Impressive Sounds

素敵な歌声や音楽を求めて。

キュートなルルに釘付け:ミュージカル イヴ・サンローラン2/23ソワレ

いつもどおり、海宝さんの歌を聴きに行ったはずが。いろいろな要素の組み合わせにより、目と耳を奪われたのは、この日初めてみた女優さんだった。この下の動画の最初に出てくる赤いスカート?チュチュ?の女の子、ルル役の皆本麻帆さん。またあとで触れよう。


ミュージカル「イヴ・サンローラン」(東山義久・上原理生)公開ゲネプロ

【出演】
イヴ・サンローラン:海宝直人
エルザ・スキャパレリ:伊東弘美
ルル:皆本麻帆
ピエール・ベルジェ大山真志
クリスチャン・ディオール:川原一馬
ココ・シャネル:安寿ミラ
神田恭兵、奥田努、和田泰右 / 青木謙、RIHITO、中塚皓平、橋田康、小野沢蛍、中岡あゆみ

この作品、今回が初演で感想や解説がまだネット上に少ない。かつ、私はハイブランドのことや歴史には明るくないので、ほんとにさらっとイヴサンローランについてWikipediaで見ていった程度。

そしたら案の定、1度観たくらいではきっと気づいていない作品の魅力や意図があるだろうなぁと思った。正直、「良しも悪しもわからなかった」。ファッション界の歴史をテーマにしたPVでも見ていたのかなという感覚で、不満感はなかったけど置いてけぼり感。

ので、復習がてら、備忘がてら、そして皆本さんという女優さんを認識できた記念(?)に書くエントリです。


お話の軸は、あの有名デザイナー・イヴサンローランと、公私ともにパートナーであった実業家・ピエールベルジェ。当時から同性愛をオープンにしていたらしい。そして史実上では彼らとは時系列的に交わらない著名人たちが脇を固めて、イヴとピエールの物語を眺めていたり、補足していたり、ときには有り得ないながらも彼らとコミュニケーションしていたり。

まあ、その「脇を固めて」いた人物たちも、シャネルとディオールとウォーホルくらいしかわからなかったけど…エルザスキャパレリとか、ルルドラファレーズとか知らないので。で、その彼らがイヴの年表を追っていくスタイルだった。

ルルやディオールなどの著名人たちが、ところどころで「●●●●年、イヴは■■した!」とか言うシーン多数。若くしてディオールのデザイナーになったとか。徴兵に行ったけど精神的に参ってしまったとか。既製服(プレタポルテ)で成功をおさめたとか。服、香水、化粧品、なんにでもロゴをつけてライセンスビジネスとしたピエールと、ビジネス方針では相反していたとか。

あらましの復習終わったので、音楽とか衣装とか演出とか役者さんの感想とか。

まず音楽!フランス意識なのはわからないこともないけれど、だいぶ古風なメロディ?アレンジ?という感じ。それが曲そのものに起因するのか、たった2人でほとんどを演奏していたと思われるエレクトーン(シンセか?)に起因するのかまでは、1回観ただけでは判断できず。

でも少なくとも、あの2人が稽古ピアノのようにグランドピアノの連弾とかでも、それはそれでアリだったんじゃないかなと。歌うまい人多かったから、フルオケや電子音でごまかさなくてもいけるんじゃないかと。エレクトーンだと、どうしても学芸会感が出るように思ったので。

そして歌が、まあ難しそうなのが聴いてるだけでよくわかる。皆さんよくあんなの歌ってたなぁ…。たぶんこの歌も、私が置いてけぼり感を覚えた大きな理由の一つで、わざとだと思うけど「ミュージカルっぽくなかった」。現代のポップスとか邦楽の雰囲気というか。いくら役者さんたちが感情をのせて歌っていても、PV感がすごい。ドキュメンタリというより私的にはPV。

で、衣装。ファッション詳しくないので、再現性がどうとかはそもそも気にならなかった。ただ、どうしても役者さんたちの日本人のナショナリティは消えないから…。コレクションのシーンでも、「専門学校かな?」みたいな感じがする独特な衣装もあったり。皆さんスタイル良いのです、ただ、フランス感を出せるかというと、私にはどうしても難しく見えた。

あと演出?構成?これも不思議な感じ。基本、イヴはピエール以外とはほぼ同じ時系列でコミュニケーションしないし、ピエールもルルを除いてはやはりそう。でも、後半の一部のシーンではそのルールが機能していなかったように記憶している。どういう意図なのか気になった。

その、「2人と同時系列でコミュニケーションしない」という世界観を上手に成立させていたのが、冒頭触れたルル役の皆本麻帆さん。ルルはイヴの落書きから生まれた絵本のキャラクターとのことで、それが狂言回し的にたちまわるっていうつくりだった。このルルが可愛くて!

落ち着きなく足をパタパタさせたり、イヴやピエールがディオールやシャネルに接触しそうになるとハッと手で制したり。本家ルルがどんな女の子として描写されてるか知らないけど、ちょこまかとした細やかな動きが、落書きのルルのキャラクターらしいなと。

ルルの赤いチュチュの衣装もよく似合って可愛らしく、声も甘すぎないけど「少女」未満くらいの感じで素敵で。後半は、実在のルルドラファレーズを演じていたりもして、そこはけだるそうなフランス人美女感があり、そのギャップも好きだった。またこの方が出る作品観てみたいな。

そして海宝さん。歌がうまいのはあまりにも周知の事実だけど、ダンスもできすぎじゃありませんか。素人からしたらダンサーさんとのレベルの差なんて感じなかったくらい。まあダンサーさん特有のヌケ感みたいなのよりは、振付に忠実なんだろうなという気配は感じたけど。しかし歌もダンスもハイスペックすぎてこわくなった。なんでもできる人って、素敵だけど、「え?同じ人間?」って思ってしまったりもして少しこわい。※ほめてます。

あ、歌。うまいと書いたけど、なんか歌の語尾の部分がよくきこえないところがいくつかあった。語尾というか、私の耳が拾えない音域があった気がする。たぶん席位置の関係とか他の音との干渉でたまたまかと。でもあの歌声を堪能しきれなかったのかもしれないと思うとそれはそれで惜しい気持ち。

イヴのパートナーのピエールは大山さん。初めてみた方。第一声から「はぁ歌がうまい」と思ったのは覚えてる。あと随所に少しだけ節のような歌い回しを入れてて、それが控えめな主張でありつつ個性でもあって、バランスがよくて耳触り良かった。ただ、大柄な方なのかな?イヴの恋人というよりは、なんでも願いを叶えてあげるパパか何かのほうが印象としては近かった。

シャネル、イヴの母、モデルのベティを担われていたのが安寿さん。いやーまースタイルがよいよい!シャネルかっこよかったし、着ていた時間短かったけどベティのパンツスーツもかっこよかった。前みたときも思ったけど、この方は「演じる」というより「役を自分に近づける」というか、「安寿さんが演じてることに価値がある」っていう不思議な説得力がある。ある意味「どんな役でも安寿さんは安寿さん」ともいいますか。

全然まとまんないけどとりあえずこんなもんかな。

あ、そう、今回の会場はよみうり大手町ホールだった。初めて行ってびっくりしたのが、背もたれ高い…!視界を塞ぐほどではないのだけど、低身長なものだからなんだか圧迫感があった。後ろのほうの席だったから?前のほうなら気にならないとか??ここ、外タレのコンサートとかでもよく使ってるみたいだからもしかしたらまた来るかもだけど、好きかと言われるとあまりイエスと言いづらい会場な予感がするのでした。