ハイパー美声ドラァグクイーン発見:Ada Vox
いつまでたっても、WickedのDefying Gravityが一番好き。特にスタンバイやアンダースタディだけどDefying Gravityがめっちゃ好み!というのを発掘するのが楽しくて、いまだに各国津々浦々の動画をあさっている。そんなときに見つけたのがこの方、Ada Vox!ものすごい美声なのでとにかく四の五の言わずにこれ見てほしい。
Ada Vox & Lea Michele Sing "Defying Gravity" from Wicked - Top 24 Duets - American Idol 2018 on ABC
私は他のドラァグクイーンを知らないんだけど、みんなこんなにうまいんだろうか?パッと思い浮かぶのは女王蜂のアヴちゃんくらいだけど、あの方はドラァグクイーンなんだろうか??
それはおいといてさっきの動画、リアミシェルだってめっちゃうまいのに、リアが「ふつうにうまい」、Adaが「べらぼうにうまい」に聴こえる不思議。彼女は高音の歌い上げをやすやすと、しかも音程アレンジコントロールもばっちりかつうざくないアレンジ(個人的にアレンジされすぎはうざいからこのポイントは何気に大事)で歌ってのけているのがすごい。
加えて感心したのは、ハモリに徹したときの声の安定感とやさしさ。ただ抑えるのではなくてまさに隣で肩を抱いてくれるような、力強くゆすぶったりはしないけど確かにそばにいてくれるような、半端なく母性を感じる声。
調べたら本名はAdam Sandersというのね。アメリカのオーディション番組「American Idol」のシーズン16(2018/03~)で出てきた方のよう。しかも驚くのは、彼女はそのオーディション番組で1位を獲得したことがない!なんならシーズン16で注目浴びるまでに13回も予選落ちしてた。どうなっているんだアメリカ。
Adaの他のオーディション映像はここで見れる。パフォーマンスの高さにぶったまげ。これだからYouTubeのサジェスト動画はエンドレスに見続けられてしまうね。自分にとって宝の山のような音源や映像が見つかるかもしれないんだもん。
DRAG QUEEN ADA VOX All Auditions & Performances On American Idol 2018
ちなみに冒頭のWickedのDefying Gravityの話にぐいっと戻ると…。
特にロンドンにおいて、本役よりスタンバイやアンダースタディが好みというケースが個人的には多発。声量があり音程も問題なく、クセや自分節みたいなものを入れすぎない人が多い印象。一方やはり(?)アメリカは自己主張を感じる人が多いような気はする。
今回はフロローの物語感が強かった:ノートルダムの鐘 5/26ソワレ
ちょうど1年ぶりくらい?ひっさびさのノートルダムの鐘。海宝さんカジモドやるかな~と思ってチケットとってみてたんだけど、ウエストエンドデビューされてもはや横浜はおろか日本にいらっしゃらないという。
でも私の世界で一番好きな場所(暫定)であるロンドンで歌われているというのは、それはそれで素敵なことだなぁと。そしてなんだかんだ言って新しいカジモドである金本さん、デビューから2回目の川口さんフロロー、横浜でデビューの光田さんフィーバスと、なかなかアタリな回だったんではないかな。
KAATは初めて行ったんだけれど、会場までけっこうのぼるのね…というのが印象的。席は10列め前半で肉眼でそれなりに表情もわかる距離で観やすかった。席位置の問題か音響調整の問題かそれともクワイヤ自身の問題か、最初のオーリムの男声が、生声とスピーカーからの声がかなりバラバラに聴こえて気持ち悪かった。だれか1/2小節くらい食いぎみで歌ってたのかもしれない。
浜松町の頃4回観ているのでこれで5回目、残念ながら今回は特筆して声に特徴や魅力を感じたキャストさんはいないんだけど、メインキャストで初見の方々の感想を。
フロロー役、川口さん。去年レミゼのジャベールで観てたけど、あまりしっくりこず印象にも残ってなかった方(すいません)。しかしタイトルどおり、今回私には彼が主役に見えた。
歌は若干ピッチ低めなのが気になりつつ、今まで見たフロローたちよりも息がちゃんと続いて、伸ばすとこ伸ばしてたからそれは良かった。お芝居的には一番普通な人物を演じてる感じで、納得感があった。
特に冒頭の自分の生い立ちやカジモドを手に抱いたその後までのお芝居が素晴らしくてすごく引き込まれた。あまりにも普通な青年が聖職者となり、弟を守れず罪滅ぼしのように甥を育てるまでのシームレスな見せ方。たぶん開始5分で泣いてた。笑
ヘルファイアからはちょっとずつ狂っていく様がわかりやすく(だから逆に言えばヘルファイア時は最狂ではないので歌うまいけどいまいちパンチが弱かった気もする)、牢屋のあたりなんかはかなり気持ち悪くなっていて宮田エスメラルダの怯えもかなり切実だった。彼女の死後に平穏な生活の訪れを口にしホッと微笑むところも、もう何かのネジが外れてなくなっちゃってた感じ。クレイジー。
ちなみに川口さん、歌もうまいがそもそも全体的にエエ声で話すし、目も大きいし、なんだか若くてかっこいいフロローだった。フロローってさえないおじさんイメージだったので予想を覆された。
カジモド役、金本さん。歌に不安なところがなくて聴きやすくて、カジモドへの変身と演者の青年とのギャップもしっかりあって、総じてよかったなぁ。
SNSで「海宝さん飯田さん田中さんのどれも参考にしつつ新しいカジモドになってる」と見かけたけど、個人的にはある意味王道でプレーンなカジモドだったかな?ディズニー映画版に近い、わりと愛情も憎悪も色濃くなくてノーマルで素直な、ただしバットエンドで終わるタイプのカジモド。
まあ確かに声は海宝さん田中さん寄りの高めの声だったし、表情は(もちろんちゃんと歪んではいるんだけど)可愛らしい感じだったから、ビジュアルの印象は田中さんや飯田さんっぽかったなかな。海宝さんはベースとして悲しそうに見えてた印象がある。
歌は音程もちゃんとあてているし高いところもスコーンと出てたんだけど、少し特徴的?と思ったのは、重唱だと最初声が埋もれてるところ。でも後からぐぐっと抜けて聴こえてくる。若干スロースターターってことかしら?
あと高音しっかりあてていて聴いていて不安はなかったんだけど、やっぱりそういう難しい音のときは「演じる声」よりも「その音を出すための声」に聴こえたかも。これはやっぱり海宝さんが一番素晴らしいと思う、贔屓目かもしれないけど。ちなみに「サンクチュアリー!聖域だー!」は金本さんがダントツ一番かっこよかったしグッときた。
フィーバス、光田さん。すみません、好みの問題だと思うけど、今回の他メイン(金本カジモド川口フロロー宮田エスメラルダ阿部クロパン)と違って一人だけ「ん?」って感じだった。日本の方じゃないのかな?と思うくらい、彼が話すとそこかしこの意味がちゃんと届けられてない気がした。
そういう話し方のせいか、陽すぎるフィーバスというか、最後まで深刻さの薄い飄々としすぎたフィーバスというか。ある意味自己中でおいしいところだけいただく映画版フィーバスっぽい。でも歌は今まで見た清水フィーバス佐久間フィーバスよりうまかったかも。個人的には、繊細そうですごく人の痛みをわかってくれそうな佐久間フィーバスが大好きだわ。
何回も観てると好みが出てきてしまってよいこともありよくないこともあるなぁとそろそろ思い始める。でも「もうお腹いっぱい」ってならないのは、ノートルダムの素晴らしい音楽が聴きたくなっちゃうのと、最初と最後の素晴らしい演出(演者とカジモドの行き来・アンサンブルたちとのコントラスト)が見たくなっちゃうから。そこに尽きるような気がした公演だったかな。
【ノートルダムの鐘 5/26ソワレ】
カジモド 金本泰潤
フロロー 川口竜也
エスメラルダ 宮田 愛
フィーバス 光田健一
クロパン 阿部よしつぐ
【男性アンサンブル】
塚田拓也
安部三博
大空卓鵬
賀山祐介
高桝裕一
平良交一
佐藤圭一
大木智貴
【女性アンサンブル】
小川晃世
杉山由衣
時枝里好
小島由夏
ドライ≒冷淡・冷たい、とは限らない:メリーポピンズ 4/29ソワレ
メリーポピンズ、2回観ちゃった。へへへ。3/24夜のプレビュー公演と4/29夜の本公演。そして東京公演明日(日付的には今日)終わるというのに、今更書いちゃう。個人の雑感、あとキャストさんの感想。
私はWickedのDefying Gravity、The Hunchback of Notre DameのOut There、The Little MermaidのPart of Your World、PIPPINのMorning Glowなど、がっつり歌唱力が必要で歌い上げるような曲が基本的には好き。なので何回か観たくなるような作品は大体音楽が気に入ったものになることが多い。で、メリーポピンズは大熱唱ナンバーはないと思ってるので、それでもリピートしちゃったのってなんでだろと思ったけど。
たぶん、熱すぎずドライすぎない芯(ストーリー的にそれはメリーポピンズのマインドとかポリシーとかスタンスとして見えるもの)がストーリーを貫いているところが好きだな。メリーポピンズは人に自分の考えを押しつけないように見えるし、実際劇中でも「私が人に考えを吹き込むなんて!」みたいなこと言ってた気がする。そういう押しつけがましさは全くなくて、けれど「私はこう思うの」「私はこう感じるの」「私が決めるの」というしなやかで筋の通った物言い・立ち居振る舞いは徹底されていた。そういう、私が素直に信じていたい「自分で決めたことをやる」「互いにリスペクトをもつ」みたいなところがメリーポピンズの芯にあったから、それがすごくちょうどよく感じてリピートしたように思う。
そのちょうどよくて気に入ったメリーは濱田めぐみさん。Wicked日本初演エルファバというのはもちろん知っていたけど私は新参者なのでこの作品でやっとお目にかかれた。安定感がありながらキャラクターとしても説得力のある歌唱力・演技力を体感したので、今後Wキャストの配役だったらこの方を選びたいと思った。そんなわけで今回は2回ともメリーは濱田さんで堪能。(平原さんが嫌とかではなく、なんとなく濱田さんメリーをもう一度みておきたかった。)
バートは大貫勇輔さんと柿澤勇人さん1回ずつみて、個人的にはダントツ大貫さんのバートが好きだった。もともとメリーポピンズにすごく思い入れがあったりするわけではなくてあまり詳しくもないので、2回観た感想としては「歌がうまいよりも演技・ダンスがしっくりくるほうが好きだな」っていう感覚で、その観点でいうと大貫さん。バートにしては上品すぎたかもしれないけど、ディズニー映画のバートも若造ではないし、大貫さんの落ち着いて品のあるバートがしっくりだった。ダンスは言わずもがな、ステップインタイムもスーパーカリ~も彼から目が離せなかったし、今度はもっとたくさんダンスしているところをみてみたい。
ジョージは山路和弘さんと駒田一さん1回ずつ。山路さんは厳格な部分に納得感があるジョージで、駒田さんは家族愛に目覚める様に納得感があるジョージで、それぞれの個性があった。ディズニー作品的な意味でわかりやすかったのは駒田さんかなぁ。ウィニフレッドは2回とも木村花代さんで、劇団四季出身だからか開口っぽい話し方をするのでちょっと気になった。でもジョージを助けると決意するソロの歌い上げ(これもしかしたらこの作品の中で一番歌唱力披露できそうなソロな気がする)、ジョージと一緒に給料交渉するところとかかっこよかった。
バードウーマンとミセスアンドリューは鈴木ほのかさんと島田歌穂さん1回ずつ。練習動画では島田さんのバードウーマンが好きだなぁと思っていたけど、鈴木さんのときのほうが席位置が良かったせいか鈴木さんのバードウーマンのほうが泣いた気がする。歌声は甲乙つけがたいけど、表情に泣いてしまったかな(島田さんのほうでも泣いてはいたけど)。ミセスアンドリューはそれぞれキャラクターを持っていて、鈴木さんは実在しそうなイヤーな家庭教師感、島田さんはディズニーヴィランズっぽいちょっと寓話的な役作りに見えた。
ジェーンは岡菜々子ちゃんと浅沼みうちゃん1回ずつ。菜々子ちゃんもとっても上手だった、そして個人的にとても好きだったのはみうちゃん。まず声がすごくきれいでなめらか、お芝居も小生意気な女の子が少しずついろんなことを学んで家族や周りの人に歩み寄っていく様もわかりやすかった。いやーとにかくあのきれいな声はほんと素晴らしい。マイケルは2回とも坂野佑斗くんで、こちらもやんちゃボーイを好演。物語の中ではなく子役ちゃんたちの実年齢がどれくらい近いのか・離れてるのかわからないけど、ちゃんとジェーンの弟だってわかるような幼さ(でも幼すぎない)でかわいらしかった。
あとこの作品は舞台装置がすごく凝っていて、開演前は緞帳に映し出されたロンドンの屋根上の煙突から煙がゆらゆら、メリーポピンズは突然現れカバンからあらゆるものを出し階段を足を使わずに移動するしフライングもするし、バートは壁や天井を歩いてタップダンスを踊ったり、チェリーツリーレーンのセットは立体絵本のように飛び出てきたり収納していったりするように見えた。やっぱりディズニー作品は装置を立派にするのはおきまりなのかな。
2回観たけどいつも泣くところは決まってて、マイケルとバードウーマンのシーン、ウィニフレッド決意のソロ、ジンジャーブレッドの星を見つけてからのジョージと家族との関係の変化、そしてラストのメリーポピンズ。最後なんか何も歌ってないし喋ってもいないのに、最後までリアリティをもってメリーポピンズのイメージをこちらに提供してくれるから、なんだかそういうところで感極まって涙が出るような感じ。
今回日本人キャストの上演を観たけど、これはやはり大好きなロンドン ウエストエンドで地理的なリアルさも追加して観てみたい。あと英語カンパニーでの来日公演も今後やってくれたらまた観たいなって思う作品でした。
キャスト(Wキャストは観た人に「*」)
メリー・ポピンズ:濱田めぐみ*/平原綾香
バート:大貫勇輔*/柿澤勇人*
ジョージ・バンクス:駒田一*/山路和弘*
ウィニフレッド・バンクス:木村花代*/三森千愛
バードウーマン/ミス・アンドリュー:島田歌穂*/鈴木ほのか*
ブーム提督/頭取:コング桑田*/パパイヤ鈴木*
ミセス・ブリル:浦嶋りんこ*/久保田磨希*
ロバートソン・アイ:小野田龍之介/もう中学生*
ジェーン・バンクス:浅沼みう*/岡 菜々子*/亀山めい/渡邉おとは
マイケル・バンクス:大前優樹/加藤憲史郎/竹内彰良/坂野佑斗*
ノース・ブルック:石川剛
ミセス・コリー:エリアンナ
ケイティ・ナナ:小島亜莉沙
ヴォン・ハスラー:丹宗立峰
ネーレウス:長澤風海
ミス・ラーク:般若愛実
青山郁代,五十嵐耕司,石井亜早実,大塚たかし,岡本華奈,風間無限,工藤彩,工藤広夢,熊澤沙穂,斎藤准一郎,高瀬育海,高田実那,田極翼,照井裕隆,中西彩加,華花,樋口祥久,藤岡義樹,藤咲みどり,三井聡,武藤寛
オペラを観て、舞台装置(演出?)に泣く:東京二期会ローエングリン 2/24
久しぶりのオペラ、難しいところもあったけど、なかなか堪能できた。この公演は、ドイツオペラの名匠の準・メルクル氏指揮、映画監督の深作健太氏演出というのも目玉というか話題というかアピールポイントだったみたい。私はオペラもオケも日本の映画監督も詳しくないので、そのすごさはよくわからないんだけど、でも見ごたえあって満足だったなぁ。
あらすじ公式にあります。
http://www.nikikai.net/lineup/lohengrin2018/index.html
新国立劇場オペラ「ローエングリン」ダイジェスト映像
これは新国立劇場オペラなので、今回観た東京二期会のとは別です。参考までに。
オペラ詳しくないけど留めておきたい公演だなと思ったので、私なりの感想を。
基本高音域がきれいな声が好きなので、まずエルザの林さん。第一声から思わず聴き惚れるような素敵な声!感情を前に前に出すような歌もあったけど、それよりも感情が漏れ出るような、言葉をはっきり発音しないようなシームレスな歌の方が、その角がない声がより美しく聴こえた。あと少し紫寄りの青いドレスがすごくきれいだった。
最初、演出がちょっと難しくて、なんか人が倒れたり(たぶん白鳥に変身させられてしまったエルザの弟・ゴットフリート?)、よくわからないけど本持ってるおじさんだと思ってたらローエングリンになっていきなり高らかに歌い出したりして。でも、エルザの声がすごく良かったから、とりあえずほっとしたのだった。
そしてタイトルロールのローエングリン、福井さん!5階のお安い席かつ裸眼だったので正直どの人もざっくりとした衣装と髪型くらいしか見えなかったので、遠目だと正直「だれこのおじさん?」(失礼)。さっき書いたように突然ローエングリンになるからよくわからないし。だけど、一度歌い出せばばすさまじくイイ声!なんかこの人は格が違う…と素人ながら感じた。ハリがあって、まろやかに豊かに響く声。
キャストはとにかくこの二人が歌ってると私の満足度は高かった。エルザの声にはとにかくうっとり。ローエングリンなんか、別にハッピーな歌歌ってるわけじゃないときでも、「なんかこんな素晴らしい歌を生で耳に流し込んでいるということ自体が幸せ…!」って思ってた。
エルザを陥れようとする悪女オルトートと、夫テルラムントは、エルザ・ローエングリンの存在感に負けて聴こえて。特にオルトートは、演技というかオーラは良くて、特に2幕のラストなんかは素晴らしく不穏な雰囲気を醸し出していたのだけど、歌声は配役の割にはパンチがない感じ。オペラって配役によって音域が決まっているからドスをきかせるわけにもいかないし、私が素人だから「物足りない」と思っただけかも。
すでに書いたように、舞台装置や演出の意図をくみとるのは難しかった。白鳥に変身させられてしまったゴットフリート(か分からないけど、とりあえず少年)がずっと舞台上にいるな、とか、ローエングリンやエルザが急にコスプレしてるみたいに見えるな、とか。でもまあ、それはそれで逆に面白くて良かった。個人的には「オペラってストーリーが面白いとはわけじゃないし、歌や演奏を楽しむもの」って思ってたけど、今回は「今のどういう意味だろう?次はどうなるんだろう?」って興味を持って最後まで観れた。
舞台装置といえば、マラソンとかでよく見るデジタル時計が一幕頭と三幕終わりに舞台上方にあった。それが、頭は23:23:59からカウントダウン、終わりは00:00:00からカウントアップしていた(5階席だから見えたんじゃないと思ってるんだけど…あれはわざと見せてたよね…?)。
ラストはローエングリンが素性を知られてしまったから去っていくという流れで、頭上の大きなコンクリートのような三角の舞台装置が民衆やエルザのいる地面の方に向かってゆっくり降りてきて、00:00:00からカウントアップしているのが見えたわけで。そしたらなんだか、「この演出と舞台にこの装置、なんだかぴったりで素晴らしい…」と、まさかの謎の涙が。装置で泣いたのは初めてかもしれない。笑
あとは、会場。この日は5階の下手ほぼセンターというお安い席で観た。下手が見切れるけど全然見えないということもなかったけど、舞台左右に置かれてた字幕はちょっと見づらかったかな。そして、このホールが良いのか演奏が良いのかわからないけど、弦がかなりきれいに聴こえた気がする。
ピアノやギターの、1音伸ばして鳴らしてるようなまっすぐな音と違って、何本(というか何人)かが弓を動かし続けて音が鳴ってるのがわかる感じ。弦の一本一本に存在感があったような。ただ、演者全員歌うとことかはときどきオケの音量が勝ちすぎてしまい、歌組がほとんど聴こえないときもあった。
いろいろ書いたけど、感想はこんな感じ。あぁ、観れて良かった、書けて良かった。
ところでオペラって、落ち着いた年齢の男性のオーディエンスがすごく多いんだなぁと。いつも行くようなミュージカルはもちろん、バンドのライブだってけっこう女子多くてトイレ待ちが面倒なんだけど、今回は休憩2回ともスイスイで楽だった。
「ローエングリン」オペラ全3幕
日本語字幕付き原語(ドイツ語)上演
台本・作曲:リヒャルト・ワーグナー
会場:東京文化会館 大ホール
指揮:準・メルクル
演出:深作健太
装置:松井るみ
衣裳:前田文子
照明:喜多村 貴
合唱指揮:増田宏昭
演出助手:太田麻衣子
舞台監督:八木清市
公演監督:大野徹也
公演監督補:牧川修一
ハインリヒ・デア・フォーグラー:小鉄和広
ローエングリン:福井 敬
エルザ・フォン・ブラバント:林 正子
フリードリヒ・フォン・テルラムント:大沼 徹
オルトルート:中村真紀
王の伝令:友清 崇
4人のブラバントの貴族:吉田 連、鹿野浩史、勝村大城、清水宏樹
ローエングリン(青年時代) :丸山敦史