Impressive Sounds

素敵な歌声や音楽を求めて。

壮大なスケール感を生み出す歌声:新妻聖子

1/14のTENTH@シアタークリエ(ソワレ)を観た。二部に出演されていた新妻さんの歌声があまりに素晴らしかったので、自分の備忘のために少しでも書き残そうと思いこのポストです。

ちなみに新妻さんの威力がすごかったけど、伊礼彼方さんもやはり好きな声だった。Field of Angelsは花咲く草原が見えるような清涼感が会場を包んでたと思う。もっとがっつり聴きたいので、伊礼さんもライブとかやってくんないかなぁ。

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ちなみに一部のニュー・ブレインは、なぜか私にはあまり合わない作品で。歌がうまいことをとにかく一番に求める私が、歌うまい人ばかり出てる作品がハマらないなんてことあるんだ…と自分でも少し驚いたほど。とりあえずウエイトレス/看護師役の中村桃花さんが歌声・身のこなし・スタイルともに平均点が高くて目を奪われたこと、ロジャー役の畠中洋さんの声がハンパなくソフトダンディーですんごい好きだなって思ったことは覚えてる。

さて、新妻さんはTVでちらちらとお見かけしていて。TVでは、うまいんだけど、「どう!?私うまいでしょう!?」というようにも見えていた。去年夏にテレ朝のミニライブみたいなやつでAlways Loving Youの後半だけ聴けたことがあって、途中から聴いたせいか、その時も似たような印象があった。

でもTENTH、全然違って聴こえた。彼女の持ち歌はひとつも知らなくて、でも彼女の手短な曲紹介を聞いて歌声を耳にすると、何かに押されるように涙が目の奥から出てきた。歌ったのは5曲。どうしようもなく涙が出たのはGOLDとFly fly away。

GOLD〜カミーユロダン〜 から
・腕の中の女
・愛の学習
・GOLD

トゥモローモーニング から
・Suddenly

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン から
・Fly fly away

新妻さん、作品のことも深く語ることができて才女って感じがあった。早口で話すので中川翔子さん的な感じもあるけど、それよりも大人な感じというか。

GOLDは、彫刻家ロダンと才能ある美しい弟子・カミーユとの物語だそう。カミーユは彫刻家として優れていたのに女性であるゆえ評価されず、本妻がいたロダンからも最終的に選んでもらえず、精神を病み人生を終えたと。そんな生涯でも確かに宝物(GOLD)に出会えたのだと説明してくれて、なんだかこれを聞いただけで泣けそうなところに、彼女の歌。

歌い出しと歌い終わりはとても静かにソフトに歌うからちょっと聴こえないといえば聴こえないんだけど、そこから力強く揺るぎなくカミーユの想いを歌い上げる抑揚みたいなものがすごかった。空間が広がるような声の飛び方で、壮大なパイプオルガンを背にした教会にいるんじゃないかくらいの、神々しい歌声だった。

彫刻のこともロダンのことも、自分の人生はハッピーエンドではなかったけど、確かに大事なものを手にした瞬間があったということが、すごく伝わってきた。私はあまり歌詞を言葉として聴いていないことも多いんだけど、ここが言葉として明確に響いてきたのを覚えてる。さっき神々しい歌声と書いたけど、ある意味地声っぽくなるところや区切れの語尾の声なんかに、一人称の女性の強さと弱さと必死さもあって。

(しばらく、この感情の津波に浸って号泣したいくらいだった…。時間配分があるのはわかってるけど、この曲の後はもっと余韻をくれても良かったんじゃないの…。)

あともうひとつ、ラストナンバーのFly fly away。これはキャッチミー~の主人公である天才詐欺師・アバグネイルJr.が、新妻さんが演じていた恋人・ブレンダのもとを去ったときの歌とのこと。あなたが自由でありますように、さよならだけどまた会えるよね、戻ってきてくれるよね、といった歌詞だったかな。

これも泣いてしまったんだけど、これはブレンダらしい(といってもキャッチミー~観てないので想像だけど)歌声に感動したんじゃなくて、聖母の慈悲みたいなものを感じたから涙が出たような感じ。いち恋人が彼のことを思い歌う歌というより、人類の母が子の一人を見守り、ゆるし、送り出すくらいのスケール。我が子よ、飛び立っていくのよ…という。

そんなわけで、本編で聴くには新妻さんの歌唱力だと壮大すぎる印象だった。でも今回はコンサートのラストナンバーだったし、一部で泣けてないのもあって新妻さんに2曲も感涙させてもらってなんだかデトックスしたような気分だった。

YouTubeでミスサイゴンとかレミゼとか見てもやっぱり壮大に泣かせにくる感じがするので、もしかしたらこれが新妻節なのかも。でもたかが数回歌唱動画見ただけで決めつけるのも良くないよね。

また聴いてみたい歌声がひとつ増えて、ほくほくした年始でした。