Impressive Sounds

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歌唱力高すぎるゆえの(観客としての)悩み:海宝直人 in concert 大阪

例年年末年始は旅行してたり年越しライブ行ってたりだけど、今年は珍しくどこも行かず、しかし休みは長く、都内でもいろいろやってるけどそんなにピンとこず。「じゃあ海宝さん聴きに行っちゃおう」という感じで行ってきた。

会場は先月行った渋谷オーチャードから、大阪サンケイホールブリーゼに。音の違いは箱の違い?今日のほうが奥行きコンパクトなせいか、全体的に聴きやすいように思った。オーチャードってけっこう奥行きが長いから席位置によってどうしても音の質のばらつきが大きいのかな。

弦楽器は渋谷より少なくなったこともあり、厚みと情感は減った感じがしたけど、ばらつきは少なくまとまりよく聴こえた。1stヴァイオリンの神山里梨さん(お名前で検索したら若い女性のヴァイオリニストだったのでたぶんこの方かと)は愛の賛歌やYou Raise Me Upのやさしい旋律が素敵。オペラ座ではもう少しデュエット感があったらなとも(後述)。

セトリはいつもどおりいろんな方がSNSにあげてくださってるのを拝見しながら思い出し書き。渋谷とかぶるものも多いのでコメントのコントラスト激しいです。

・Heaven on Their Minds
海宝さんのジーザスブーム引き続き。毎回ジーザスに「ピンとこない」と言ってる私は私で、いい加減一通り音源聴くべきかなと。こんなに頻繁に歌われるのなら。

・Til I Hear You sing
・Waving Through a Window
ファントムはセトリ英語表記だけど日本語歌唱だったかな。渋谷のときもかなり素敵だったので、今回も相変わらず。作品として、ストーリーとしては、オペラ座もラブネバーダイズもファントムも好きではないけど、この歌が聴けるなら演じてほしい。

Waving~は、前回がどちらかというと切実さ強く押していたような印象で、今回は少し大人なエヴァンという印象。声音は高く置きすぎず、語るような歌い方。「anybody」の「o」、「tap」などの「a」の声の出し方が丁寧でスムースで爽やかな響きで、個人的に好きな声だった。わりと後半に感情の山をもっていった印象で、ライブならではだなと思った(もし音源でそれをやったら間延びしそう)。

The Phantom of the Opera
・Tango Milonga
・You Raise Me Up
クリスティーヌの超絶技巧ハイボイス健在。ヴァイオリンはもう少しアイコンタクトしてあげてほしかったなぁ。海宝さんがファントムばりにヴァイオリンクリスティーヌに視線を送っているのに、独奏寄りな演奏に見えた。

難しいポーランド語のタンゴも披露。からのYou Raise Me Up!これはCeltic Woman大好きな私にとって大好きな曲の1つなので「予想だにしなかった素晴らしいコラボ!」と思った。ただしこの曲で残念だったことと感心したことがひとつずつ。

前者は、特定の個所だけ歌詞がよく聴こえなかったこと。サビで繰り返し出てくる「You raise me up so I can stand on mountain You raise me up to walk on stormy sea」という歌詞なのだけど、数カ所あるto walk on stormy seaの部分だけが毎回ぼんやり…?歌詞が飛んだのか間違えて覚えていたのか私の聞き間違いかわからないけど、「~sea」のとこも「~mountain」と歌ってたような。

人間なんだからそのくらい寛容に、と思いたいのだけど。ずっと大好きな曲で、しかも海宝さんがその曲を次いつどこで歌ってくれるかもわからないレアな曲なので、惜しくてしょうがない~という気持ちだった。(こんだけ書いといて聞き違いだったら心底申し訳ないけれど、私にはそうきこえた。)

他方、感心したのは、上記を微塵も感じさせないほど、音程にぶれが現れなかったこと。歌詞、なんて言ってる?とずっと注意深く聴いていたけど、音程はあまりにもぴたりとはめていてすごすぎると思った。プロってすごい。アドリブ力も驚異的。

・愛の賛歌
ぽつりぽつりと歌い始めて、湧き出る愛がこぼれ落ちるままに歌うような愛の賛歌。今日も素晴らしかった。息を多めに入れて、儚い感じ。これ歌う女性はわりと渋く歌おうとする曲な気がするけど、そういうアプローチより個人的にとてもしっくり。

・On My Own
・I’m here
愛の賛歌が熟女だったとは思わないけれど、続けて歌われるとそれよりもうら若い女性の歌として聴こえた。実際エポニーヌはあまりにも早く亡くなるからその表現で合ってるんだけど、男性でこの感じを出すことってできるんだぁと。I'm hereは、今日は歌詞がよく聴こえてまずその内容にうるっ、曲が進むにつれてなんかよくわらかないけどうるっ。書き表し難い。

・Aladdin Medley
・Santa Fe
ここから2部。アラジン、声優できそうなくらい余裕だしぴったり。ただここに限らず、今日はかなり母音の発音強めでときどきムム?となった。もともとsとかkとかはっきりしていると思うけど今日は特に。

Santa Fe、ラストは切ない心の叫びに聴こえるなと思ったら、やはり心が折れるようなシーンなのだとか。毎回Feの伸ばしの声をわざと割ってくるのがすごい。きれいに出し切らないことでその心情を表現しているのかなぁ。

・So Close
・Out There
・Someday
セトリが英語表記だけど全部日本語歌唱だったような。So Closeはラスサビ手前「あなたのいない世界なんて」が、熱唱ではなくて失意の独り言のように歌われていて、そのアレンジもとってもはまるんだなぁと。グッときた。

ノートルダムについては「とても大切でこれからも大事にしたい作品」と言っていたので本当にその通りに思っているんだろうと思うと同時に、カジモドは当分やりそうにないなという感じが、どうも話し方からも歌からも感じられる気がした。観たいけどしょうがない。

・Sheridan Square
歌うでもなく話すでもなく呟き置くような「tonight」が好きだなと。squareの歌い方、音の置き方が、英語できる人だなぁと思わせる。qの音が聴いてわかる。自分で再現しろといわれたらたぶんできないけど。笑

・Cry For Me
・December 1963
この日もジャージーの盛り上がりはばっちり。私は観たことがないせいか、Cry For Meを他の人の1/5くらいしか楽しめていないのかも。。What a nightの最高音、今日は正解がよくわかりました。音がわかってすっきりした。

・Gethsemane
・Bring Him Home
アンコールでも手をゆるめなさすぎるセトリ。最後の最後、声出なくなるんじゃないかと勝手に心配してしまった。海宝さんのことなので「音が当たらなくなるのでは」という意味ではなくて、「(セトリに高音低音技巧全てを盛り込んでしかも曲数もなかなかゆえに)声が出なくなるのでは」という意味で。実際は歌いきって締めくくれていた。もちろん。


歌い上げたりトリッキーだったり、そういうのもとっても素晴らしくて、それは異論なく。ただ、難解技曲みたいなのではない曲、たとえば前歌っていたMy Wayや翼をくださいのような曲を、歌唱力がある人だからこそ出せる声で歌ってもらえたら。そういう贅沢なことを思ってしまう(タイトルはここです)。

あと前から気づいてたけど、ほんとこの方は腕を広げて朗々と歌うことがない。Til I Hear You singもSanta FeもOut Thereも、最後は高めの音域にロングトーンだからふつう腕を広げて体いっぱいに気持ちよく歌う人もいると思うけど、それをしない。(その歌い方も曲と合ってれば見ていて気持ちいいので批判したいのではないです。)

そうすると声が出しにくい(たぶん右側方向に首~顔を向けるのがコントロールしたいときの特徴という印象)のかもしれないけど、おそらくそうではなくて、「自分がその役の人物だったら腕を広げて歌い上げないと考えてるから」なのかなぁと思ってる。本当に、「自分」じゃなくて「その歌」を表現することだけを考えてる人なのかなぁと。


余談だけれど、めちゃくちゃ暇でもうやることがない!ということでもなければ、ライブもコンサートもミュージカルも、やっぱり都内近郊でおさめようと思った。単純に疲れるし、国内旅行を兼ねようと思うには時間が足りない。

無論、海外なら観光もライブもコンサートもミュージカルも貪欲にやれてしまうので別腹。アドレナリンか?