはどちらかというとマイルドだから)。だから「ジャベールはこうあるべし」という理想像もなかったんだけど、この日ハドリーのジャベールを聴いて、ジャベール像が確立した。

I Dreamed~はケリーが。この曲、どの人で聴いてもちょっと強すぎるように感じてしまうんだよな。たぶんそういうふうにつくられた曲だからだと思うけど。それで、ケリーは前半~中盤まではそこまで強くなくて「お、これは」と思ったし、ラストも強すぎなかったんだけど、直前二人のようなハマった感はなかったような気がする。歌う人じゃなくて、これは私の感じ方によるものだといつも思う。Bring~のJOJさんは、やはりバルジャン歴があるだけあってとても「らしさ」を感じた。若干、ラストのやわらかな祈りの歌のような歌唱部分が、おじいちゃんに寄った気がしないこともない。笑

Les Mizerables Epilogue
・One Day More
エピローグが本編ラスト。はけたと思ったらすぐ戻ってきてアンコールのワンデイモア。

聖母のように空から歌いかけるケリーのファンテーヌ、今にも召されそうなJOJバルジャン、芯の強そうな(笑)美しいソフィーのコゼット、バリケートから自力で帰還しそうな(笑)ベンのマリウス、厳格さを保つハドリーのジャベール。全員表舞台に現役で出ている人たちなので、世界に出れば各々の歌は聴くことはできるけれど、この5人の組合せではおそらく今までもこれからもこの公演限りであろう組合せの、貴重なレミゼエピローグ、ワンデイモアだった。ちなみにテナルディエ夫妻はケリーとコンダクタが楽しそうに、アンジョルラスはJOJがバルジャンと兼任だった。最後までJOJさんの比率高いわぁ。苦笑


この公演はトピー工業さんpresentsとのことで。この会社さん存じ上げなかったのだけど、鉄鋼メーカーさんなのね。そして規模も大きいみたいで。なぜ今回の企画が生まれたのかは全く想像がつかないのだけど、素敵な企画、素敵な公演をありがとうございましたとここでひっそりとお礼申し上げます。もちろん、来日してくれたキャストさんやプレイヤーさんやスタッフさんたちもね!Thank you!

マリーは目の前の人への愛を、マルグリットは人としての正義公平を:マリーアントワネット1/6

1つ前のエントリで書いたように土曜は海宝さんのコンサートを聴くことにしたので、あいてる日曜に何か入れたくて入れてみた。動機としてはそんな感じ。

そしたら、いい意味で見事にぶん殴られたという。結末への解釈などは提示せず事象だけを見せて、それについてどう受け止めるか、どう自分が反応するかはオーディエンスに委ねるスタイル。なのでウエストサイドストーリー、レミゼノートルダム的な終演後の感覚だった。

東京公演やってたのも知っててでもなんか舞台映像もそそられなくて行かなくて。ドレスに興味ないしな~、クンツェ&リーヴァイコンビの作品って出るキャストさんたちけっこう偏ってんじゃなかったっけ~と。でも、行けて良かったわ。ただしつらくて悲しくてやるせなくてあちこちで泣いてしまったので、とてもじゃないけど上演期間中何回も観るのは個人的に無理。


『マリー・アントワネット』2018PV【舞台映像Ver.】

いつもどおりあらすじ割愛でネタバレありな演者さんたちの感想を。みなさん歌うまかったしまぎれもなく歌ってたんだけど、それでも「演技」が心に残る後味だったな。

※そうそう、私は歴史に疎いからこの作品をそのまま受け止められたらけど、歴史が好きだったり史実に詳しい人からしたらもしかしたらモヤッとするところも多々あるのかも。

花總さん、素晴らしかった…!以前レディ・ベスを観たことがあり、そのときは「歌がアレ?ってときもあるけど、王女から女王、特に女王になってからがはまってるなぁ」と思ってた。彼女を観るのは2度目なので前回と今回どちらが通常運転かわからないけど、今日は歌も演技もすごかった。。

もちろん歌だけを抜き出して上手に歌う人は他にもいるかもなぁとは思うんだけど、あまりにも「マリーが歌ってた」。無理に高音域を地声で押し通すことなく、攻めと抜きがシームレス。高音もこんなに歌える方なのね。

彼女のマリーは、確かに世間知らずで華美な生活ばかりだったかもしれないけど、私にはそれは当然で仕方のないことだと見えた。それが彼女の日常であり、また彼女が演じようとしたフランス王妃だったのだと。

そしてマリーは、目の前の人を愛し、その人がしたいと思ったままにさせてあげようとする人だった(このあたり、ちょっとロアンやオルレアンを早々に嫌う描写が矛盾するといえばするのだが)。現実を見ていないと何度も言われていて、それはそうかもしれないんだけど、彼女は事実よりも意志や願いを尊重する人。

他方、昆さんのマルグリットは、正義と公平を貫く女性。悪いことをしていないのに生活に困窮する民衆を放っておけなかったし、マリーや貴族のことを憎んでいたのは民衆の暮らしを見ずに自分が豊かな暮らしをしていたから。理不尽な理由で嫌ったり憎んだりする人ではない。だからたとえ民衆に都合が悪くても、マリーや貴族に着せられた濡れ衣は許せなかった。

自分のアクションでマリーを裁判にかけてしまったこと、そして処刑してしまったこと。劇中では描かれていないマルグリットのその後は、きっとそういう後悔と己の非正義に苦しい日々を送っただろうと思い馳せてしまった。

マルグリットは、処刑台の前でマリーの手をとって送り出したとき、深々とおじぎをして、そのまま頭を垂れたまま動かなかった。あのとき、その場で崩れて泣き出して精神錯乱してしまうんじゃないかと思うほど、昆さんのマルグリットは小さくて痛々しかったし、カーテンコールでもしばらく役から心が戻ってこないように見えた。ちなみにマリーの花總さんは、全盛期のマリーの衣装をまとって出てくるせいか比較的早く微笑み始めていて、それはそれで心情の切り替えがすごいなと思った。

昆さんのマルグリットは、描写されるとおり若くてかしこくて肝の据わった女の子だった。ただ、歌はエポニーヌで完璧なイメージがついてしまったせいか、声が潰れたりぶれて聴こえたところが意外だった。けっこう高めの音域まで地声で出る人だと思うんだけど、怒りを演じてるゆえそう聴こえるところが散見されたのかも。初演は新妻さんがマルグリットだったらしいので、なにそれめっちゃ観たい…と思った。もうその可能性はないでしょうが。。

フェルセンの古川さんはお名前も人気もよく耳にしていたけど初めて拝見。ほんとに浮き世離れした美しさとスタイル。一人等身がおかしい。吉原さんだってかなり背が高くてかっこいいのにその上をゆく。美しすぎてちょっと2.5次元ぽささえある(2.5次元観たことないけどたぶんこんな感じ?って思う)。滑舌がはっきりしないように聞こえたのは、前日の海宝さんが滑舌良すぎたからかな。敵が強すぎたか(敵ではない)。

高音のとき一瞬お腹に手をやるのが癖みたいだけど、低音も高音もちゃんと出ていたし、ただドライなのではなく愛ゆえの距離の取り方なのだと納得させてくれる、クレバーなフェルセンという感じの役作りかなと。比べてしまえばYouTube舞台映像の田代さんのフェルセンほうが情感豊かでドラマチックに展開してそうな気もするし歌も「うまいー!」って感じなんだろうなとは思うけど、儚い声でマリーとこの世を憂うのが、この回のフェルセンとしては私はとても好きだった。

離れたり逃げたりするけど、最後はどうにかマリーを助けようと、完敗がわかるまであきらめず信じて動き続けた人として描かれていたように思った。この作品は史実どおりのところとフィクションのところとどちらもあるようなのだけど、彼の存在・行動はどうなのだろう?

佐藤さんのルイ、歌と演技がよく合致していてうまかったなぁ。彼は国王ではなく平凡な鍛冶屋だったら幸せに暮らしただろうと思わせられる。彼の鍛冶屋としての素質を活かしたギロチンが、自身やマリーや貴族を処刑することになるなんてあんまりだ。ひとつ、マリーに毎回「愛しい人」と言うのはちょっと違和感あったけど、おそらく原語だとhoneyとかdarlingとかそんな感じの意味のドイツ語なんだろう。

ルイは民衆の罵声を浴びているときも投獄されるときも、弁明したり憤ったりせず、国民の声を聞こうとした。秩序がどうこうではなくそこにいる人たちの意志を尊重しようとしたところが、マリーとおんなじだと思った。ある意味この夫婦は、理想を掲げて人を無碍にしないところがよく似ていると思った。

ほか細かいところは、楽しみにしていた彩乃さん演じるランバル公爵夫人の歌がめちゃ少なかった!でも短いながらも美しい声は聴けたし、アルトに音域は意外とハスキーなんだなというのも発見だった。だから彩乃さんの声は、ソプラノ音域は声量豊かなフルートみたいな、アルト音域はオーボエみたいな響き。

吉原さんのオルレアン、美声だし歌もいい感じだったのだけど貴族感はもう一歩。品があるけど悪巧みがすごい影の黒幕的なキャラクターだったらもっと恐ろしかっただったかも。ジャックはアンサンブルさんだと思っていたので、やたら歌うまいなーと思ってたら、お名前をよく聞く坂本さんだった。終わってから気づくパターンはパレードのときと一緒だ。。パレードといえば、その頃から美声に注目している吉田萌美さんもアンサンブルの中から見つけることができて、民衆の勝ち気で嫌味な女性の演技がとても目を引いた(さすがに歌声は拾い出して聴き分けられてない)。

彩吹さんのローズと駒田さんのレオナールコンビは、コメディ担当にはもったいないくらいしっかり歌っておどけてくれて、脇を固めてくれていた。せっかくハイクオリティなおふたりなので、もっとおいしい見せ場があっても~と思うくらい、お話の本筋には絡んでこなかった印象。


マリーの人として/母として/妻として/愛人としての愛情深さに惹かれ泣かされ、フェルセンの控えめなやさしさと思い続ける愛の深さに癒され、マルグリットの正義を貫きたいだけなのに言葉を失うような時代に流されていくつらさと後悔にまた涙。本当に観て良かったと思ってる…が、お正月からなんておどろおどろしい作品を上演してるんでしょ。不思議。あと書きながら思ったけど、それぞれの方向性としてマリーはバルジャン、マルグリットはジャベールなのでは?これはレミゼなのでは?と思えてきた。

そうそう、作曲者のリーヴァイさんが客席にいらしていて、うわーふつうにいるんだーと。まだ開演前だったし特にファンではないので興奮することもなかったけど、終演後は心の中で「(この心乱されるぐちゃぐちゃな感情をもたらしてくれて)ありがとうございました~」と悶えていた。

あ、今更だけど会場は梅田芸術劇場メインホール。1階席の真ん中よりは前方で少し下手寄りだけど、とてもとても見やすい席だった。音響のバランスも良くて、曲が曲なせいかテーマがテーマなせいか上品で豊かな響きに聴こえたように思う。ただし、椅子がすごく腰痛くなる形(腰の後ろにクッションのようなパーツがあり腰が反ってしまう)で、すごく前屈したくなったのだった。笑


1/6公演キャスト

マリー・アントワネット花總まり
マルグリット・アルノー昆夏美
フェルセン伯爵:古川雄大
オルレアン公:吉原光夫
ルイ16世佐藤隆紀
レオナール:駒田一
ローズ・ベルタン:彩吹真央
ジャック・エベール:坂元健児
ランバル公爵夫人:彩乃かなみ

歌唱力高すぎるゆえの(観客としての)悩み:海宝直人 in concert 大阪

例年年末年始は旅行してたり年越しライブ行ってたりだけど、今年は珍しくどこも行かず、しかし休みは長く、都内でもいろいろやってるけどそんなにピンとこず。「じゃあ海宝さん聴きに行っちゃおう」という感じで行ってきた。

会場は先月行った渋谷オーチャードから、大阪サンケイホールブリーゼに。音の違いは箱の違い?今日のほうが奥行きコンパクトなせいか、全体的に聴きやすいように思った。オーチャードってけっこう奥行きが長いから席位置によってどうしても音の質のばらつきが大きいのかな。

弦楽器は渋谷より少なくなったこともあり、厚みと情感は減った感じがしたけど、ばらつきは少なくまとまりよく聴こえた。1stヴァイオリンの神山里梨さん(お名前で検索したら若い女性のヴァイオリニストだったのでたぶんこの方かと)は愛の賛歌やYou Raise Me Upのやさしい旋律が素敵。オペラ座ではもう少しデュエット感があったらなとも(後述)。

セトリはいつもどおりいろんな方がSNSにあげてくださってるのを拝見しながら思い出し書き。渋谷とかぶるものも多いのでコメントのコントラスト激しいです。

・Heaven on Their Minds
海宝さんのジーザスブーム引き続き。毎回ジーザスに「ピンとこない」と言ってる私は私で、いい加減一通り音源聴くべきかなと。こんなに頻繁に歌われるのなら。

・Til I Hear You sing
・Waving Through a Window
ファントムはセトリ英語表記だけど日本語歌唱だったかな。渋谷のときもかなり素敵だったので、今回も相変わらず。作品として、ストーリーとしては、オペラ座もラブネバーダイズもファントムも好きではないけど、この歌が聴けるなら演じてほしい。

Waving~は、前回がどちらかというと切実さ強く押していたような印象で、今回は少し大人なエヴァンという印象。声音は高く置きすぎず、語るような歌い方。「anybody」の「o」、「tap」などの「a」の声の出し方が丁寧でスムースで爽やかな響きで、個人的に好きな声だった。わりと後半に感情の山をもっていった印象で、ライブならではだなと思った(もし音源でそれをやったら間延びしそう)。

The Phantom of the Opera
・Tango Milonga
・You Raise Me Up
クリスティーヌの超絶技巧ハイボイス健在。ヴァイオリンはもう少しアイコンタクトしてあげてほしかったなぁ。海宝さんがファントムばりにヴァイオリンクリスティーヌに視線を送っているのに、独奏寄りな演奏に見えた。

難しいポーランド語のタンゴも披露。からのYou Raise Me Up!これはCeltic Woman大好きな私にとって大好きな曲の1つなので「予想だにしなかった素晴らしいコラボ!」と思った。ただしこの曲で残念だったことと感心したことがひとつずつ。

前者は、特定の個所だけ歌詞がよく聴こえなかったこと。サビで繰り返し出てくる「You raise me up so I can stand on mountain You raise me up to walk on stormy sea」という歌詞なのだけど、数カ所あるto walk on stormy seaの部分だけが毎回ぼんやり…?歌詞が飛んだのか間違えて覚えていたのか私の聞き間違いかわからないけど、「~sea」のとこも「~mountain」と歌ってたような。

人間なんだからそのくらい寛容に、と思いたいのだけど。ずっと大好きな曲で、しかも海宝さんがその曲を次いつどこで歌ってくれるかもわからないレアな曲なので、惜しくてしょうがない~という気持ちだった。(こんだけ書いといて聞き違いだったら心底申し訳ないけれど、私にはそうきこえた。)

他方、感心したのは、上記を微塵も感じさせないほど、音程にぶれが現れなかったこと。歌詞、なんて言ってる?とずっと注意深く聴いていたけど、音程はあまりにもぴたりとはめていてすごすぎると思った。プロってすごい。アドリブ力も驚異的。

・愛の賛歌
ぽつりぽつりと歌い始めて、湧き出る愛がこぼれ落ちるままに歌うような愛の賛歌。今日も素晴らしかった。息を多めに入れて、儚い感じ。これ歌う女性はわりと渋く歌おうとする曲な気がするけど、そういうアプローチより個人的にとてもしっくり。

・On My Own
・I’m here
愛の賛歌が熟女だったとは思わないけれど、続けて歌われるとそれよりもうら若い女性の歌として聴こえた。実際エポニーヌはあまりにも早く亡くなるからその表現で合ってるんだけど、男性でこの感じを出すことってできるんだぁと。I'm hereは、今日は歌詞がよく聴こえてまずその内容にうるっ、曲が進むにつれてなんかよくわらかないけどうるっ。書き表し難い。

・Aladdin Medley
・Santa Fe
ここから2部。アラジン、声優できそうなくらい余裕だしぴったり。ただここに限らず、今日はかなり母音の発音強めでときどきムム?となった。もともとsとかkとかはっきりしていると思うけど今日は特に。

Santa Fe、ラストは切ない心の叫びに聴こえるなと思ったら、やはり心が折れるようなシーンなのだとか。毎回Feの伸ばしの声をわざと割ってくるのがすごい。きれいに出し切らないことでその心情を表現しているのかなぁ。

・So Close
・Out There
・Someday
セトリが英語表記だけど全部日本語歌唱だったような。So Closeはラスサビ手前「あなたのいない世界なんて」が、熱唱ではなくて失意の独り言のように歌われていて、そのアレンジもとってもはまるんだなぁと。グッときた。

ノートルダムについては「とても大切でこれからも大事にしたい作品」と言っていたので本当にその通りに思っているんだろうと思うと同時に、カジモドは当分やりそうにないなという感じが、どうも話し方からも歌からも感じられる気がした。観たいけどしょうがない。

・Sheridan Square
歌うでもなく話すでもなく呟き置くような「tonight」が好きだなと。squareの歌い方、音の置き方が、英語できる人だなぁと思わせる。qの音が聴いてわかる。自分で再現しろといわれたらたぶんできないけど。笑

・Cry For Me
・December 1963
この日もジャージーの盛り上がりはばっちり。私は観たことがないせいか、Cry For Meを他の人の1/5くらいしか楽しめていないのかも。。What a nightの最高音、今日は正解がよくわかりました。音がわかってすっきりした。

・Gethsemane
・Bring Him Home
アンコールでも手をゆるめなさすぎるセトリ。最後の最後、声出なくなるんじゃないかと勝手に心配してしまった。海宝さんのことなので「音が当たらなくなるのでは」という意味ではなくて、「(セトリに高音低音技巧全てを盛り込んでしかも曲数もなかなかゆえに)声が出なくなるのでは」という意味で。実際は歌いきって締めくくれていた。もちろん。


歌い上げたりトリッキーだったり、そういうのもとっても素晴らしくて、それは異論なく。ただ、難解技曲みたいなのではない曲、たとえば前歌っていたMy Wayや翼をくださいのような曲を、歌唱力がある人だからこそ出せる声で歌ってもらえたら。そういう贅沢なことを思ってしまう(タイトルはここです)。

あと前から気づいてたけど、ほんとこの方は腕を広げて朗々と歌うことがない。Til I Hear You singもSanta FeもOut Thereも、最後は高めの音域にロングトーンだからふつう腕を広げて体いっぱいに気持ちよく歌う人もいると思うけど、それをしない。(その歌い方も曲と合ってれば見ていて気持ちいいので批判したいのではないです。)

そうすると声が出しにくい(たぶん右側方向に首~顔を向けるのがコントロールしたいときの特徴という印象)のかもしれないけど、おそらくそうではなくて、「自分がその役の人物だったら腕を広げて歌い上げないと考えてるから」なのかなぁと思ってる。本当に、「自分」じゃなくて「その歌」を表現することだけを考えてる人なのかなぁと。


余談だけれど、めちゃくちゃ暇でもうやることがない!ということでもなければ、ライブもコンサートもミュージカルも、やっぱり都内近郊でおさめようと思った。単純に疲れるし、国内旅行を兼ねようと思うには時間が足りない。

無論、海外なら観光もライブもコンサートもミュージカルも貪欲にやれてしまうので別腹。アドレナリンか?