Impressive Sounds

素敵な歌声や音楽を求めて。

あまりにも美しく慈愛溢れる歌声:マザー・テレサ 愛のうた 11/18ソワレ

伊東えりさん。
美女と野獣のベルの声と歌、ムーランの歌、メリーポピンズの歌など、ディズニーでおなじみの声の方。
あとサントラなどにも参加されてるらしい。
YouTubeでその声を聴いて、こんなきれいな声を生で聴けたら!と思って聴ける機会を探していたら、この公演があったので即決。


A song of storm and fire - Yuki Kajiura LIVE 2008 [HQ]

ちなみに最初に伊東さんの歌声に出会ったのはこの曲だった。

話としては当たり前だけどマザーテレサの生きざまについて。
正直彼女について詳しくないので少し難しく感じた。

幼少期の母の教え、読書家で本をたくさん読むなかで知った「小さき花のテレーズ」、ダージリンへ向かう電車で啓示を受けたこと。
最も貧しいカルカッタのスラム街での活動、「神の愛の宣教者会」設立、「死を待つ人々の家」開設、ノーベル平和賞
入ってたエッセンス的にはこんな感じかなぁ。
けっこう細かく説明してた感じ。

ミュージカルにも色々あるけど、この作品はレミゼみたいに全部が歌で進んでいく方式。
けっこう歌いこなすのが難しそうな曲も多かった。
マザーテレサは音符・音階的に、ジャーナリストは説明的な部分に、それぞれ難しそうな感じを受けた。
特にマザーテレサは伊東さんじゃないと歌えないんじゃないのというくらいで、もしや当て書きかな。

今回ミュージカル座の作品を初めて見たのだけど、キャストや観客が不思議な感じだった。
伊東さんはじめ誰が見てもプロだなって方から、プロアマの合の子みたいな方まで。
子役がいたからか、題材ゆえか、客席には子どもも多かった。
舞台上は美術はしっかりある感じで、でも衣装は少しお手製感があったり。

さて、子細なことはさておき、伊東さんの美声について。
裏声との切り替えはそれなりにあるんだけど、裏声になったらなったでまた美しい響きで、音量が減るどころか伸びが増すように聴こえた。
歌いこなしが素晴らしいし、こんなに感情の乗った歌声ってあるのね…。

声そのものももちろんいいけど、声にのせる含みや温度が殊更に素晴らしいのだと思う。
演じてるとかいうのとは少しだけ違って、マザーテレサをよく理解し丁寧になぞりつつ、自分の身近な慈愛の感情も添えて表に出しているような。
当事者の熱と、それに理解を示し共感してあげるやさしさも感じる歌の抑揚だった。
(「声」の「音」として書き表せないのがとても悔しい!)

登場時はそれこそディズニープリンセスのような可愛らしい声で、正直想像以上に「そういう声」だったので驚いた。
でもこれ、ちゃんと年齢ごとに声音を分けてるんだなと早々に気づいて、あぁやはり声をお仕事にする方は芸が細かいなと。
可愛らしい声からしっかりした声に、次第に威厳を帯びて、晩年はやさしく丁寧な声にシフトしていた。

すでに書いたように曲がかなり難しくて、伊東さんでないと歌いこなせそうにない感じ。
それゆえ伊東さんの歌を聴くためのような作品に仕上がってる感が強い。
私は伊東さんの歌が聴きたくて行ったから大満足だったけど、作品としての良さは正直ちゃんと受け取れたかわからない。

その他の素敵ボイスメモ。
テレサの子役ちゃん、歌うまいという設定もあり、とっても安定感あるパフォーマンス披露してた。
「いいことをするときは海に小石を投げるように(奢らず誇らずしなさい)」という母の教えに「わかってる」と返すときの言い方。
「わかってる」の手前に小さい「ふ」が入るような言い方、巧みだなぁと思った。

小さき花のテレーズとベルギーから来た看護師・ジャクリーヌの人もいい声だなと思ったら、同じ方が演じてた。
こういうことがあると自分の耳に自信が持てる。笑
浦壁さんという方が演じていて、ちょっとディズニーの「デイジー」っぽさのある、声の抜けが少し独特な方だった。
ちなみに浦壁さんかなりお若く見えたし声もお若く感じたけど、しっかりキャリアのある方だった。

他にもメモしたことはあるんだけどまとまらないから、気が向いたら追記するってことで。

最後にバラの花びらが降る演出が、とてもとてもきれいで幸せな気持ちになった。

【キャスト】
マザー・テレサ:伊東えり
ジャーナリスト:岸田敏志
聖フランシスコ/マイケル・ゴメス:麻田キョウヤ
ヴィック神父/医者/航空会社幹部:菊地まさはる
小さき花のテレーズ/ジャクリーヌ:浦壁多恵
ドラナ/アデル/ジータ:稲田みづ紀