ひたすらにCandy Store中毒:Heathers the Musical
Heathersというミュージカルをつい最近知った。その中でもとにかくCandy Storesがめちゃめちゃかっこいいので今回はひたすらそのことだけを書きます。
WEST END LIVE 2018の動画を一通り見ていてこの作品の存在を知った(この下のYouTube1曲目)。初見はそんなに…だったのに、今では出勤・退勤の個人的テーマソングに躍り出てる。ダークなロックとちょっとアイドルっぽい振付にすっかりぞっこん。
West End LIVE 2018: Heathers the Musical
いちおうHearhersについてあっさりざっくり調べたところ、学園もの映画の舞台化らしい。ヘザーという名前の3人の女の子が牛耳る学校で、主人公ヴェロニカの立ち回りとか転校生のジェイソンディーン=JDの驚きの行動とかで話が進んでいく。ちらほらっとWikiとYouTubeで拾い読みならぬ拾い見してみた感じ、いじめとか自殺とか暴力とかヘビーなことがおもしろかっこいい(?)楽曲とともに進行していく、見た目はカラフルで内容はダークで音楽はロックな作品。
とにかく今回はHeathersの作中の1曲であるCandy Storeについてだけ書くのだけど、まず出だしのChandlerの韻を踏んだちょっと下品な台詞からのドラムブレイクがかっちょいい。"I'm felling NICE. Here's some ADVICE. Listen up, BIOTCH! (直後にドラムブレイク)"←大文字にしたところが韻。
そんで出だしのベースとバリトンサックス(っぽいものに聴こえる)の低音組がかっちょいい。曲中も基本的に低音組のぐいぐい下からつきあげてくる感じがたまらない。音がわかりやすいのはこの動画。
Candy Store Heathers The Musical +LYRICS
楽曲的にかっちょいいのに加えて、ヘザーたちのダンスがガチダンスすぎず適度にセクシーアイドル的な感じなのもまた素晴らしい。これについては最初にあげた最新のWEST END組もいいけど、オリジナル組が最強に可愛いしダンスも上手だし振り付けも可愛いと思う。
下のリハ動画をぜひ見てほしい。赤のChandlerをJessica Keenan Wynngがほどよくセクシーにビッチにつくっていてとても良いし、黄色のMcNamaraをElle McLemoreが演じててめちゃめちゃ能天気系キュートだし、緑のDukeのAlice Leeも気の強い勘違いクズな感じが良く出てる。
Heathers The Musical (Off-Broadway) rehearsal clips
※Candy Storeは01:48~。
オリジナルのオフブロードウェイ組のこの色気はなんなんだ…!2回目のサビのWelcome to my candy store~の右手真上に伸ばして左手を垂直にそえるところの振り付けがすごく好き。あとは全体的に足腰のリズムの取り方がセクシーで素敵。"mythtic bitch"として描かれているだけあって、オリジナルオフブロードウェイのChandlerのJessica Keenan Wynn、そしてWESTENDのChandelerのJodie Steele、この二人のChandlerがすごく魅力的。
ちなみにJessicaはブロードウェイBeautifulでシンシアやってるかと思ったら、間もなく公開のマンマミーア2で若い頃のターニャで出てるらしく、インスタ見てると楽しそうでこちらも気分がいい。Jodieはなんと!2016~2017年頃のWicked UKツアーでエルフィーだったみたい!ダンスセクシーだけどちょっとお顔・髪型がChandlerにしては強いなぁと思っていたのだけど、エルフィーグリーンはかなり似合ってただろうなぁ。見てみたかった。
Heathersには他にもBeautifulとかDead Girl WalkingとかBig FunとかLifeboatとかかいつまんで聴いて「良さげ」って思っている曲がたくさんあって、もっとちゃんと知りたいっていう欲がすごくむくむくしているところ。時間見つけて原作映画見て、YouTubeにあがってる高校生プロダクションとかの映像もちゃんとフルで見たら、どうにか翻訳・訳詞いけんじゃないかと。スクリプトも読みたいけど売ってるのかなぁ。翻訳・訳詞したらどこかの小さなプロダクションでいいから上演してくれない?笑
際限なく広がる可能性をひしひしと:海宝直人Birthday Live 2018 Home My Home in ICHIKAWA
書きながら思ったんだけど、タイトル長いなぁ。笑
東京公演は平日で行けないので、千葉の市川まで行ってきた。海宝さんの地元だそう。行き慣れないせいかけっこう遠いなぁと思った。あと会場がわりと住宅地にあって、そんな規模感のところでウエストエンド帰りの人がコンサートやるなんて不思議な感じ。
そんな海宝さん、ちょっとお疲れがにじみ出ていたような。私の中で音を外さないことに絶対の信頼があるんだけど、第1部の前半までは全体的にピッチが低くて、細かい上がり下がりでも音がピタッと当たらないことが何回か。MCでも度々噛んでいたり、歌詞が危うかったり間違えたり。ソロコンサート初めてだったからこれが通常運転なのかもだけど。
私が見てきた数回の海宝さんがパーフェクト過ぎたので、今回はそう見えなかった、という感じ。疲れなのか、ご本人仰るように時差ボケなのか、あるいはずっとひと月英語圏にいたから英語と日本語がミックスしちゃうのか。集中したくてもしきれてないんじゃないかな、と勝手に心配してた。
そういうことに気をとられていたせいか、涙が出るほど何か感じ入るような曲はなかったけど、インタビューに載ってたここしばらくの怒濤のスケジュールを見たら、なんだかどうでもいいような気がした。「歌がうまい」という根本的な部分に変わりはなかったから。どの曲も余裕を感じるほどの歌唱力だった!
ここからセトリ。英語歌唱曲は英語タイトル、日本語歌唱曲は日本語タイトルに。
【1部】
・ディズニーメドレー
When You Wish Upon A Star、美女と野獣、サークルオブライフ。もしかしたらもうひとつくらい何か歌ったかも。When Youは緊張してたのかちょっと音の輪郭がぼんやりしていたけど、美女と野獣の低音は落ち着きがあって大人っぽく。
・愛せぬならば
・自慢の息子
どちらもミュージカル系では定番の曲だと思うけど、個人的にそんなに馴染みがなく。でも愛せぬならばって、美女と野獣のテーマ(GFG♭AF♭BG~♪)が入ってるんだ!って気づいてちょっと感動した。あの旋律は威厳があって好き。そしてラストに向けて溢れ出すビーストの気持ちがこちらにもこぼれてくるような、そんな素敵な愛せぬならばだった。自慢の息子は、英語ver.が好きかな。
・カラーオブザウィンド
・Go The Distance
ポカホンタス、ムーランあたりが好きだと音楽センスいいなって思うという個人の感想。女性の曲のほうがやわらかく丁寧に歌われる感じがして素敵だなぁと。Go The Distanceは王道のディズニーヒーローソングって感じで、海宝さんの明るいヒーローボイスによく合ってた。最後の方はちょっとだけ音が上がりきらなかったかな?
・そばにいて
・Santa Fe
そばにいては、フレンズオブディズニーでも聴いたことがあった。あの時も素晴らしかったけど、今回は冒頭の心ここにあらずな声がさらに情感を増していて、そしてラストにたたみかけてくる裏声高音のコントロールもばっちりで、なおよかったなぁと。ただ間奏のバックバンドは危なげだったかな?そういう構成だったのかもだけど素人的にはちょっとハラハラ。Santa FeはNEWSIESの曲だそうで、細かく覚えてないけど、耳触りの良い歌詞だった気がする。
・陽ざしの中へ
・ How Does A Moment Last Forever
陽ざしの中へは拍手が一際大きく、一際長かった。これはどうしても思い出補正が強いので、個人的にはもう劇中と同じくらいの切実感でないと驚かなくなってきてしまった(感覚麻痺してる)。How Does~は大好きな曲!そして先日のセリーヌ来日では披露されなかった曲だから、思わぬコラボでめっちゃ嬉しかった。もうちょい感情的になるか、もしくはやさしくなるか、どっちかに寄ってくれたらもっと個性が出て素敵になりそうだなぁと。また聴けたら嬉しいな。
【2部】
・Heaven on Their Minds
・オンマイオウン
ジーザスの曲は知らなくて、急にエレキがテケテケ鳴らしたと思ったらキラッキラの海宝さんがロックに歌い初めて、ぶったまげるしかなかった。キラキラ衣装は板東玉三郎さんのコンサートのときのものらしい。オンマイオウンは、どこか歌詞が危なかったような。やっぱり頭の中で英語と日本語がミックスしてたのかも。
・ミュージックオブザナイト
・恋はすべてを変える
オペラ座ってストーリーが好きじゃないんだけど、曲はきれいだなぁと毎回思う。若いファントムでありながら、ちょっと大人な魅力も感じる素敵なミュージックオブザナイトだった。恋は~は、ミュージカルミーツシンフォニーで聴いたかな?ラストの高音が高音に聴こえないくらい、高さも長さも余裕の歌唱だったなぁ。
・Electricity
・Till I hear your sing
・Sister Act
ビリーエリオットは観たことないけど、electricityはYouTubeで見たことある。日本語歌詞ではまんま「でんき!」ってなってて驚いたけど、やはり英語ver.が耳触りよい。Till I~、Sister Actはスケール感のある選曲だなぁと。
【アンコール】
・Run away with me
長すぎて覚えられない作品のナンバーだと紹介。細かい意味までは拾えなかったけど、「ここまでついてきてくれて(応援してくれて)ありがとう」の気持ちがつたわる、等身大のお礼に聴こえた。嫌みなほどの謙遜や感謝ではなく、素直に自分がやりたいと思えることに取り組めていることやそれを応援してくれる人がいることのありがたさ、そういったものをナチュラルに心に持ち続けている人なのかなぁと思った。
冒頭いろいろ書いたけど、努力も才能も人柄も、そして時には運も、絶妙に備えてるように見える。ほんとにすごいことだし、こんなに歌のうまい人の存在を知ることができて、しかも何度か生で聴ける機会を得られて、ラッキーだなぁと思う。もっとも、「うまい」の対象は演技とか身のこなしとかもっとたくさんあるんだけど、私にとって最重要ファクタは歌なので、一旦「歌のうまい」という言葉を置いとくだけだけど。
ちなみに今回海宝さん観に行ったわけだけど、MVPはピアノの森さんだなー!編曲もよければ即興もOK、なによりあのピアノの音は至福だった。上品だけど芯のある音で、ずっと聴いていたかった。今度は森さんのピアノをがっつり聴く機会がほしいなぁ。
ハイパー美声ドラァグクイーン発見:Ada Vox
いつまでたっても、WickedのDefying Gravityが一番好き。特にスタンバイやアンダースタディだけどDefying Gravityがめっちゃ好み!というのを発掘するのが楽しくて、いまだに各国津々浦々の動画をあさっている。そんなときに見つけたのがこの方、Ada Vox!ものすごい美声なのでとにかく四の五の言わずにこれ見てほしい。
Ada Vox & Lea Michele Sing "Defying Gravity" from Wicked - Top 24 Duets - American Idol 2018 on ABC
私は他のドラァグクイーンを知らないんだけど、みんなこんなにうまいんだろうか?パッと思い浮かぶのは女王蜂のアヴちゃんくらいだけど、あの方はドラァグクイーンなんだろうか??
それはおいといてさっきの動画、リアミシェルだってめっちゃうまいのに、リアが「ふつうにうまい」、Adaが「べらぼうにうまい」に聴こえる不思議。彼女は高音の歌い上げをやすやすと、しかも音程アレンジコントロールもばっちりかつうざくないアレンジ(個人的にアレンジされすぎはうざいからこのポイントは何気に大事)で歌ってのけているのがすごい。
加えて感心したのは、ハモリに徹したときの声の安定感とやさしさ。ただ抑えるのではなくてまさに隣で肩を抱いてくれるような、力強くゆすぶったりはしないけど確かにそばにいてくれるような、半端なく母性を感じる声。
調べたら本名はAdam Sandersというのね。アメリカのオーディション番組「American Idol」のシーズン16(2018/03~)で出てきた方のよう。しかも驚くのは、彼女はそのオーディション番組で1位を獲得したことがない!なんならシーズン16で注目浴びるまでに13回も予選落ちしてた。どうなっているんだアメリカ。
Adaの他のオーディション映像はここで見れる。パフォーマンスの高さにぶったまげ。これだからYouTubeのサジェスト動画はエンドレスに見続けられてしまうね。自分にとって宝の山のような音源や映像が見つかるかもしれないんだもん。
DRAG QUEEN ADA VOX All Auditions & Performances On American Idol 2018
ちなみに冒頭のWickedのDefying Gravityの話にぐいっと戻ると…。
特にロンドンにおいて、本役よりスタンバイやアンダースタディが好みというケースが個人的には多発。声量があり音程も問題なく、クセや自分節みたいなものを入れすぎない人が多い印象。一方やはり(?)アメリカは自己主張を感じる人が多いような気はする。
今回はフロローの物語感が強かった:ノートルダムの鐘 5/26ソワレ
ちょうど1年ぶりくらい?ひっさびさのノートルダムの鐘。海宝さんカジモドやるかな~と思ってチケットとってみてたんだけど、ウエストエンドデビューされてもはや横浜はおろか日本にいらっしゃらないという。
でも私の世界で一番好きな場所(暫定)であるロンドンで歌われているというのは、それはそれで素敵なことだなぁと。そしてなんだかんだ言って新しいカジモドである金本さん、デビューから2回目の川口さんフロロー、横浜でデビューの光田さんフィーバスと、なかなかアタリな回だったんではないかな。
KAATは初めて行ったんだけれど、会場までけっこうのぼるのね…というのが印象的。席は10列め前半で肉眼でそれなりに表情もわかる距離で観やすかった。席位置の問題か音響調整の問題かそれともクワイヤ自身の問題か、最初のオーリムの男声が、生声とスピーカーからの声がかなりバラバラに聴こえて気持ち悪かった。だれか1/2小節くらい食いぎみで歌ってたのかもしれない。
浜松町の頃4回観ているのでこれで5回目、残念ながら今回は特筆して声に特徴や魅力を感じたキャストさんはいないんだけど、メインキャストで初見の方々の感想を。
フロロー役、川口さん。去年レミゼのジャベールで観てたけど、あまりしっくりこず印象にも残ってなかった方(すいません)。しかしタイトルどおり、今回私には彼が主役に見えた。
歌は若干ピッチ低めなのが気になりつつ、今まで見たフロローたちよりも息がちゃんと続いて、伸ばすとこ伸ばしてたからそれは良かった。お芝居的には一番普通な人物を演じてる感じで、納得感があった。
特に冒頭の自分の生い立ちやカジモドを手に抱いたその後までのお芝居が素晴らしくてすごく引き込まれた。あまりにも普通な青年が聖職者となり、弟を守れず罪滅ぼしのように甥を育てるまでのシームレスな見せ方。たぶん開始5分で泣いてた。笑
ヘルファイアからはちょっとずつ狂っていく様がわかりやすく(だから逆に言えばヘルファイア時は最狂ではないので歌うまいけどいまいちパンチが弱かった気もする)、牢屋のあたりなんかはかなり気持ち悪くなっていて宮田エスメラルダの怯えもかなり切実だった。彼女の死後に平穏な生活の訪れを口にしホッと微笑むところも、もう何かのネジが外れてなくなっちゃってた感じ。クレイジー。
ちなみに川口さん、歌もうまいがそもそも全体的にエエ声で話すし、目も大きいし、なんだか若くてかっこいいフロローだった。フロローってさえないおじさんイメージだったので予想を覆された。
カジモド役、金本さん。歌に不安なところがなくて聴きやすくて、カジモドへの変身と演者の青年とのギャップもしっかりあって、総じてよかったなぁ。
SNSで「海宝さん飯田さん田中さんのどれも参考にしつつ新しいカジモドになってる」と見かけたけど、個人的にはある意味王道でプレーンなカジモドだったかな?ディズニー映画版に近い、わりと愛情も憎悪も色濃くなくてノーマルで素直な、ただしバットエンドで終わるタイプのカジモド。
まあ確かに声は海宝さん田中さん寄りの高めの声だったし、表情は(もちろんちゃんと歪んではいるんだけど)可愛らしい感じだったから、ビジュアルの印象は田中さんや飯田さんっぽかったなかな。海宝さんはベースとして悲しそうに見えてた印象がある。
歌は音程もちゃんとあてているし高いところもスコーンと出てたんだけど、少し特徴的?と思ったのは、重唱だと最初声が埋もれてるところ。でも後からぐぐっと抜けて聴こえてくる。若干スロースターターってことかしら?
あと高音しっかりあてていて聴いていて不安はなかったんだけど、やっぱりそういう難しい音のときは「演じる声」よりも「その音を出すための声」に聴こえたかも。これはやっぱり海宝さんが一番素晴らしいと思う、贔屓目かもしれないけど。ちなみに「サンクチュアリー!聖域だー!」は金本さんがダントツ一番かっこよかったしグッときた。
フィーバス、光田さん。すみません、好みの問題だと思うけど、今回の他メイン(金本カジモド川口フロロー宮田エスメラルダ阿部クロパン)と違って一人だけ「ん?」って感じだった。日本の方じゃないのかな?と思うくらい、彼が話すとそこかしこの意味がちゃんと届けられてない気がした。
そういう話し方のせいか、陽すぎるフィーバスというか、最後まで深刻さの薄い飄々としすぎたフィーバスというか。ある意味自己中でおいしいところだけいただく映画版フィーバスっぽい。でも歌は今まで見た清水フィーバス佐久間フィーバスよりうまかったかも。個人的には、繊細そうですごく人の痛みをわかってくれそうな佐久間フィーバスが大好きだわ。
何回も観てると好みが出てきてしまってよいこともありよくないこともあるなぁとそろそろ思い始める。でも「もうお腹いっぱい」ってならないのは、ノートルダムの素晴らしい音楽が聴きたくなっちゃうのと、最初と最後の素晴らしい演出(演者とカジモドの行き来・アンサンブルたちとのコントラスト)が見たくなっちゃうから。そこに尽きるような気がした公演だったかな。
【ノートルダムの鐘 5/26ソワレ】
カジモド 金本泰潤
フロロー 川口竜也
エスメラルダ 宮田 愛
フィーバス 光田健一
クロパン 阿部よしつぐ
【男性アンサンブル】
塚田拓也
安部三博
大空卓鵬
賀山祐介
高桝裕一
平良交一
佐藤圭一
大木智貴
【女性アンサンブル】
小川晃世
杉山由衣
時枝里好
小島由夏