Impressive Sounds

素敵な歌声や音楽を求めて。

5人それぞれの個性のバランスの良さ:ニューイヤー・ミュージカル・コンサート2018 1/8公演

感想残してないけど、去年も行ってたこのコンサート。
今年の出演は5人。
LAURA MICHELLE KELLY(ローラ・ミシェル・ケリー)
GENEVIÈVE LECLERC(ジュヌヴィエーヴ・レクラーク)
ROBERT MARIEN(ロベール・マリアン)
MICHAEL ARDEN(マイケル・アーデン)
ANDY MIENTUS(アンディ・ミエンタス)


Bunkamura 東急シアターオーブ「ニューイヤー・ミュージカル・コンサート2018」キャストメッセージ


7日まで年末年始海外逃亡してたので、これは行かないつもりでした(いつもつもりばっかり)。
が、ローラのAll That Matters、そして何よりマイケルのOut Thereが聴けるとなれば行かないわけにはいかなかった。

シアターオーブは何回も行ってて、S席は高い、A席は音が所によりダメ、っていう個人的に座席選択が難しい劇場。
今回は聴ければいいやと思ってB席(2階10列)にしたら、これが良かった!
おそらくスピーカーが自分の頭と同じくらいの高さにぶらさがってて耳にちょうど音が入りやすかったからかなと思ってて、たぶん2階は9列以降がよさそうかなと。
前2階A席にしたら音が頭の上をすり抜けていく感じですごく物足りなかったので、今後はB席にしよう。

オケは見えた感じでは
バイオリン系の弦3本、ラッパホーンフルート、エレピ3人、打楽器2人、ベースかギター。
たしかにいろんな楽器補ってくれますけどエレピ3人は多すぎでは…音の厚みも機械的になるし無機質感にちらほら気づくオケ演奏。
せめて1台くらいグランドピアノとか、音質の良いピアノも用意してほしかった。

幕開けはSeasons Of Love。
優等生的でダイナミックさとか驚きは感じなかったけど、しっかり歌われていた感じ。
低音がけっこうしっかり聴こえるのでだれ?ロベール?と思ったらマイケルだった。
低音もがっつり出ますなぁ。

楽しそうなGood Morning。
雨に唄えばの曲のようだけど、この日初見。
ローラ、マイケル、アンディが可愛く優雅に歌唱。

続いてロベールのMan Of La Mancha。
なんかすごい迫力感じつつも、少し型にはまった感も強め。
歌いこんじゃってるのかな?

そしてジュヌヴィエーヴのMemory。
キャッツ観たことないけどたぶん1度下げくらい?原キーではない音で歌ってた。
少し声が強めだけれど、自分事として歌っている感じが素敵だった。
歌い上げはほんとにラスサビのみだったのが、誰かの模倣とかでなく良かった。

On The Street Where You Live、マイフェアレディの曲らしい。
アンディとマイケル、どっちが歌ってたっけ?失念。

Music Of The Nightはロベールのおハコ。
少しかたくて聴きづらい声のとき、ソフトに歌うところは少し年齢を感じる声のとき、それぞれあった。
でも基本耳なじみ良くて、後半フランス語で歌ってたのがとても良かった!
フランス語とミュージカル、軽やかにしたいときやささやくようにしたいときは良いかも。
逆にべったりどっしり聴かせたいときは音数の少な目な日本語が良いかも(ウィーン系観てるとそう思う)。

As Long As You're Mine、ローラとアンディで。
今までみたどのAs Long As~よりもドラマチックに感じた!
影のあるウィキッドのストーリーよりも、洋画でロマンチックに展開されるラブストーリーの一部という感じ。
二人とも声が陽な感じだからかな。
アンディはノーマークだったけど、声はっきりしてるし成熟し過ぎてない若々しい高めの声音でいいなぁ、ということがわかったのは嬉しい収穫。

Love Changes Everything、海宝さんも歌ってたな。
マイケルの声と合っていて、余裕の歌唱っぷり。
すこーし高音寄りの音もあるけど、ばっちりあたってて安心。
余裕すぎて、なんなら6割くらいの力で歌ってそう。

Beauty and the Beastはロベールとジュヌヴィエーヴのカナダ組が。
ロベールは実際ジュヌヴィエーヴの歌の先生だそうで、この組み合わせがとても良い!
ロベールは若返ったように聴こえるし、ジュヌヴィエーヴはロベールに寄った大人な感じに聴こえるし。
この曲、人によってはただの歌謡ショーみたいに見えることも多いけど、とてもしっとりな上品な仕上がりで大満足。

All that mattersは、Finding Neverlandオリジナルキャスト、ローラが。
泣いた、これはとにかく曲が好きで、メロディも好き。
ローラはそんなに母感強くないと思うんだけど、それがまた「母親になっている最中の女性」という印象があって、母親であり女性である意思の確かさを、しなやかでやわらかめな声で絶妙に歌う。
2番はオケ(というかエレピ)のユニゾンがやたら大きくなったのかローラの声が小さいのか、少し声負けしてるように聴こえた。

Sunrise Sunset、屋根の上のヴァイオリン弾きから5人で歌唱。
屋根の~は観たことないのだけど、良い曲多そうな予感?
そして定番のI Got Rhythmで1部終了。

2部はLet It Goからスタート。
ローラ、この曲が大好きだからか?すごく力入ってた。
高音の切り替えどっちでいこうか若干迷ってた感あるものの、ラスサビは堂々の地声でさすが。
オケはエレピ多用だったかも。

Pure Imagination、チャーリーとチョコレート工場のナンバー。
これも美女と野獣と同じくジュヌヴィエーヴとロベール。
チャーリー~の曲だからてっきりポップでファニーな曲かと思ったら大人っぽい曲だった。

春のめざめからLeft Behind、マイケルとアンディのペアで。
この曲知らないし起伏の少ない曲だけど、鬱々とした感じがあって、ある意味今回のナンバーの中で最も「作品を観ている」イメージに近かった気がした。
マイケルは青年のぼんやりとした感覚、アンディは若い焦燥感のような感覚をもって歌ってみえた。

今年はオーブでエビータやるからということで、そこから2曲、まずBuenos Aires。
ローラってこういうのも歌えるんだ!
押し押し歌唱だったので緩急をつけてくれるとより好みだけど、力強く南米の女で楽しかった。
ただローラは良かったのに、最後オケが3回くらいずれていておかしな感じになっていた。

続いてジュヌヴィエーヴによるDon't Cry for me Argentina。
彼女は時々歌に節があって、それが泣かせの声みたいに聴こえることがある。
誰かの声に似てるけど誰だっけねと考えてたら、レイチェルタッカーっぽい気がした。
クルーズシンガーだったせいか演じより歌寄りで、コンサートではそれがちょうど良く聴こえた。

メリーポピンズもやるからと、Chim Chim Cher-eeをみんなで。
このあと持ち歌ゾーン。

マイケルのOut Thereは、圧巻。
今まですごい余裕あったんだなってくらい、これは本領発揮した感じ。
音源ほどの純真無垢さはないけど、そのぶん諦めや苦悩が声にたくさんのってた感じ。
それがラストにかけて気持ちが広がっていって、高らかに放出されるのを生で聴けたのは感動的だった。
ちなみに暗転後はカジモドステップ(体を曲げてひょこひょこ)ではけてった。

Shall We DanceとHello Young Loversは、ローラの当たり役と思った(アンナ役)!
The King and I自体は、シドニーに行ったときやってたけど観てはいないのでイメージでしかないけど。
クラシカルでロイヤルな感じがとても優雅な曲で、彼女のやわらかい声に合ってた。

Empty Chairs and Empty Tables、アンディのマリウスもなかなか良かった。
声がスコーン系と通るので少しアイドル感もあるけど、大サビではやはり涙。
もっと悲壮感とか無力感とかぶつけてきてくれたらもっと心動いたかもしれないけど、今度はこちらの気持ちが大ダメージ受けそうだからある意味助かった。笑

ジュヌヴィエーヴによるI Dreamed A Dreamedは、「久しぶりに感動したI Dreamed A Dream」だった。
彼女にとっての思い入れゆえか、すごく入り込んでた。
この曲ってただ怒りに任せて歌われるのもしっくりこないし、悲しさだけを全面に出されるのもしっくりこない。
彼女は曲中での気持ちの変化がちゃんとあって、最後には悲しみも怒りも空虚さも織り混ぜて歌にしてた。
やはり泣かせの声がどこかにあって、涙。

ロベールのWhat Have I Done、バルジャンの独白は、たしか前回もやってた。
これを観ると日本のバルジャンは歌唱力物足りなすぎるなぁと思う(YouTubeでみた範囲では)。
独白はこれくらい迫真と迫力でもって客席を圧倒してくれないとね。
こちらもフランス語で歌っていて、彼の力量ゆえか、フランス語特有の気品よりもちゃんとバルジャンの激情が前に出てた。

本編ラスト、アンコールともに知らない曲だったので、失礼ながらそちらは割愛。笑
タイトルにもしたけど、今回の5人はそれぞれの声の個性がとてもバランス良かった。

ローラ:やわらかで高音もノンストレスな声
ジュヌヴィエーヴ:芯がありつつもしなやかな声
ロベール:落ち着きと威厳のある声
マイケル:いろんな感情を内側にもっているようなマチュアな声
アンディ:若さとハリのあるストレートな声

声はいいんだけど音外すとか我の強さが出ちゃうとか、そういうこともなく、歌の技量をもって曲を丁寧に歌う人が多くて、すごくいいもの観たなという気持ち。
新年一発目から素敵なコンサートで幸せ。